宝のひょうたん

たからのひょうたん

岩手県の昔話

話型名は「宝瓢(たからひさご)」。
ふしぎなひょうたんを手に入れて、福を授かる話。
呪宝譚のひとつです。呪宝譚についてはこちら⇒《昔話雑学》

おじいさんは、観音さまにお願いをして、ひょうたんを手に入れますが、類話によっては、ヒョウタンネズミからもらうという話もあるそうです。鼠浄土と混ざっているのですね。どちらも、ひょうたんから童子が出てきて望みをかなえてくれます。その点では竜宮童子と似ています。

ひょうたんから出て来たふたりの童子には、名前が付いています。おじいさんが,ひょうたんを抱きあげたらひょっこり飛び出して来たというのが、かわいらしいですね。

馬喰は、馬や牛を売り買いする商人です。子どもに語るときには、ちょっと説明をはさむといいかと思います。

低学年から高学年まで楽しめると思います。


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山神さま

やまがみさま

鹿児島県の昔話

話型名は「山神と童子」
子どもが山神に弁当を与えることによって福を得る話。

沖永良部島の話では、山神は三日間弁当を食べ、そのお礼をするから天竺の寺へ参れといいます。山のてっぺんではなくて天竺の寺です。仏教と関りがありそうです。
その道中、長者の娘の病気を治す方法、宿屋の三段花の二本が枯れた理由、渡し守の女が昇天できない理由をたずねて来てくれと頼まれます。課題が三つですね。
今回紹介した甑島の「山神さま」は課題が二つですが。

ここで思い出すのが、グリム童話KHM29「三本の金髪をもった悪魔」です。
そうなんです。「山神さま」はこの類話なのです。ずいぶん雰囲気が異なりますね。

ATU461「悪魔の三本のあごひげ」
類話は世界じゅうにあって、多くは、グリムのように、前半に予言のエピソードがあります。日本の話にはこのエピソードはありません。そのため、ドラマチックさに欠けるのですが、おかげで、話のテーマがくっきり見えてきますね。

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やまやまのへっぴりじい

秋田県の昔話

発端句「ざっとむかしがあるけぢょんなあー」と結末句「トンピンパラリノプー」がきちんと額縁になっています。

屁の力によって富や幸せを得る「屁ひり爺」の話はたくさんありますが、この「やまやまのへっぴりじい」は、そのなかでも最も単純なストーリーです。お殿さまも出てこないし屁の音も単純です。そして、単純だからこその面白さがあります。

ほうびをくれるのは、お殿さまではなくて、どこからか聞こえてくる声の主です。おそらく、奥山に住む魑魅魍魎(ちみもうりょう)か、もしくは山の神かもしれません。どちらにしろ人智をはなれた自然の声です。

欲ばりじいさんは、化け物に脅かされて、腰をぬかすだけで、食われたり殺されたりするわけでもありません。そして、人まねはするなという教訓が付いています。

これらを総合して考えれば、これは幼い子が喜ぶ笑い話として語られたのでしょう。


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てえてえ小法師

てえてえこぼし

岡山県の昔話

原題は「化け物問答」
前回紹介した長野県の「化け物問答」(こちら⇒)の類話です。
この話型の話は全国に見られますが、この岡山県真庭市に伝わる「てえてえ小法師」は、完成形に近いのではないかと思います。

同じ言葉で問答を繰り返しますが、口に乗せるととっても気持ちがいいです。
化け物の正体暴露の部分が難しいので、高学年向きです。

夜中ごろ化け物が登場する場面は、聞き手をじゅうぶんに恐がらせたいですし、最後の血が出ている場面も考えあわせると、やっぱり高学年向きかと思います。
が、家族に語る場合は、もっと小さい子でも楽しむでしょう。


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みそ買い橋

みそかいばし

岐阜県の昔話

夢の知らせによって宝を発見する致富譚の一話型です。「みそ買い橋」とか「夢の橋」とかいわれます。
とっても日本的なストーリーのように思われますが、実はヨーロッパを中心にたくさんの話が伝わっています。

ATU1645「宝は自分の家にあり」。
古くは13世紀のペルシャ語の文献にあるそうです。
グリム兄弟の伝説集にもこの話はありますが、よく知られているのは、イギリスのジェイコブスの昔話集に入っている「スウォハムの行商人」です。

じつは、この「スウォハムの行商人」が、大正時代、日本語に翻訳されて『世界童話大系』に収録されました。それを読んだ岐阜県高山市の小学校の先生が、換骨奪胎して、高山のふるさとの話として子どもたちに語りました。それが日本じゅうに「みそ買い橋」として広がったのだそうです。
『世界童話大系』は第1巻が1925年ごろの出版ですから、「みそ買い橋」は日本の昔話としては新しいのですね。


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