青森県の昔話
いちわのわら
難題聟譚のひとつですが、笑い話です。
知恵の働きによって、養子(または婿)になる。
全国に分布していて、と話型名は「一把の藁十六把」とか「藁十六把」「しめて十五把」とか呼ばれるそうです。
庭と鍬とばあさんのしわと門の一把で、十六把。門口の一把を入れないで、十五把。しわを入れないで十二把。というバージョンがあるそうな。
おまけのおはなしにどうぞ。何年生でもいけます。
下のボタンからテキストをダウンロードできます。
茶釜で湯を沸かしたら、茶釜からたぬきが頭を出し、足を出し、しっぽを出して、逃げて行った。子どもの頃聞いた話のその部分だけが強く残っていました。印章的な昔話です。
話型名「文福茶釜」
狐や狸が茶釜に化けて人間に恩返しをしたり富をくれたりする話です。全国に分布しているそうです。
2つの型があります。
1,狐が、茶釜、女、馬に化ける。3回化けるのです。この型では、冒頭で、狐が子どもにいじめられているのをおじいさんが助けます。その恩返しに、きつねが化けてお金をもたらします。
最後は馬に化けるのですが、馬は疲れて倒れます。おじいさんは、馬のためにお堂を立ててまつります。
2,狸が、1回だけ、茶釜に化けます。今回紹介した話はこの型です。
そんな茶釜がお寺の宝になったという伝説が各地にあるそうです。が、狸になって逃げて行ったんなら、茶釜はお寺にないはすですね、、、
1は、笑いの中にもしみじみと涙をそそりますが、2は、笑い話です。年齢を問わず笑ってくれると思います。
テキストは『語りの森昔話集6プレッツェモリーナ』に掲載しています。⇒書籍案内
あわせもちとわたいれもち
ほんの短い笑い話です。
おじいさんとおばあさんのおもち争奪戦(笑)。このテーマの話は、色んなバージョンで全国にあります。「だんまりくらべ」(こちら⇒)もそうですね。
子どもに、「もうひとつ」とせがまれたときのおまけの話にどうぞ。
「あわせ」「綿入れ」は、着物のことですが、子どもによっては何のことかわからないと思います。でも、正確にはわからなくても、なんとなくわかればOKです。
笑い話なので、おじいさんとおばあさんが大きな口を開けて食べている光景が見えればOKです。
出典の『津軽むがしこ集』について、井戸端会議に書きましたので、ぜひ読んでみてくださいね。この話の背景が分かります。 こちら⇒
おにのつぼ
外国の話で、よく似た話を聞いたことがあります。調べてみたら、グリム童話にありました。KHM99「ガラスびんの中のおばけ」です。グリムでは、この後、続きがあります。読んでみてくださいね。
ATU331「瓶の中の妖精」という話型です。
ストーリーは、この大分県の話とほとんど同じ。
中東起源で、ヨーロッパでは中世に記録が残っているとのことです。中東から日本に来たのか、ヨーロッパ経由なのか、興味のあるところですが、あまり研究はなされていないようです。
短いけれどよくできた面白い話。節分に語ってください。
テキストは、『語りの森昔話集5ももたろう』に掲載しています。こちら⇒書籍案内
発端句「ざっとむかしがあるけぢょんなあー」と結末句「トンピンパラリノプー」がきちんと額縁になっています。
屁の力によって富や幸せを得る「屁ひり爺」の話はたくさんありますが、この「やまやまのへっぴりじい」は、そのなかでも最も単純なストーリーです。お殿さまも出てこないし屁の音も単純です。そして、単純だからこその面白さがあります。
ほうびをくれるのは、お殿さまではなくて、どこからか聞こえてくる声の主です。おそらく、奥山に住む魑魅魍魎(ちみもうりょう)か、もしくは山の神かもしれません。どちらにしろ人智をはなれた自然の声です。
欲ばりじいさんは、化け物に脅かされて、腰をぬかすだけで、食われたり殺されたりするわけでもありません。そして、人まねはするなという教訓が付いています。
これらを総合して考えれば、これは幼い子が喜ぶ笑い話として語られたのでしょう。
下のボタンからテキストをダウンロードできます。