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パティルの水牛

インドの昔話

パティルのすいぎゅう

話型名「運のいいハンス」
グリム童話の「幸せハンス」の類話です。
「幸せハンス」についてのマックス・リュティの興味深い解釈を、ブログ井戸端会議に紹介しています。こちら⇒

主人公が、つぎつぎに値打ちのないものと交換する話としては、ブータンのヘレーじいさんがあります。こちら⇒
これらはどれも笑い話ですが、どこがおもしろくて笑えるのかというと、思わず値打ちのないものと交換してしまうところ、そのたびに満足するところ、その愚かさでしょう。愚かさを笑うのは、優越感からと、自分にもそんな部分があるとの共感からとですね。
笑い話ならば、オチがあるはずです。オチつまり物語の結末が、類話によってずいぶん違います。語り手のの思いや、民族性によるのでしょう。興味深いです。これも井戸端会議で確かめてください。こちら⇒

重荷を下ろして楽になったハンス、嬉しい心のうちを歌いながら帰って行くヘレーじいさん。どちらも、なるほどと考えさせられますが、パティルは、物乞いにわずかだけど全てをあたえることで、全てを手に入れています。
無一文で帰って来たパティルをやさしく迎えるおかみさんは、まるで「かさじぞう」のおばあさんのようです。ふたりが翌日の朝日のもとで見た光景に、思わず涙が出ます。


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語りを聞けます。

三つのオレンジ

イタリアの昔話

ATU408「3つのオレンジ」。ヨーロッパに広く分布しており、特に南欧系民族に多いそうです。
日本の「瓜子姫」も関係があるのではないかといわれています、瓜の中から生まれることや、あまんじゃくが偽の花嫁になることなどです。

冒頭、王子が指をナイフで傷つけてしまい、血のように赤くてミルクのように白い娘を求めるところ、まるで白雪姫の母親のようですね。同じモティーフなんだけれど、人物やテーマが異なると、雰囲気がまるで変わります。おもしろいですね。
ノルウェーの「旅の仲間」の冒頭でも、主人公が血のように赤くてミルクのように白い娘の夢を見て、心を奪われます。こちら⇒ 
美しさの基準は民族により、また時代によって異なるのですね。

悪役の魔女は、類話によっては黒人やムーア人であることが多いのですが、現代の私たちには差別的で語れません。けれども、このトスカーナの類話では単に「魔女」となっていたので、語れると思って再話しました。
結末で魔女は火あぶりにされます。原話では処刑の様子や魔女の醜さがリアルに表現されていたのですが、「描写しない」という昔話の語法にのっとって言葉を選びました。

ところで、ここではオレンジですが、この果物は、りんご、くるみ、ざぼん、ざくろ、レモンなどの類話があります。

一番古い類話は、17世紀ナポリの『ペンタメローネ』で、オレンジではなく、シトロンとなっています。王子の妻が変身させられるのは、つばめではなくて鳩です。

長めですがストーリーが単純なので、小学3年生くらいから聞けると思います。


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金のスリッパ

イスラエルの昔話

きんのスリッパ

ATU875「賢い百姓娘」。
グリム童話のKHM94「賢い百姓娘」の類話ですが、ストーリーも雰囲気もずいぶん異なりますね。
貧しい娘が、知恵を使って自分の運命を切り開き、さらに夫の危機を救います。
後半はいったいどうなることかと興味をそそります。
最後の落ちは、笑い話的に語りたいです。


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はす

インドの昔話

水中の宝を手に入れるには、水に飛びこむ勇気が要ります。じっと待っているだけではだめなんですね。

浦島太郎の竜宮城に限らず、水の底に宮殿がある昔話や伝説は世界じゅうにあります。この話では女神が住んでいます。浦島太郎では乙姫さまですが、ここの女神はおそらくヒンドゥー教のラクシュミーか、仏教の吉祥天でしょう。

はすは、インド原産で、インドの国花でもあります。
インダス文明のころから、聖なる花とされてきたそうです。

この話が記録されたのは、インドのグジャラート州。
マハトマ・ガンジーの出身地です。

高学年向きに再話しました。


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ペトロシネッラ

イタリアの昔話

グリム童話の「ラプンツェル」やイタリアの「プレッツェモリーナ」の類話です。ATU310「塔の中の乙女」。その類話でも、『ペンタメローネ」の「ペトロシネッラ」は、記録された中ではいちばん古い形です。

前半のストーリーは、「ラプンツェル」と同じですが、後半は呪的逃走のモティーフですね。三枚のお札と同じです。

「プレッツェモリーナ」のページも併せて読んでください。こちら⇒

出典の『ペンタメローネ』について、ちょっと説明しておきますね。

『ペンタメローネ』

イタリアのジャンバッティスタ・バジーレ(1575~1632)によって集められた説話集(1634~1636年成立)。
枠物語(こちら⇒)で、10人が1日1話語った物語を50話集めてあるので、『五日物語』といわれています。
「長ぐつをはいた猫」「眠れる森の美女」「シンデレラ」なども収められていて、その古い形を知ることができます。
物語の舞台はナポリで、ナポリの風俗や習慣、信仰など、人びとの生活を、ナポリの方言で生き生きと表現されています。
バジーレは、小説家ですが、民俗学の先駆者とも考えられています。


