おしゃべりメッテ

デンマークの昔話

秘密がどんどん広がっていくのは、心配しながらもおかしくて笑えますね。
最後のどんでん返しは、ちょっとびっくりしますが。

この話は、13世紀にすでに類話が記録されているそうです。

ATU886「秘密を守れなかった少女」 
いまのところ、ヨーロッパにしか類話が見つかっていないようです。


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王さまだってぜんぶは信じられない

おうさまだってぜんぶはしんじられない

オーストリアの昔話

ATU852「嘘つき比べ」
王さまやお姫さまに「それはうそだ」といわせたら、ほうびとしてお姫さまと結婚できるという話です。
同じような話は世界じゅうにあります。

大真面目に語るほら話がおもしろいですし、王さまがいちいち肯定する表情を想像するのも楽しいですね。


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太陽の娘

たいようのむすめ

ジョージアの昔話

壮大なファンタジーです。

冒頭、三人兄弟が畑を耕しますが、末っ子だけは収穫がありません。
昔話の主人公は、こんなふうに端っ子の存在です。端っこの存在が、さまざまな苦難を経て幸せを手に入れます。

この話の主人公は、太陽の娘と暮らし始めたとき、働くのが嫌で怠けてばかりいますが、妻が助けて楽な生活を送ります。主人公は必ずしも勤勉でなくてもよいのです。昔話はいろんな人生を描いているからです。
現実にはひとりの人間の中に怠け心もあれば、ある時期、怠け者になったりします。それを肯定しているのが、昔話です。


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「太陽の娘」前半の語りが聞けます。
「太陽の娘」後半が聞けます。

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さるとわに

インドの昔話

『子どもと家庭のための奈良の民話二』所収の「さるの肝」とよく似ています。
奈良の話では、さるの肝を欲しがるのは、竜宮のおと姫さまですが、インドの「さるとわに」では、わにの奥さんが、嫉妬のあまりさるの心臓を食べたいというのです。
妻のせいで親友をなくしてしまうわに。なんだか悲しい話ですが、そんなことってあるよなあと思わせます。

ATU91「猿の心臓は薬」。
類話は世界中にありますが、古代インドの『ジャータカ』や『パンチャタントラ』にも記録があるので、インド発祥ではないかと思われます。

日本では、「くらげの骨なし」という話型で広く語られています。

フトモモの実は夏に黄色く熟し、直径4cmほど。味は薄いがバラのような芳香があるそうです。


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うるわしの王女マリア

うるわしのおうじょまりあ

ロシアの昔話

ATU302C「魔法の馬」
この話型の敵役は、竜であることが多いです。でもこの「うるわしの王女マリア」では不死身のコシチェイが敵役です。ロシアの昔話によく出てくるキャラクターです。
魔法の馬の持ち主である魔女も、ロシアらしくヤガーばあさんになっています。

主人公の妹たちのもとに鷹・鷲・からすが求婚にやって来ます。この鳥たちは、それぞれ鳥の王たちです。つまり彼岸の存在で、主人公にとっては援助者となります。
このモティーフを中心として、これだけでひとつの話型を作っています。ATU552「動物と結婚した少女たち」です。

イワン王子は、不死身のコシチェイにさらわれた王女マリアを探して旅し、課題をクリアしていきます。
これも、ATU400「いなくなった妻を探す夫」というひとつの話型を作っています。大変よくある類話です。

イワンがヤガーばあさんのテストに合格したのは、旅の途中で助けた渡り鳥とライオンとミツバチのおかげです。
この動物の恩返しも人気のある話です。ATU554「恩に報いる動物たち」としてたくさんの類話があります

こんなふうにつぎつぎと人気のある話型が連結して長い大きな話となっています。長いけれど、語っていて楽しく、あきることがありません。


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「うるわしの王女マリア」前半の語りが聞けます。
「うるわしの王女マリア」後半の語りが聞けます。

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くまとしまりす

ロシアの昔話

かわいらしいお話です。
なぜなに話なので、もともと幼い子に語られたものでしょう。

ロシアのなかでも北東部、シベリアで語られているおはなしです。
厳しい冬を超えてお日さまが顔を出す頃の季節感にあふれています。

シマリスは、シベリアでは日常的にみられる野生動物です。

春先のおはなし会でどうぞ。


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楽師と幽霊

がくしとゆうれい

クロアチアの昔話

ATU470「死人の恩返し」
導入部で、されこうべが、結婚式のまんじゅうを食べさせてくれたお礼だといって、主人公を異界へつれていきます。
助けられたカメが竜宮城へつれていってくれる「浦島太郎」と同じですね。
そして、異界ではたった三日しかたっていないのに、帰ってきたら百年以上たっています。異界とこの世では時間の流れが違うのです。
日本の昔話「春の野道で」⇒こちらでは、おじいさんがされこうべにお酒を飲ませますが、異界へ行くことはありません。同じモティーフを使っていても、雰囲気もテーマもずいぶん異なりますね。

あちらの世界で幽霊を訪ねてくる三人の男のモティーフが印象的です。
人生ってそういうものかなあと考えさせられます。


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七人のオーベルニュ人

ななにんのおーべるにゅじん

フランスの昔話

フランスの中央にオーベルニュ地方という山岳地帯があります。イギリスのゴタムなどと同じく愚か村と呼ばれています。この地方の人たちは何かにつけ笑いの種にされていたそうです。

この「七人のオーベルニュ人」は、ATU1250「人間の鎖」という話型に分類されます。
西暦1世紀にインドと中国で語られていた記録があるそうです。ヨーロッパでは14世紀の記録があるそうです。古今東西、笑いのツボは同じということですね。

ゴタム村の話は⇒こちら。日本の愚か村話については昔話雑学に載せています。⇒こちら
フランスのもうひとつの愚か村話は⇒こちら


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知恵を売った少年

ちえをうったしょうねん

インドの昔話

ATU910C「事を始める前に慎重に考えよ」
買った教えや授けられた教訓にまつわる話は、世界じゅうにあるようです。

「知恵を売った少年」では、商人の息子に2つ、おうさまにひとつ知恵を売ります。
商人の息子にうったひとつ目と、王さまに売った知恵は、状況の一致がおもしろいです。

高学年から大人のおはなし会で、長いおはなしのあとにどうぞ。


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ガラスの山のお姫さま

がらすのやまのおひめさま

ノルウェーの昔話

三人兄弟の末っ子が、主人公。
ふたりの兄さんにばかにされながら、課題を解決して幸せをつかむ。昔話らしく、主人公のみが、恩寵を得ているのです。

つるつる滑る氷のようなガラスの山、そのてっぺんに座るお姫さま、お姫さまの膝には、金のりんご。くっきりと印象的なイメージで語られていきます。

ATU530「ガラス山の姫」
世界中に類話はありますが、ヨーロッパ中心に語られていたようです。


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