子どもの質問

おはなしのなかに難解な言葉や子どもが知らない事物が出てきたとき、みなさんはどうしていますか。

テキストによっては、ストーリーやテーマは聞き手の年齢にちょうどいいのに、言葉が難解で分かりにくい場合があります。

その場合は、より分かりやすい言葉に前もって置き換えましょう。ただし、自分ひとりで判断するのではなく、語り手仲間と相談して、どうしても聞き手にストレスをかけると判断した場合のみ置き換えましょう。日本語は、同音異義語が多く、耳で聞いてわかりにくいことが多いです。できるだけ和語に置き換えると分かりやすくなります。

それでもなお語りの最中に、こどもが、「それはなに?」と尋ねたときは、簡潔に二、三語で答えましょう。

語り手のなかには、話の途中で言葉をはさむと物語の世界が崩れるから答えずにうなずくだけにしなさいとか、話が終わってから説明しなさいとか指導する人もあります。けれども、わたしは、その対処のしかたはよくないと思います。なぜなら、子どもが質問したときすでに子どもはその世界から外へ出ているのです。もし質問に答えてもらえなかったら、その語句のイメージはぼやけたままだろうし、場合によってはストーリーまであいまいになるでしょう。物語の世界に戻ることもできず、悪くすれば語り手への信頼も失ってしまいます。

これから、話し始める前に、前もって難しい言葉を説明しておくという方法もあります。この場合は、その言葉が話のはじまりのころに出てくるときは有効です。が、ずっと後に出てくる言葉を先に説明しておくと、ストーリーを聞いているあいだじゅう、子どもは気になっているか、もしくは、その言葉が出てきた時には、先の説明を忘れているということになりかねません。

題名にキーワードが出てくる場合は、うまくいきます。たとえば、「馬方山姥」なら、題名を言ってすぐに「馬方」の説明をします。馬方が単に荷物を馬に乗せて運ぶだけでなく、馬の世話をし、馬と生活を共にしていたことを話してやると、子どもは、山姥が殺される最後の場面を「めでたし、めでたし」と感じることができます。

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