「異界に行く話」カテゴリーアーカイブ

だんごころりん

熊本の昔話

幼い子がよろこぶお話です。
「目かご」というのは、竹などで編んだ目の粗いかごのことです。子どもがたずねたら簡潔に教えてあげましょう。
話型名は「ねずみ浄土」。類話が全国に広がっています。この「だんごころりん」は、隣の爺型の形がきちっと整っています。「だんごころりんだごころりーん すってんとーん」という歌のくりかえしも楽しいです。しかもこの歌は、ねずみではなくだんご自身が歌っています。目かごも自分で歌いながら入っていきますし、おじいさんも自分で歌います。なんともユーモラスです。
よく似た話で、地下の世界に行ってお地蔵さまと出会う話を「地蔵浄土」といいます。
おはなしの最後に、「人まねはするものではない」と、知恵を授けているのも、幼い子どもにぴったりだと思います。


下のボタンからテキストをダウンロードできます。

日常語での語りを聞くことができます。

⇒ 本格昔話一覧へ

黄泉平坂(よもつひらさか)

日本の神話

戦後、国粋主義への反省から、小中学校で日本の神話を学ぶことはほとんどなくなりました。けれども、みなさんどこかでストーリーを聞いたことがあるのではないでしょうか。
世界じゅうの民族が神話を持っています。自分たちの神さまが活躍する話です。日本では、『古事記』(712年)や『日本書紀』(720年)などの歴史書のなかに書かれています。ただし、読めばわかるように、神話は歴史ではありません。
神話については、「昔話雑学」のページ「伝説」の項でほんの少しふれています。昔話や伝説とよく似た内容のものがあることが興味深いので、何話か再話しようと考えています。まずは、『古事記』の始めのほうにある「黄泉平坂」から始めました。ほら、気づきませんか?物を後ろに投げて逃げていくモティーフ「逃竄譚(とうざんたん)」です。


下のボタンからテキストをダウンロードできます。

語りを聞けます


⇒ 神話・伝説・古典一覧へ

天狗のまな板石

てんぐのまないたいし

奈良の伝説

奈良県東吉野村に伝わる伝説です。
語ったおじいさんは、「 いまどき、天狗が出るやなんて、そんなことはあらへんけどな 」 といいながらも、実際にその石があることを証拠として、「 まんざら嘘でもないと思う 」 とおっしゃっています。
マックス・リュティは、昔話と伝説の違いを説明して、「 伝説は信じられんことを求める 」といっていますが、その一例だと思います。
ひょんなことから異界(彼岸)に行ってきた昔話はたくさんあります。カテゴリーで探してみてください。
ただ、伝説「 天狗のまな板石 」では、彼岸は、はるか遠くにあるのではなくて、ふだんから人が行ききする山、地域の生活の場がいきなり彼岸となるのです。天狗はすぐ裏の山に棲んでいます。これも伝説の特徴です。昔話なら、彼岸ははるか遠くにあります( 昔話の語法参照 )。
裏の山に天狗がすんでいるということを信じられなくなった現代の大人。寂しさを感じてしまいます。

下のボタンからテキストをダウンロードできます。

日常語での語りを聞くことができます。


⇒ 神話・伝説・古典一覧へ

戦火の弘法大師

せんかのこうぼうだいし

奈良の伝説

戦争が終わって70年。現代の民話と言っていいのでしょうか。弘法伝説のひとつということですが、原話の語り手の思いが切実です。語り伝えたいと思います。


下のボタンから共通語テキストをダウンロードできます。

日常語での語りを聞くことができます。

⇒ 神話・伝説・古典一覧へ

豆さんころがれ

まめさんころがれ

秋田の昔話

話型名 「 鼠浄土 」。みなさんよくご存知ですね。
音声は、4歳児に語っているライブです。ね、わたしの語りの後、子どもが自分の知っている鼠浄土を話してくれているでしょ。


下のボタンからテキストをダウンロードできます。

日常語での語りを聞くことができます。

⇒ 本格昔話一覧へ