幸運の種まき

こううんのたねまき

イスラエルの昔話

この話には、悪人がひとりも出て来ません。それでも、運命は人々をほんろうします。
徳のある村長の行動と、それに誠実に答えようとする主人公の生きざまに、感銘を受けました。

原話の解説に、つぎのようにありました。
「運命的聖者伝。宿命についての信仰と血の復讐あるいは相応の賠償金の習慣は近東では極めて一般的のことだそうです。」

大人向けの話ですが、若い人に聞いてほしいと思いました。


下のボタンからテキストをダウンロードできます。

語りが聞けます。


⇒人間たちの話一覧へ

なまけもののおかみさん

リトアニアの昔話

ATU1405「怠惰な紡ぎ女」+902「怠惰な女が治療される」

おかみさんもおかみさんなら、旦那さんも旦那さんですね。
でも、ふたりとも、何の邪心も持っていません。おかみさんが極端な怠け者だということをのぞけば、人情の温かい夫婦です。
そのおかみさんも、最後は心を入れ替えて働き者になって、みんなから尊敬されて、めでたしめでたしです。。


下のボタンからテキストをダウンロードできます。

語りが聞けます。


⇒人間たちの話一覧へ

三匹の子ブタ

さんびきのこぶた

イギリスの昔話

イギリスの昔話「三匹の子ブタ」は、ディズニーをはじめとして、ずいぶん改ざんされた絵本や動画が、当たり前のように出回っています。
ここで紹介したのは、ジェイコブズが集めて再話したもので、語り継がれた元の形を大切にしたテキストを、日本語で再話しました。

この話は、動物の食い合いの話で、すべての命は他の命をもらって生きているという、命の真実を語っています。子どもには、改ざんしたものではなく、ほんものを伝えたいです。


下のボタンからテキストをダウンロードできます。

語りが聞けます


⇒動物たちの話一覧

きつねとおおかみ

オランダの昔話

おおかみが、ずるがしこいきつねにしてやられるおはなし。
きつねは親せきの子どもの誕生祝いに出かけるのですが、類話では名付け親になるという場合が多いようです。同じような話が世界じゅうにあります。

きつねが悪いのか、ばかなおおかみが悪いのか、世の中ってそんなもんだよねと、笑って教えてくれるお話です。

低学年から楽しめると思います。


下のボタンからテキストをダウンロードできます。

語りが聞けます。


⇒動物たちの話一覧

百ルーブリで買えるもの

ひゃくるーぶりでかえるもの

ロシアの昔ばなし

原題は「買われた妻」です。
人間を「買う」なんて、なんてことでしょうと思いますが、古今東西、現実にあることです。ただし、昔話なので、人身売買という社会的なモティーフを使っているだけで、テーマはそこにはありません。
ここで描かれるのは、妻の援助により成功する若者、失った妻を探す若者の物語です。勇気と希望の物語です。


下のボタンからテキストをダウンロードできます。

語りが聞けます。


⇒人間たちの話一覧

手に職がなければ

てにしょくがなければ

コーカサスの昔話

ATU949「若い紳士がかご細工を習う」

娘が、身分や富貴を求めることなく、堅実な考えを貫こうとする賢さに拍手したくなりました。そして、そんな彼女を愛する皇帝が、彼女のことばにすなおに従って、おかげで命が助かるという成り行きに、いい話やなあとうれしくなって、思わずここに紹介してしまいました。

多くの民族で、女性の社会的地位は伝統的に低かったと思います。そのなかで、女性が知恵を使って、また品性の良さで、男性をしのぐ話がけっこう伝わっています。現代女性として、そんな話も語り継ぎたいと思います。


下のボタンからテキストをダウンロードできます。

⇒人間たちの話一覧

おしゃべりメッテ

デンマークの昔話

秘密がどんどん広がっていくのは、心配しながらもおかしくて笑えますね。
最後のどんでん返しは、ちょっとびっくりしますが。

この話は、13世紀にすでに類話が記録されているそうです。

ATU886「秘密を守れなかった少女」 
いまのところ、ヨーロッパにしか類話が見つかっていないようです。


下のボタンからテキストをダウンロードできます。

語りが聞けます。


⇒人間たちの話一覧へ

王さまだってぜんぶは信じられない

おうさまだってぜんぶはしんじられない

オーストリアの昔話

ATU852「嘘つき比べ」
王さまやお姫さまに「それはうそだ」といわせたら、ほうびとしてお姫さまと結婚できるという話です。
同じような話は世界じゅうにあります。

大真面目に語るほら話がおもしろいですし、王さまがいちいち肯定する表情を想像するのも楽しいですね。


下のボタンからテキストをダウンロードできます。

語りが聞けます。


⇒人間たちの話一覧へ

太陽の娘

たいようのむすめ

ジョージアの昔話

壮大なファンタジーです。

冒頭、三人兄弟が畑を耕しますが、末っ子だけは収穫がありません。
昔話の主人公は、こんなふうに端っ子の存在です。端っこの存在が、さまざまな苦難を経て幸せを手に入れます。

この話の主人公は、太陽の娘と暮らし始めたとき、働くのが嫌で怠けてばかりいますが、妻が助けて楽な生活を送ります。主人公は必ずしも勤勉でなくてもよいのです。昔話はいろんな人生を描いているからです。
現実にはひとりの人間の中に怠け心もあれば、ある時期、怠け者になったりします。それを肯定しているのが、昔話です。


下のボタンからテキストをダウンロードできます。

「太陽の娘」前半の語りが聞けます。
「太陽の娘」後半が聞けます。

⇒まほうの話一覧へ

さるとわに

インドの昔話

『子どもと家庭のための奈良の民話二』所収の「さるの肝」とよく似ています。
奈良の話では、さるの肝を欲しがるのは、竜宮のおと姫さまですが、インドの「さるとわに」では、わにの奥さんが、嫉妬のあまりさるの心臓を食べたいというのです。
妻のせいで親友をなくしてしまうわに。なんだか悲しい話ですが、そんなことってあるよなあと思わせます。

ATU91「猿の心臓は薬」。
類話は世界中にありますが、古代インドの『ジャータカ』や『パンチャタントラ』にも記録があるので、インド発祥ではないかと思われます。

日本では、「くらげの骨なし」という話型で広く語られています。

フトモモの実は夏に黄色く熟し、直径4cmほど。味は薄いがバラのような芳香があるそうです。


下のボタンからテキストをダウンロードできます。

語りが聞けます。


⇒動物たちの話一覧へ