娘のくりひろい

むすめのくりひろい

新潟の昔話

話型名「糠福米福」。全国で非常に多く語られている継子話です。「米福粟福」ともいいます。栗拾いではなく椎の実拾いだったり、援助者が旅のお坊さんではなくて、山姥、おばあさん、神仏、亡くなった母親の霊である鳥だったりします。
ところで、グリム童話「灰かぶり」に登場する白い鳥が、亡母の霊だったことを思い出してください。舞踏会に行く美しい衣装と靴を出してくれますね。お坊さんのくれた小箱も同じまほうです。灰かぶりは靴を残していきますが、ここでは下駄になっています。そっくりですね。
そうです、「糠福米福」は、世界的に見ると、ATU510a「シンデレラ」に属します。シンデレラは、世界的にもっとも広く分布しているといわれる継子話です。
継子話を、自分を支配する存在(母親)から迫害を受け、あるいは阻害され、自分にとって唯一の援助者の力を得て、幸せをつかむ話、と考えると、だれもに心当たりはあり、渦中にいるとき、大きな希望になるのではないかと思います。だから、普遍的に広がっているのではないかと思います。
内容的に、高学年向きでしょう。

 

テキストは、『語りの森昔話集5ももたろう』に掲載しています。こちら⇒書籍案内

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八ヶ岳と富士山の背比べ

やつがたけとふじさんのせいくらべ

山梨の昔話

日本各地に残る山の背くらべの伝説のひとつです。≪昔話雑学≫では、「山の背くらべ」の項で、柳田国男の論考からいくつかの伝説を紹介しました。この富士山と八ヶ岳の伝説は、それより少し後に記録されたものです。『口碑伝説集』は昭和十年の発行です。
音声は関西弁で語っていますが、土地のことばで富士山や八ヶ岳をながめながら語れば、きっと楽しいでしょうね。
 


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寅千代丸

とらちよまる

鹿児島の昔話

鹿児島県の沖永良部島で伝承されていた昔話。
もとの語り手がつけた題は「神様の申し子」です。
赤い花が咲けば男の子、白い花が咲けば女の子が生まれるという予言や、駿馬に乗り、七人力の刀をたずさえて彼岸に出かけて行くというモティーフなど、ヨーロッパ的な雰囲気がありますね。まるで竜退治のようです。
この話型の話は、南西諸島の限られた地域にだけ残っているそうです。
日本の話では、アイヌの話と南の島の話が他と違うスケールを持ったものが多いです。
名前など、言葉が耳慣れませんが、内容的には4年生くらいから聞けると思います。いじめにあった寅千代丸がどのように生きて幸せになるか、勇気づけることができればと思います。

 


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床をとれ

とこをとれ

岡山の昔話

日本の愚か村話です。「床をとれ」と「手水を回す」のふたつの笑い話が合体しています。この話群は、短くて、次つぎ連鎖することがあるようです。解説は、昔話雑学→こちらを見てください。
この話は、落語にもあります。大人は笑えるのですが、現在の子どもたちには、「床」「手水」の意味がすぐに分からないので、言葉のしゃれで成立するこの話は、笑えないかもしれません。高学年以上の子どもに試してみてください。


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仁王さまの夜遊び

におうさまのよあそび

長野の昔話

立石寺は、長野県飯田市にある古刹で、九世紀の建立といわれています。そこの仁王像の話ですが、これは、この土地、このお寺にまつわる話なので、昔話ではなく伝説です。人のすむ里から離れた古いお寺の仁王さまが、村に出てくる話ですが、通い婚の風習もまだ人々の記憶にある時代の笑い話ではないかと思われます。
大人向けのおはなし。


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