「日本の神話」カテゴリーアーカイブ

オオナムチとスクナヒコの国作りの旅

おおなむちとすくなひこのくにづくりのたび

オオナムチは、大国主命(おおくにぬしのみこと)の別名です。大国主命には、たくさんの別名があります。
スクナヒコは、オオナムチといっしょに国作りをした神さまです。体が小さく、少年のような明るさといたずらっぽさが魅力的です。
けれども、まじめなオオナムチが「国作りはうまくいったかなあ」と自信なさげに尋ねたときの、スクナヒコの答えはとても含蓄があります。

この再話は、古事記、日本書紀、風土記のなかから、スクナヒコが登場する場面だけを取りだしてならべています。


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国引き

くにひき

出雲国風土記

日本の神話といえば、『古事記』『日本書紀』だけを考えてしまいがちです。けれども、各地の地理や産業などを国ごとにまとめた『風土記』にも、各地に伝わる神話が伝えられています。
『風土記』は、散逸しているものが多いのですが、わずかに残った記録から、興味深い物語をひろうことができます。

ところで、日本という国がどうやってできたかという国生み神話がります。
『古事記』『日本書紀』では、イザナキとイザナミが天上の天の浮橋に立って下界の海の中を鉾(ほこ)でかきまぜて、オノコロ島を作ったとあります。そこからつぎつぎと国を生んでいきました。
けれども、出雲の国は、ちょっと様子が違っています。イザナキ・イザナミではなく、八束水臣津野命(やつかみずおみつののみこと)という神さまが、ひとりで、あちこちから土地を引っ張ってきてぬいあわせて作ったというのです。

『古事記』『日本書紀』はいわば垂直思考なのにたいして、『出雲国風土記』は水平思考。神さまが上から見下ろして作ったのではない、民衆と同じ地平で作ったというのが興味深いです。


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海幸山幸(うみさちやまさち)

日本の神話

『古事記』は、上中下の3巻で構成されています。上巻は神代の物語が、時系列でおさめられていて、「海幸山幸」は上巻の最後の話です。
主人公の山幸彦と海の神の娘トヨタマヒメとの間に生まれた男子の子どもが、初代天皇神武です。トヨタマヒメは、本当の姿は巨大ザメです。
山幸彦が天の神ニニギノミコトと土地の神の娘コノハナサクヤヒメの間に生まれていることも考え合わせると、民族多様性を実感します。

山幸彦とトヨタマヒメの結婚は、異類婚です。見てはいけないといわれたのに、お産の様子をのぞき見てしまったために、山幸彦は、妻ににげられるのです。
古いテーマなのですね。

ところで、海幸彦は、大隅隼人の祖といわれています。
隼人舞は、海幸彦が水に溺れるさまを舞にあらわしているとのことです。


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根の堅洲の国(ねのかたすのくに)

日本の神話

『古事記』をもとに神話を再話しています。
イザナキとイザナミの物語「黄泉平坂」、イザナキの息子スサノオの冒険譚「やまたのおろち」、オオクニヌシが出雲へ行く「いなばの白うさぎ」。
そして今回は、オオクニヌシがスサノオの娘スセリヒメを手に入れる物語です。

根の堅洲の国は地下にありますが、まるで天人女房の難題婿のようなストーリーです。
昔話に用いられるモティーフがいくつもあって、おもしろいと思いました。
例えば、スサノオがオオクニヌシをヘビの室屋、ムカデと蜂の室屋に入れてテストするモティーフは、インディアンの昔話にもあります。
危機一髪の時に、ねずみが助けてくれるモティーフも世界じゅうにあります。ねずみは弱小動物ですね。余談ですが、大黒様の像の足元にネズミがいるのは、これが由来だと思われます。
スサノオはオオクニヌシに頭のしらみを取らせます。信頼しきっている証拠です。しらみ取りのモティーフも世界じゅうにありますね。
オオクニヌシがスセリヒメをつれて逃げようとすると、琴が音をたてる、スサノオがとび起きる。これって、まるでジャックと豆の木です。

蛇のひれ、ムカデと蜂のひれ、というのが出てきますが、ひれというのは、スカーフのようなものです。

ところで、オオクニヌシは、それまではオホナムヂという名でよばれていたのですが、スサノオが別れの時に「オオクニヌシよ」と呼んだことで、そののちはオオクニヌシという名になったということです。人物関係がややこしくなるので、「いなばの白うさぎ」の最初から、オオクニヌシの呼び名で再話しました。
オオクニヌシは漢字で書けば大国主。地上の王という意味です。


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いなばの白うさぎ

いなばのしろうさぎ

日本の神話

よく知られているいなばの白うさぎの話は、小学校の国語の教科書にも載っています。
神話なのですが、昔話に共通する要素があります。
たくさんの兄弟の神は、原文では「八十神(やそがみ)」と表現されています。極端に描かれています。そして、主人公のオオクニヌシは、一番最後、最後尾を歩いています。荷物持ちとして卑しめられているのです。端っこの存在。昔話では、端っこの存在こそが主人公の資格を持っていますね。
うさぎがさめをだますモティーフも、昔話にあります。このホームページの《外国の昔話》に掲載しているインドネシアの昔話「カンチルとワニ」を見てください。ところで、「いなばの白うさぎ」の「さめ」ですが、原文では「和邇」とあり、「わに」と読ませています。「和邇」が、いったい何の動物なのか、諸説あって定まってはいないようです。ふと、白うさぎ=カンチル、和邇=ワニ???と思ってしまいますね。でも、残念ながら、日本にワニは住んでいませんでした。


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