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だんまりくらべ

和歌山の昔話

話型名は「無言くらべ」。日本じゅうで語られていたようです。
それどころか、世界じゅうに残っているようです。ATU1351「沈黙の賭け」、夫婦に関する笑い話のひとつです。
日本では、たいていもらったおもちでだんまりくらべをしますが、外国では、先にしゃべったほうがお皿洗いをするとか、賭けるものにお国がらが出るようです。
音声は3年生のライブ。自分たちもだんまりくらべをしようって、盛りあがっていました。何を賭けるんでしょうね(笑)

共通語テキストは『語りの森昔話集2ねむりねっこ』に掲載しています。こちら⇒書籍案内

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絵姿女房

えすがたにょうぼう

新潟の昔話

話型名は「絵姿女房」。日本各地に残っている昔話です。前半はどれもよく似ているのですが、後半が2種類に分かれます。
ひとつは、物売り型。若者が物売りに変装して、妻をさらった殿さまのところへ行き、妻をとり返します。物売りの売り声に妻が笑うので、殿さまは物売りと着物を取り替えます。殿さまは屋敷を追いだされ、若者が殿さまになって、めでたしめでたし。風刺的ですね。柿売り、桃売り、ほうろく売りなどのパターンがあります。
もうひとつが、この難題型です。妻が才色兼備。妻の機知で若者は救われます。ここにのせた新潟の話は、最後、殿さまが「まいった!」という感じであきらめるのが好きで再話しました。
世界的にはATU465「美しい妻のために、迫害された男」という話型です。世界じゅうに分布していますが、妻の絵姿で王さまが横恋慕するというモティーフのないものもたくさんあるようです。


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さるの顔はなぜ赤い

さるのかおはなぜあかい

大阪の昔話

「なぜ話」のひとつです。なぜ話は、物やことがらの由来を語る話。たとえば、「そばのくきはなぜ赤いのか」「くらげにはなぜ骨がないのか」「なぜ猫はねずみを追いかけるのか」などなど、いくらでも思い出せますね。なぜ話は幼い子どもが喜ぶようです。
外国のなぜ話をさがすと、「かめの甲羅にはなぜひびが入っているのか」「くまのしっぽはなぜ短いか」「なぜ海は塩辛いか」など、日本と共通する話が見つかります。でも、「なぜ天国にはこれほど聖職者が少ないか」とか、「なぜ髪の毛はひげよりも先に灰色になるのか」などは日本ではきいたことがない(笑)、興味津々ですね。
原話の著者の岡白駒(おかはっく)は江戸時代元禄生まれの儒学者で、兵庫県西宮でお医者さんをしていましたが、のちの京都に移ります。西田維則(にしだいそく)は白駒のお弟子さん。滋賀県の出身です。
『奇談一生』は、書かれてから百年以上後に正式に出版され、それは今も読むことができます。出版したのは浪速の本屋、赤志忠雅堂です。それで、出所を大阪にしました。


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腰おれすずめ

こしおれすずめ

福岡の昔話

優しいおばあさんと欲ばりでいじわるなおばあさんの話。隣の爺譚 です。この形式の話は、「はなさかじい」「こぶとりじい」「へこきじい」などなど、子どもたちにはとってもなじみがあります。
音声は一年生のライブですが、「さて、おばあさんの家のとなりに」といっただけで、子どもたちが顔を見合わせたり、笑ったりしているのが分かると思います。「やっぱりね」とうなずきながら、欲ばりばあさんにどんな罰が当たるのか予想して楽しんでいます。前半はちょっとドキドキしながらストーリー展開を楽しみ、後半は余裕をもって予想しながら楽しむ。この型の話のいいところだと思います。
昔話は同じ場面は同じ言葉で語ります。繰り返しのリズムは、語る者にとっても楽しいのですが、子どもたちも嬉しいようです。からだを揺らしたり、いっしょに口に出したりして楽しみます。
欲ばりはダメだよという道徳的なメッセージを、子どもたちは楽しんで受けとります。押し付けではなく。もともと子どもには強い正義感があります。昔話には、それを引き出す力があるんだなあと思います。
おはなしが終わって、ろうそくを消すとき、みなお願い事をひとつします。この日、わたしが、「ひとつだけよ」っていったら、「欲張ったらあかん」と笑っていました。そして、「つぎは欲ばりじいさんの話をして」ってリクエストされました(笑)


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こんぶ

滋賀県の昔話

檀家の人たちにとって、和尚さんというのは、なんでも知っている偉い人だったのでしょうね。
昔話「だんだん飲み」でも、病気になったので和尚さんのところに相談に行きます。
「だんだん飲み」の和尚さんもとぼけた人ですが、ちゃんと病気を治してくれます。でも、「こんぶ」の和尚さんは、じぶんがお金をせしめています。


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