「笑い話」カテゴリーアーカイブ

いのししを放した話

いのししをはなしたはなし

鹿児島県の昔話

形式譚で「はなし」とよばれる話群に属します。

聞き手にもっとお話をしてとせがまれたときの話です。
かつての語り手たちは、さまざまな工夫をしています。鼻に椎の実が入って「はなしい→はなし」とか、口を開けたら歯がなくて「はなし」とか、だいこんに葉がなくて「はなし」とか。
「きもだめしのはなし」⇒こちらも、結末が「はなし」ですね。

「いのししを放した話」は、形式譚「はなし」より崩れた形になっていますが、しゃれ落ちであることには変わりありません。
昔話は語り手と聞き手がつむぐものということが、とてもよくわかるお話ですね。


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さるとかえるがおもちをぬすむ話

青森県の昔話

話型名「餅争い」

この話型の話は、全国で広く語られているようです。大きく分けて、2つの系統があって、ひとつは2匹がおもちをぬすむところから始まり、もうひとつは、2匹がいっしょにおもちをつくところから始まります。

このおもち、紹介した話ではお正月のおもちですが、ほかにも、節句や十五夜などのおもちのこともあります。さるとかえるだけでなく、きつねやうさぎが争う話もあります。地域によってより身近な動物や行事が語りに生きているのでしょう。

最後は、さるの顔がなぜ赤いか、かえるの目玉がなぜ飛び出ているか、なぜ体が平たいかといった由来を語る話にまとめられています。


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仁王さんとガマ

におうさんとがま

熊本県の昔話

話型名は「仁王と賀王」。笑い話の中の業比べの話群に属しています。

全国で語られているのは、仁王さんが寺院の左右の門の中にいて、身近に親しまれているからかもしれません。

仁王の相手は、唐や朝鮮にいて、「賀王、がま、がまん」などと名づけられています。
力持ちの業比べの話は、世界じゅうにあって、ATU1962A「大きなレスラー」に分類されています。


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たいとふぐ

大阪の昔話

極楽の門に鬼の門番がいるというのは、昔話に限らず、世間話や落語などによくあるモティーフです。
また「ふぐ(ふく)は内」というダジャレのオチも、節分の話ではよくあります。
だから、この話は、どこにでもあり得る笑い話といえます。
ところが、和泉の国の岡田浦と、実際に存在する土地が明示されていますね。
ここに語り手の遊びがあります。自分が聞いた話を、自分の土地のこととして、さもあったことのように語る、そのおかしさ。語り手も楽しいし、聞き手もおもしろい。
こんな気持ちで笑い話を語りたいものです。

地名が示されていますが、聞き手に信じさせようという意図はないので、「伝説」とはいえないでしょう。


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貧乏神

びんぼうがみ

東京都の話

話型名「貧乏神」

大晦日のおはなし。
金の馬、銀の馬、銅の馬は、「大晦日の客」の年神さまの信仰と重なります。

貧乏神が、夫婦といっしょに逃げようとわらじを作るのがユーモラスです。このモティーフは、外国の昔話にもあります。
また、貧乏神が夫婦にお金をやって酒を買いに行かせるのも、おかしみがあります。

結末が、ずっと貧乏神が居続けるタイプもありますが、この話では、夫婦に説教をしてちゃんと出て行ってくれます。それもなんだかユーモラスです。

貧乏神が、やって来た福の神と戦う話もあります。


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