おはなし会のプログラム 2

語り手の事情でお話を選ぶのではなく、聞き手である子どもの成長に焦点を当てて選べば、まずそのおはなし会は半分は成功するでしょう。でも、たとえその子たちにぴったりのおはなしを選んだとしても、うまく組み合わせなければ、全体として重くなったり軽くなりすぎたりしてもったいない時間を過ごすことになりかねません。
ひとつひとつのおはなしが活きるような組み合わせを考えましょう。そのためのヒントをいくつか書いてみます。

1、中心になる話→サブの話→おまけの話の順に組み合わせる

子どもの集中力は最初が一番強くて、時間がたつにつれてだんだん弱くなっていきます。ですから、いちばん集中力のあるときに、集中の必要なメインの話をします。いちばん長くてテーマの重いはなしです。「今回はこの話だけを聞いてくれればそれでいい」という思いで選びます。
最後は、軽く笑って終わります。

2、雰囲気の異なった話を組み合わせる

雰囲気が似ていると子どもの思い描くイメージもよく似たトーンになってしまいます。すると、ストーリーが混同することがあります。背景の絵が異なるほうが、話の違いがはっきり見えてきます。日本の者と外国のものを組み合わせたりするのもいいですね。

3、モティーフの同じ話の組み合わせは避ける

たとえば、「手を切られた娘」(グリム童話)と「沼神の手紙」(日本の昔話)は、雰囲気は違いますが、手紙の書きかえ(ウリヤの手紙)のモティーフがおなじです。「みつけ鳥」(グリム童話)と「三枚のお札」(日本の昔話)は、呪的な力を使って逃げる(呪的逃走)モティーフが同じ。「おおかみと七匹の子やぎ」(グリム童話)と「赤ずきん」(グリム童話)「はらぺこピエトリン」(イタリアの昔話)は、おなかを切り開いてのみまこれていた子どもを助けるというモティーフが同じです。
先に聞いたイメージがあとの話に影響してしまいます。

4、構造の似た話の組み合わせは避ける

たとえば、「三本の金髪のある悪魔」(グリム童話)と「仙人の教え」(日本の昔話)は、悪魔(仙人)に教えを乞いに出かけるとちゅう、三つの質問を依頼され、帰り道で順に答えていきます。「トム・ティット・トット」(イギリスの昔話)と「大工と鬼六」(日本の昔話)もストーリーの似た名前当ての話です。

大人には興味深いかもしれませんが、子どもはもっとランダムに楽しむほうがいいでしょう。そうやっていろいろな話を聞いていくうちに、子ども自身が、同じモティーフと気づいたり、類話に気づいたりするのも発見があっていいと思います。 

5、季節外れの話や季節の先取りの話はしない

まだ人生経験の少ない子どもたちは、雪やかみなりなどの自然現象や、たなばたやひな祭りといった行事など、季節のものは、先取りしてもイメージしにくいと思います。ちょうどいま経験していること、またはつい最近経験したことをおはなしのなかで聞くと、実感できるので、子どもは「知ってる!」と、喜びます。

「ねずみのもちつき」はもちつきが終わって興奮がさめやらぬうちに。

6、様子を見てリラックスタイムをとるとよい

ストーリーテリングの合間の手遊びは、わらべ歌が、邪魔にならなくていいですね。

7、語り手はひとりかふたりに限定する

子どもは耳が敏感なので、語り手がつぎつぎ変わると、声に慣れようとして耳が疲れてしまいます。また、語り手が立ったり座ったりするのも落ち着いたムードが作れません。ひとつのプログラムに三人以上の語り手はお勧めできません。

8、テーマを設けるとよい

たとえば、「夏を楽しむ」「冬の夜話」「いのち」など。さまざまな方向からひとつのテーマにアプローチするのもおもしろいです。プログラム全体にまとまりが生まれます。

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