犬神山のおおかみ

いぬがみやまのおおかみ

岡山県の昔話

話型名は「狼報恩」。動物報恩譚のひとつです。全国に分布していて、昔話だけでなく、土地と結びついた伝説も多くあります。

狼は、日本では山の神の使いで、神聖視されていて、動物の中でも特別の存在です。猟師も狼だけは撃たなかったそうです。昔話の中でも神に近い存在として扱われています。
こちら⇒《昔話雑学》
残念ながら、日本狼は絶滅しました。昔話の中だけでも、生き残ってほしいと思います。
『子どもと家庭のための奈良の民話2』には、狼の話を2話入れていますが、そのうちの「おおかみのおんがえし」は、日本で最後に狼が発見された吉野の伝承です。

「犬神山のおおかみ」では、太郎作が狼の喉からとげを抜いてやり、狼がその恩返しをします。韓国や中国では、狼ではなくトラ、ヨーロッパでは、クマやライオンになっているようです。


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鬼のつぼ

大分県の昔話

おにのつぼ

外国の話で、よく似た話を聞いたことがあります。調べてみたら、グリム童話にありました。KHM99「ガラスびんの中のおばけ」です。グリムでは、この後、続きがあります。読んでみてくださいね。

ATU331「瓶の中の妖精」という話型です。
ストーリーは、この大分県の話とほとんど同じ。
中東起源で、ヨーロッパでは中世に記録が残っているとのことです。中東から日本に来たのか、ヨーロッパ経由なのか、興味のあるところですが、あまり研究はなされていないようです。

短いけれどよくできた面白い話。節分に語ってください。

テキストは、『語りの森昔話集5ももたろう』に掲載しています。こちら⇒書籍案内

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たからげた

岡山県の昔話

呪宝譚です。こちら⇒《昔話雑学》

一本歯の下駄は、山伏や天狗が履いているイメージですね。最近、健康にいいと人気が出ているそうですが(笑)。
この話に出てくる下駄は,履いて転ぶとそのたびに小判が出てくるという不思議な力を持っています。ただし、転ぶたびに身長が縮みます。

最後のオチに出てくるゴンゾウムシは、ゾウムシの一種で、米くい虫とも呼ばれる害虫です。無農薬玄米を買うと、たまに入っています。

短い話ですが、ファンタジックでしかも深いメッセージがあります。

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佐渡の白つばき

さどのしろつばき

新潟県の昔話

「夢の蜂」とか「夢買い長者」とよばれる昔話のひとつです。

昼寝中の男の鼻の穴から、昆虫が飛び出して、その昆虫がもどって来て鼻の穴に入ると目が覚める。そして、そばで見ていたもう一人の男に、夢を見たと話をします。その夢の中で、昆虫が宝のありかを教えたと話すのです。それを聞いた男は、その夢を売ってくれといって、自分が宝のありかを探しに行くという話。

古く『宇治拾遺物語』にあって、日本じゅうに広く伝わっています。いろんなバリエーションがあって、おもしろいです。

人間の霊魂が動物の姿になって、睡眠中の肉体から出て行くというのは、世界各地にみられる信仰だそうです。それで、世界じゅうに、この類話があります。

ATU1645A「宝の夢を買う」
王さまが木の下で寝ていると、動物が王さまの口から出て来て川を渡り、山のほら穴に入って行く。それを召使いが見ていて、王さまに告げる。王さまは、動物に宝のありかを教えてもらった夢を見たと話す。王さまは、山の中に大変な宝を発見する。というような話。

ヨーロッパでは、中世の早い時期に記録があるということです。

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お雪といちご

おゆきといちご

山梨県の昔話

まま母にいいつけられて雪の山へいちごをつみに行く娘。雪の中でこごえそうになったとき、おじいさんの家に導かれます。いろりを囲んで、十二の月の精たちが座っています。スロバキア民話の「十ニの月のおくりもの」を思い出しますね。

このお雪の話は、日本ではここでしか語られていないそうです。昭和11年刊の『続甲斐昔話集』所収です。山梨県の郷土史家土橋里木氏が聞き書きされました。この話を土橋氏に語った人は、もしかしたらヨーロッパの「十二の月のおくりもの」をどこかで聞くか読むかして、語りのレパートリーにしたのでしょうか。

情景描写が少なく、ストーリーは短いですが、きちっとした継子話(こちら⇒)になっています。そして、ヨーロッパの伝承では森の中のたき火ですが、ここでは、山の一軒家のいろりになっています。日本らしい換骨奪胎といえます。

ATU480「親切な少女と不親切な少女」。グリム童話の「ホレばあさん」の類話です。


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