小僧さんとねこの絵

こぞうさんとねこのえ

青森県の昔話

話型名「絵猫と鼠」
巧みに描かれた絵の中のねこが画面を抜け出して古ねずみを殺すという化け物退治譚です。

ねこの絵ばかり描くという、大人の価値観から見たらつまらないことに一生懸命になっている姿は、我が子の姿にだぶって見えます。
お寺を追放されるまで描き続ける小僧さん。
でもその絵のおかげで危機を逃れ、それどころかお寺の住職になってしまう。将来安泰(笑)。しかも、一生好きな絵を描いて暮らすことができるのです。

子育てに、このような視点は大切ですね。
子どもたちにも、勇気を持てといってやりたいです。
短いけれど、深いメッセージのあるいいはなしです。

テキストは、『語りの森昔話集5ももたろう』に掲載しています。こちら⇒書籍案内

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あわせもちとわた入れもち

あわせもちとわたいれもち

青森県の昔話

ほんの短い笑い話です。
おじいさんとおばあさんのおもち争奪戦(笑)。このテーマの話は、色んなバージョンで全国にあります。「だんまりくらべ」(こちら⇒)もそうですね。

子どもに、「もうひとつ」とせがまれたときのおまけの話にどうぞ。
「あわせ」「綿入れ」は、着物のことですが、子どもによっては何のことかわからないと思います。でも、正確にはわからなくても、なんとなくわかればOKです。
笑い話なので、おじいさんとおばあさんが大きな口を開けて食べている光景が見えればOKです。

出典の『津軽むがしこ集』について、井戸端会議に書きましたので、ぜひ読んでみてくださいね。この話の背景が分かります。 こちら⇒

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犬神山のおおかみ

いぬがみやまのおおかみ

岡山県の昔話

話型名は「狼報恩」。動物報恩譚のひとつです。全国に分布していて、昔話だけでなく、土地と結びついた伝説も多くあります。

狼は、日本では山の神の使いで、神聖視されていて、動物の中でも特別の存在です。猟師も狼だけは撃たなかったそうです。昔話の中でも神に近い存在として扱われています。
こちら⇒《昔話雑学》
残念ながら、日本狼は絶滅しました。昔話の中だけでも、生き残ってほしいと思います。
『子どもと家庭のための奈良の民話2』には、狼の話を2話入れていますが、そのうちの「おおかみのおんがえし」は、日本で最後に狼が発見された吉野の伝承です。

「犬神山のおおかみ」では、太郎作が狼の喉からとげを抜いてやり、狼がその恩返しをします。韓国や中国では、狼ではなくトラ、ヨーロッパでは、クマやライオンになっているようです。


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鬼のつぼ

大分県の昔話

おにのつぼ

外国の話で、よく似た話を聞いたことがあります。調べてみたら、グリム童話にありました。KHM99「ガラスびんの中のおばけ」です。グリムでは、この後、続きがあります。読んでみてくださいね。

ATU331「瓶の中の妖精」という話型です。
ストーリーは、この大分県の話とほとんど同じ。
中東起源で、ヨーロッパでは中世に記録が残っているとのことです。中東から日本に来たのか、ヨーロッパ経由なのか、興味のあるところですが、あまり研究はなされていないようです。

短いけれどよくできた面白い話。節分に語ってください。

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たからげた

岡山県の昔話

呪宝譚です。こちら⇒《昔話雑学》

一本歯の下駄は、山伏や天狗が履いているイメージですね。最近、健康にいいと人気が出ているそうですが(笑)。
この話に出てくる下駄は,履いて転ぶとそのたびに小判が出てくるという不思議な力を持っています。ただし、転ぶたびに身長が縮みます。

最後のオチに出てくるゴンゾウムシは、ゾウムシの一種で、米くい虫とも呼ばれる害虫です。無農薬玄米を買うと、たまに入っています。

短い話ですが、ファンタジックでしかも深いメッセージがあります。

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