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とらのまつ毛

朝鮮半島の昔話

虎のまつ毛をかざして見ると、人間の本性が分かる。

日本の昔話「狼の眉毛」とそっくりの話です。「狼の眉毛」は国内のあちこちで記録があるのですが、外国の話ではこの1話しか見つけられませんでした。それがふしぎで珍しいので紹介したいと思い、再話しました。

日本の場合、狼が呪宝をくれる呪宝譚のひとつです。
狼は、日本の伝承では神さま、もしくは神さまに近い存在です。こちら⇒《昔話雑学》。自然神ですね。
では、虎は?
朝鮮半島や中国では、虎はやはり神さまに近い存在です。
日本の話が朝鮮半島に渡って換骨奪胎されたのでしょうか。

日本の「狼の眉毛」では、狼の眉毛を手に入れた主人公は、眉毛を使って幸せになります。でも、朝鮮半島の「とらのまつ毛」では、まつ毛はたいして役に立っていませんね(笑)

そのうち、「狼の眉毛」も語れるように再話したいと思っています。


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勇敢な娘

オランダの昔話

ゆうかんなむすめ

題名の通り、とっても勇敢な娘の話です。寂しいお城でひとりきりで留守番をするお手伝いの娘。そこへ盗賊団が忍び込もうとします。
娘が、とびらの下から潜り込もうとするどろぼうの首を、斧の一撃で切り落とすところは、ぎょっとします。けれども、血も流れないし、むしろ、どろぼうたちのあたふたぶりがユーモラスです。昔話の平面性が現れているところで、切り紙細工のように描かれます。

後半は、ロマンチックな展開かなと思いきや、恐ろしい屋敷に連れ込まれます。頭に銀のふたの乗っている若者は、盗賊の一味というより、彼岸からの存在のように感じます。
この屋敷からの逃走譚は、日本の昔話「油取り」と同じです。でも、油取りの主人公とは異なり、娘は、あくまでも勇敢です。

スリルがあって、怖くて、笑える話です。
高学年にどうぞ。
ATU956B「家にひとりでいた賢い少女が強盗たちを殺す」


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旅の仲間

たびのなかま

ノルウェーの昔話

ノルウェーのペテル・クリスティン・アスビョルンセン(1812~1885年)は、大学生のころグリム童話を読んで昔話に興味を持ち、友だちのヨルゲン・モーといっしょに、ノルウェーに伝わる伝承を集めました。それは、『ノルウェーの民話』として出版されました。正60話と続50話、あわせて110話です。これは、グリム兄弟にもいい物だと評価されたそうです。

「旅の仲間」は、続編に入っています。これは、ジョージ・ダセントによって英訳されていて、ここから再話しました。

長い話ですが、ストーリーは一直線に進みます。そして、氷の柱に閉じこめられた死体や、一度座ったら離れないいすや、三人の魔女の持つ呪物(剣・金の糸玉・ぼうし)、トロル山に住むトロルなど、つぎつぎと現れるモティーフに、わくわくします。

ここに登場する入江は、氷河の作ったフィヨルドです。フィヨルドの風景を写真などで確かめると、金の橋の光景が目に浮かぶでしょう。

最後に、主人公がわが子を切ろうとする場面、旅の仲間が去ってゆく場面は、感動的です。

ATU507「怪物の花嫁」


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金のとさかのおんどりとひき臼

きんのとさかのおんどりとひきうす

ロシアの昔話

小学2年生くらいまでの幼い子むきのおはなしです。

貧乏だけど善良なおじいさんとおばあさん。
木の実が芽を出して天までとどく。木を上って行ったら空に着いた。
空を歩いていると、金のとさかのおんどりがいて、ひき臼があったので持って帰る。ひき臼は、クレープとパイを出してくれる。
どこかで見たことのあるような、ファンタジックなモティーフが、軽快に続きます。

後半は、悪い旦那さんと金のとさかのおんどりの、ひき臼をめぐる闘いです。もちろん、おんどりが勝ちます。
「半分のにわとり」とよく似ていますね。類話です。でも、前後のモティーフが異なると、物語の雰囲気がずいぶん変わります。

このおんどりは、天にいて金のとさかを持つから、彼岸者です。

STU715A「すばらしいオンドリ」


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海の水はなぜからい

うみのみずはなぜからい

ノルウェーの昔話

ATU565「魔法のひき臼」

クリスマス・イヴのこと、貧しい弟が、金持ちの兄さんに食べ物を乞います。
いじわるな兄さんは、ベーコンをくれますが、「まっすぐ地獄へ行っちまえ」といいます。なんだかみじめで最低の状況です。
ところが、そのおかげで弟は地獄でまほうの引き臼を手に入れて、大金持ちになるのです。

この類話は世界中にあって、日本でも古くから語られています。
もともとは、北欧が発祥ではないかといわれています。

グリム童話では、KHM103「おいしいおかゆ」が類話です。
ずいぶん雰囲気が異なりますね。「おいしいおかゆ」では、地獄ではなく森の中。悪魔ではなく、おばあさん。やっぱり彼岸者ですが、援助者です。いじわる兄さんではなくお母さんです。お母さんにできないことを、小さな女の子がやってのけて、みんなをおかゆから救う。幼い子が満足できる話です。
「海の水はなぜからい」は、もう少し複雑な構造になっています。小学2年生くらいから楽しめるのではないでしょうか。クリスマス会や新年会にどうぞ。


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