小指太郎と宝ぐつ

こゆびたろうとたからぐつ

鹿児島県の昔話

主人公は小指太郎ですが、体が小さい子どもという意味ではありません。
五人兄弟の末っ子で、上から順に、親指太郎、人指し指太郎、・・・と名前が付けられているのです。
体が小さいわけではありませんが、末っ子という意味では端っこの存在です。
昔話では、端っこの存在が、主人公となって活躍することが多いです。

前半は、グリム童話の「ヘンゼルとグレーテル」にそっくりです。鬼の家に着いてからのナイトキャップの取り換えもヨーロッパの昔話によくあるモティーフです。
けれども、後半の宝ぐつを盗むモティーフや、宝物を家に持って帰るあたりは、とても日本的です。

元気いっぱいの小指太郎の行動を楽しみたいです。


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黒い玉、白い玉

くろいたま、しろいたま

アイヌの昔話

パナンペ・ペナンペは、「川上の者・川下の者」という意味です。
ふたりの登場する話はほかにもたくさんあって、いつもパナンペが成功して、ペナンペがまねをして失敗します。軽いこっけい話です。

この「黒い玉、白い玉」では、パナンペもペナンペも鬼から逃げるときに、炭火や灰や茅に化けます。これは、たとえばグリム童話「みつけ鳥」で主人公たちがバラの花とバラの木に化けたり教会とシャンデリアに化けたりして逃げるのと同じ趣向ですね。
話型的にはATU313「呪的逃走」です。呪的逃走については《昔話雑学》「逃竄譚」を見てください。⇒こちら


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おぼさりたい、だかさりたい

青森県の昔話

話型名は「とっつくひっつく」。
財宝発見の昔話です。

三人兄弟が化け物退治に行きますが、上の二人は失敗し末っ子が成功するというお決まりのパターンです。お決まりですが、怖い話なので、子どもは飽きずに喜びます。
暗闇の中の光物の化け物と、帰り着いてからの座敷いっぱいの宝物の極端な対比が鮮やかです。

この話型は、働き者のじいさんと怠け者のじいさんの二人の爺型で語られる話もたくさんあります。


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さるとかえるの旅

さるとかえるのたび

和歌山県の昔話

かえるは全然走らないで楽をしましたね。
AT275「二匹の動物の競走」ということで、世界じゅうにある話です。
たいていは、走るのが遅い動物が知恵を出して速い動物を追い抜いて勝つというパターンです。イソップの「うさぎとかめ」がそうですね。
日本の昔話では、《おはなしひろば》に「たにしとたぬき」を紹介しています。

おまけのはなしにどうぞ。


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ぬすっと人形

ぬすっとにんぎょう

熊本県の昔話

ふしぎな人形です。呪宝と考えてよいのでしょうが、人のものを盗むというか、主人公を盗人にする力を持つ人形です。しかも、盗人になった主人公は、父親に認められます。このあと、主人公はどんな人生を送るのだろうと、思わず考えてしまいます(笑)
この話は二人兄弟の弟ですが、三人兄弟の末っ子の類話が多くて、「三人兄―弟盗人型」という話型です。全国に伝わっています。
昔話には、さまざまな思いがけない主人公が登場しますね。


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