ものをいう卵

アメリカの昔話

ATU480「親切な少女と不親切な少女」に分類される話です。この話型の昔話は、世界じゅうに分布しています。グリム童話「ホレおばさん」、ロシアの「ババ・ヤガー」、「馬の首」、イギリスの「地の果ての井戸」、ハイチの「川の母」など、私たちにおなじみのパターンです。

「親切にはよい報いがあり、不親切には悪い報いがある」というメッセージには、道徳的な効用があるのでしょう。

ただ、この話の中のお母さんは、ずいぶん自分勝手な人に見えますね。ローズとブランシへの対応が、手のひらを返したみたいに変わります。幼い子は、親から認められたいという強い思いがあります。ところが、自分は何も悪いことをしていないはずなのに、ブランシのように理不尽に叱られることがあります。だから、ブランシがきれいなものを持ってかえって来たとき「お母さんは大喜びしました」というのは、子ども側から見ればご褒美なのです。
 
ところで、親切(または不親切)にする相手が人間ではなくて彼岸の存在であることに注目すると、もっと深い意味があるような気がします。森の奥や、井戸などの水の底といった彼岸は、自然界をあらわすと考えることができます。たまたま自然界に入りこんだ人間がどのように行動するかということに焦点を当てると、とても興味深いです。人と自然のモラルを教える話が、世界じゅうで愛されてきたことに、意味があるのではないでしょうか。

同じ話が偕成社文庫の『アメリカのむかし話』(渡辺茂男編訳)に入っていますが、残念ながら絶版です。そこで、皆河宗一氏がA・フォーチャー編『ルイジアナ民話』から翻訳されたものを原話にして、ここに再話しました。ぜひ語ってみてください。。聞きなれていれば5歳児から聞けると思います。
 
音声は図書館のお話会、3歳から7歳まで12人です。小さい子にわかるように語っているので、テキストと少し違っていますが、テキスト通りに語るのが理想形。

テキストは『語りの森昔話集4おもちホイコラショ』に掲載しています。こちら⇒書籍案内

語りを聞けます。

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