かしこい娘

かしこいむすめ

オーストリアの昔話

ATU875「賢い百姓娘」
世界じゅうに類話が広がっています。グリム童話にもあります。KHM94「かしこいお百姓の娘」

導入部の娘と侯爵(王さまなど)出会いにはいくつかのパターンがあります。

1、妻を求めている王が偶然賢い娘に会う。
2、父親が畑で黄金のすり鉢を発見。賢い娘が止めるのも聞かず、父親はすり鉢を王の所に持って行く。王は、すりこ木ももって来いと要求する。
3、農夫と貴族との法廷での争いを解決するために、両者に謎が出される。農夫の娘は正しく答える。
4、王がある家で娘を見つける。王が彼女の親族について尋ねると、娘は機知と賢さに飛んだ答えをする。

「かしこい娘」は3のパターンですね。グリムは2のパターン。

娘は王の出した難題を解くのですが、難題には例えばこんなものがあります。

ア、裸でもなく服も着ないで、馬に乗らずに徒歩でもなく、王の所に行かなければならない。
イ、王のあごひげの値打ちを見積もらなければならない。
ウ、ほんの少しの糸だけで服を編まなければならない。
エ、ゆで卵から雛をかえさなければならない。
オ、七面鳥の肉を切り分け、家族全員に適切な部分を与えなければならない。

などなど。
グリムはアのパターンです。
「かしこい娘」は難題というよりなぞなぞの答えを解くのですね。 

この話は、三重の謎になっています。
まず伯爵が出した謎、次に小百姓の子馬の謎、最後が、最愛のものは何かという謎。
この謎を解いて行く過程で娘は伯爵の愛を勝ちとって行くのですね。特に、最後の最愛のものの謎は、ロマンティックで感動的です。
でも、グリムのように重くとらえないで、笑い話のすてきなオチと考えて再話しました。謎を楽しみながら、軽く語ってください。

この話型の話は、カール・オルフのオペラ「賢い女」(1942年)によってとくに有名になったそうです。重くはなくコミカルなオペラです。

ブログ井戸端会議に、マックス・リュティによる解説をあげています。ご覧ください。こちら⇒


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