さるとかえるがおもちをぬすむ話

青森県の昔話

話型名「餅争い」

この話型の話は、全国で広く語られているようです。大きく分けて、2つの系統があって、ひとつは2匹がおもちをぬすむところから始まり、もうひとつは、2匹がいっしょにおもちをつくところから始まります。

このおもち、紹介した話ではお正月のおもちですが、ほかにも、節句や十五夜などのおもちのこともあります。さるとかえるだけでなく、きつねやうさぎが争う話もあります。地域によってより身近な動物や行事が語りに生きているのでしょう。

最後は、さるの顔がなぜ赤いか、かえるの目玉がなぜ飛び出ているか、なぜ体が平たいかといった由来を語る話にまとめられています。


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へびと鍛冶屋

へびとかじや

新潟県の伝説

新潟県の糸魚川に残っている伝説です。

もとの題名は「浪平行安」といいます。
へびが打った九百九十九本目の刀に、「浪平行安」という銘が入っていたからです。

時代や人物の名前が明らかではないので、昔話として再話しました。その際に、銘の部分は省きました。あまりにリアルで語るには怖いと思ったからです。けれども、最後に次の一文を加えて語ってもいいと思います。

「最後の九百九十九本目の刀には、「浪平行安」と名前が彫ってありましたとさ。」


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ねずみといたちが粟をまいたこと

ねずみといたちがあわをまいたこと

新潟県の昔話

子どもの頃どこかで聞いたような話ですが、日本では、一部の地域以外、あまり語られていないとのことです。

動物昔話は、幼い子どもに語られてきたそうですが、この話も、ちょっと教訓めいていながらも、とんびやからすやすずめが彩を添えて、かわいらしい話になっています。
ずるいねずみは殺されることもありません。
ねずみの歯の由来譚になっているのも、幼い子ども向けですね。

話型名は「鼠と鼬の寄合田」。
ATU9「ずるい相棒」。世界的にはよくある話で、きつね、くま、おおかみなどが登場します。

共通語テキストは『語りの森昔話集6プレッツェモリーナ』に掲載しています。こちら⇒書籍案内

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仁王さんとガマ

におうさんとがま

熊本県の昔話

話型名は「仁王と賀王」。笑い話の中の業比べの話群に属しています。

全国で語られているのは、仁王さんが寺院の左右の門の中にいて、身近に親しまれているからかもしれません。

仁王の相手は、唐や朝鮮にいて、「賀王、がま、がまん」などと名づけられています。
力持ちの業比べの話は、世界じゅうにあって、ATU1962A「大きなレスラー」に分類されています。


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たいとふぐ

大阪の昔話

極楽の門に鬼の門番がいるというのは、昔話に限らず、世間話や落語などによくあるモティーフです。
また「ふぐ(ふく)は内」というダジャレのオチも、節分の話ではよくあります。
だから、この話は、どこにでもあり得る笑い話といえます。
ところが、和泉の国の岡田浦と、実際に存在する土地が明示されていますね。
ここに語り手の遊びがあります。自分が聞いた話を、自分の土地のこととして、さもあったことのように語る、そのおかしさ。語り手も楽しいし、聞き手もおもしろい。
こんな気持ちで笑い話を語りたいものです。

地名が示されていますが、聞き手に信じさせようという意図はないので、「伝説」とはいえないでしょう。

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