「女の子の成長の話」カテゴリーアーカイブ

魚に変えられた若者

さかなにかえられたわかもの

ジャマイカの昔話

ATU327「子どもたちと鬼」
この話型には、グリム童話「ヘンゼルとグレーテル」や、イギリスの昔話「ミアッカどん」などがあります。
子どもが恐ろしい鬼や魔女から逃げるという、幼い子どもがドキドキはらはらする話が多いです。

この「魚に変えられた若者」は、悪者がふたり(魔女とパイ)いてちょっと複雑な構造になっているので、あまり幼い子には難しいですね。

ジャマイカは島々からなる国です。島や海の景色を楽しんで語りたいです。
海にも怖ろしい化け物はいるんですね。


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かしこいお手伝いの娘

かしこいおてつだいのむすめ

リトアニアの昔話

グリム童話では94「賢い百姓娘」が類話です。
グリムは真面目な雰囲気ですが、このリトアニアの話は、くすっと笑える要素がたっぷりあります。それにグリムのほうは長いですから、高学年にしか語れません。この話は3年生くらいから聞いてくれるでしょう。

なぞなぞを楽しみながら、感心したり、ほろっとしたりしてください。


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美しいテレジーナ

うつくしいてれじーな

イタリアの昔話

恋人たちのかわいらしいお話です。

ATU879「バジル娘」
娘がバジルに水をやっているところを、王子さまが見つけるところから、「バジル娘」という話型名になっています。

からかいの言葉のやりとりは、たいてい詩の形になっているそうです。
17世紀の『ペンタメローネ』にあります。

「わたしは指を切る」からの4行は、結末句。とっても印象深いです。

ところで、奈良の民話の「お藤井戸」も同じ話型です。
柳生十兵衛と村の娘お藤のやり取りがあります。こちらは、お藤の知恵があることに感心した十兵衛が、妻にするという話です。


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小さなからす

フランスの昔話

病気の父親の眼を治すために、三姉妹の末っ子が、からすと結婚します。
この冒頭のモティーフは、「猿婿」や「蛇婿」など日本の異類婚姻譚とそっくりですね。異なるのは、異類(からす)がじつは魔法にかけられた王子さまで、からすと結婚した娘が幸せになるところです。

嫉妬した姉さんたちの策略で、末娘は王子さまを失います。王子を探して旅に出ますが、ここが話の中心になっています。
ATU425「いなくなった夫探し」


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手に職がなければ

てにしょくがなければ

コーカサスの昔話

ATU949「若い紳士がかご細工を習う」

娘が、身分や富貴を求めることなく、堅実な考えを貫こうとする賢さに拍手したくなりました。そして、そんな彼女を愛する皇帝が、彼女のことばにすなおに従って、おかげで命が助かるという成り行きに、いい話やなあとうれしくなって、思わずここに紹介してしまいました。

多くの民族で、女性の社会的地位は伝統的に低かったと思います。そのなかで、女性が知恵を使って、また品性の良さで、男性をしのぐ話がけっこう伝わっています。現代女性として、そんな話も語り継ぎたいと思います。


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緑ずきん

みどりずきん

イランの昔話

冒頭、猟師の娘は、父親がとらえてきた馬と結婚します。
ああ、異類婚姻譚だなと気づきますが、この馬が、じつは《翼のある天使》だというところから、いっきに壮大なファンタジーの世界に入っていきます。
魔神の母親やおばが娘に難題を出し、亡き者にしようと追いかけてきます。呪的逃走のモティーフが、はらはらさせてくれます。
主人公の娘がさまざまな試練を乗り越えることで、夫緑ずきんはすくわれ、ふたりは幸せになります。

結末の「この上もなくぜいたくに、この上もなく楽しく暮らしました。」は、現実を生きる語り手聞き手たちにとっての願望であり、夢でもあるのでしょう。
この結末句、気にいっています。


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さかなと指輪

さかなとゆびわ

イギリスの昔話

イギリスはイングランドの昔話。

この話は、「運命の説話」に分類されるもので、話型名は「予言」(ATU930)。

グリム童話KHM29「三本の金髪を持った悪魔」では、冒頭で、貧しい男の子が王の娘と結婚すると予言されますが、この「指輪とさかな」は、男女が逆になっていて、男爵の息子が貧しい娘と結婚すると予言されます。
どちらも、川に流されて助けられ、親切な夫婦にたいせつに育てられます。
どちらにもウリアの手紙のモティーフ⇒こちらがあって興味深いです。

日本にも、運定めの話はたくさん伝わっています。⇒こちら。これもふしぎです。


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井戸の底の贈り物

いどのそこのおくりもの

フランスの昔話

ATU480「親切な少女と不親切な少女」
グリム童話「ホレばあさん」やスロバキアの「十二の月の贈り物」の類話です。

井戸の底にいる女も娘たちも、彼岸者です。
主人公には贈り物をくれますが、不親切なもうひとりの娘はひどい目にあいます。

原話の解説によると、かつて娘たちは秋の収穫が終わると、娘宿という場に集まって夜なべ仕事をしながら、さまざまな話を語りあったそうです。
その娘宿の風習が、この話の背後に見えるようです。


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マルーラ

ギリシアの昔話

太陽の神、金のりんご。明るい雰囲気なのは、地中海の話だからでしょうか。

母親との約束で、太陽の神ヘーリオスは十二歳になったマルーラを連れ去ります。このモティーフはよくありますが、誘拐するのは魔女や悪者であることが多いようです。けれども、ヘーリオスは恐ろしい存在ではありません。悲しんでいるマルーラを見て、家に帰らせます。

マルーラを家まで送る動物として、ライオン、きつねは失格で、しかが送ることになります。
木の上のマルーラの姿が水にうつっているのを見て、魔女の娘が自分の姿だと勘違いするモティーフ。魔女の娘は三人です。
帰宅のとき、マルーラに気付くのは、犬、ねこ、おんどりです。
3回のくりかえしが重なって、リズムが生まれていますね。

マルーラが結局は母のもとに帰ることを思えば、この話を喜ぶ年齢は、あまり高くないと思います。


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白くま王ワレモン

しろくまおうワレモン

ノルウェーの昔話

ATU425A「動物婿」。
魔法昔話の「夫」の項「いなくなった夫捜し」の話型に分類されています。
この話型は、いろんなエピソードと結びついて、長い物語になります。
ただ、「妻による探索と贈り物」「買った夜」のモティーフは必ず入っています。

妻による探索。
お姫さまは果てしない森を歩き続けますね。まさにノルウェーの風景です。道中立ち寄った小屋で、女の子から金のはさみ、びん、テーブルかけの、三つの贈り物をもらいます。
類話には、途中で太陽や月、風、星などから贈り物をもらう話もあります。贈り物には、金のつむぎ車や宝石、ドレスなどもあります。

買った夜。
夫と魔女の結婚式の前の三晩、お姫さまは、三つの贈り物で、夫の側で夜を過ごす機会を買います。

このふたつのモティーフは、じつは、子どもの頃から知っていました。
とっても不思議で印象に残ったのです。夫が眠り薬で眠らされているそばで娘が泣く光景は忘れられません。


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