カタリネラ―七足の鉄のくつと三本のつえ

カタリネラーななそくのてつのくつとさんぼんのつえ

イタリアの昔話

コルシカ島に伝わる昔話です。

七、三は昔話が好む数(昔話の固定性)ですね。鉄は硬い物、つえは鋭い物で、これも昔話が好む物の性質です(抽象性)。
主人公は三人姉妹の末っ子(孤立性)。
三人の援助者と、呪いを解くための三つの宝。
七足の鉄のくつをはきつぶし、三本の木のつえが(ドアをたたくことで)すりへるまで歩かなくてはならないという、極端に長い旅(極端性)。
援助者は、百年ものあいだ人に会ったことがないという、極端に長い時間。
昔話の語法にぴったりあった、分かりやすい聞きやすい話です。

しかも、イメージの豊かさにほれぼれします。
山のてっぺんにある魔法の城、その大広間、居並ぶ石の像。
大地から浮かび上がるお城。
大地から浮かび上がる水車。
山を登る主人公の周りで、森の木々は歌い、石は動き、動物はしゃべりだす。
想像してみてください。

さらに、この話では音楽が彩を添えます。
呪宝の梨、クルミ、アーモンドは、音楽を奏で歌を歌います。
ラストの一文は、一度使われた贈り物は二度と使われないし、日常的には使われないという、昔話の語法にはずれています。が、この部分、大好きです。
再話しているとき、頭の中で常に音楽が流れていました。それもあって、特に会話文では音楽的なリズムや音に気を使いました。

ATU444。話型名「魔法にかけられた王子が魔法を解かれる」
ヨーロッパに分布する話です。
呪いをかけられた者を乙女の真心が救済するという話は、ヨーロッパ中世に好まれた文学の素材だそうです。それが口承に下りてきたのですね。

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