うろこ玉

うろこだま

岩手県の昔話

呪宝譚のなかでも、もっとも代表的な話。
話型名は「犬と猫と指輪」。え?指輪?バタ臭いですねえ(笑)。そうなのです、これは世界じゅうに分布している話で、「マジック・リング」と呼ばれています。
ATU560。
朝鮮半島に伝わる類話「いぬとねこと玉」を再話してあるので比べてください(こちら⇒

日本の話の場合は、呪宝をさずけてくれる者によって、三つのサブタイプに分かれます。
「蛇サブタイプ」は東北地方中心ですが、かつては日本全体がこの系統だったようです。
「猿サブタイプ」は九州から中国地方で、宝物は猿の三文銭です。
「竜宮サブタイプ」は竜王から宝をもらう話で、九州中心。

今回紹介した「うろこ玉」は「蛇サブタイプ」です。
ねこと犬がそれぞれの特性に応じて活躍します。
失敗の原因がきつねというのも、意外性があっておもしろいです。

「猿サブタイプ」と「竜宮サブタイプ」の合体した話として「かっぱの一文銭」(こちら⇒)もどうぞ。


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ぽったりもち

高知県の昔話

単純なストーリーですが、お地蔵さまがしゃべるところや、その言葉「ぽったりぽったり・・・」が、のんびりしていて、心が温まります。
年末の話になっていますが、いつでも語れます。冬のほうがイメージしやすいでしょうけれど。
「こぢこぢにする」は、「ばらばらにする」の土地言葉です。耳に心地よいのでそのまま再話しました。

話型としては、「大歳の亀」「ものいう動物」に近いのですが、天恵をさずけてくれるのが動物ではなく、地蔵さまになっています。


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化け物を飲みこんだ話

ばけものをのみこんだはなし

京都の昔話

話型名「鬼をひと口」

出典の『諸国百物語(しょこくひゃくものがたり)』は、江戸時代(1677年)に、京都市の寺町松原通上ルにあった本屋から出版されました。
諸国というから、全国から集めた話という形をとっています。
百物語というのは、当時流行っていたおはなし会です。怪談を次つぎに語って百話が終わったとたんに、それまで語った話に登場する幽霊や化け物があらわれるという形のおはなし会。やりたいですね~笑

「化け物を飲みこんだ話」は、京都三十三間堂が舞台です。
ただ、再話するにあたって、伝説ではなく昔話として語るために、たんに「お寺」とし、固有名詞は使いませんでした。「天皇」は、昔話で一般的な「お殿さま」にしました。京都市内の話として語りたいかたや、三十三間堂のイメージを大事にしたいかたは、単語を差し替えてください。

ところで、化け物をうまくおだてて、小さな物に化けさせて、パクっと食べてしまうというモティーフは、日本の昔話では「三枚のお札」などでもおなじみです。和尚さまが鬼ばばを餅にはさんでパクっと食べる、納豆餅の由来とか。
このモティーフ、外国の昔話にもありますが、気が付きましたか?ペローの「長靴をはいたねこ」です。確かめてみてくださいね。こちら⇒


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命のろうそく

いのちのろうそく

岡山県の昔話

印象的な話ですが、『日本昔話通観』には3話しか載っていない、珍しいものです。
話型名「寿命のろうそく」

ろうそくの長さが人間の寿命を示していて、ろうそくが消えるとき、その人の寿命も終わるという設定で、ストーリーが進みます。
ここで紹介した広島の話では、はしごを登って天国に行きます。天国にろうそくが並んでいるのです。門番が鬼だというのが意外です。
鬼が目覚めないか、子どもたちははらはらしながら聞きます。

ろうそく=寿命というモティーフは、グリム童話にあります。KHM44「死神の名づけ親」。ここでは、ろうそくは、洞窟の中に並んでいます。ヨーロッパにはよくあるモティーフのようです。

共通語テキストは『語りの森昔話集6プレッツェモリーナ』に掲載しています。⇒書籍案内

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海幸山幸(うみさちやまさち)

日本の神話

『古事記』は、上中下の3巻で構成されています。上巻は神代の物語が、時系列でおさめられていて、「海幸山幸」は上巻の最後の話です。
主人公の山幸彦と海の神の娘トヨタマヒメとの間に生まれた男子の子どもが、初代天皇神武です。トヨタマヒメは、本当の姿は巨大ザメです。
山幸彦が天の神ニニギノミコトと土地の神の娘コノハナサクヤヒメの間に生まれていることも考え合わせると、民族多様性を実感します。

山幸彦とトヨタマヒメの結婚は、異類婚です。見てはいけないといわれたのに、お産の様子をのぞき見てしまったために、山幸彦は、妻ににげられるのです。
古いテーマなのですね。

ところで、海幸彦は、大隅隼人の祖といわれています。
隼人舞は、海幸彦が水に溺れるさまを舞にあらわしているとのことです。


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