国引き

くにひき

出雲国風土記

日本の神話といえば、『古事記』『日本書紀』だけを考えてしまいがちです。けれども、各地の地理や産業などを国ごとにまとめた『風土記』にも、各地に伝わる神話が伝えられています。
『風土記』は、散逸しているものが多いのですが、わずかに残った記録から、興味深い物語をひろうことができます。

ところで、日本という国がどうやってできたかという国生み神話がります。
『古事記』『日本書紀』では、イザナキとイザナミが天上の天の浮橋に立って下界の海の中を鉾(ほこ)でかきまぜて、オノコロ島を作ったとあります。そこからつぎつぎと国を生んでいきました。
けれども、出雲の国は、ちょっと様子が違っています。イザナキ・イザナミではなく、八束水臣津野命(やつかみずおみつののみこと)という神さまが、ひとりで、あちこちから土地を引っ張ってきてぬいあわせて作ったというのです。

『古事記』『日本書紀』はいわば垂直思考なのにたいして、『出雲国風土記』は水平思考。神さまが上から見下ろして作ったのではない、民衆と同じ地平で作ったというのが興味深いです。


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