かがやくおひさまが、あかるみにだす
ドイツの昔話
この話は、グリム童話の115番です。あまり知られていないと思いますが、実は、とっても古い話型の類話なのです。
語れる形に再話しました。
『日本昔話大成7』の関敬吾による注には、この話型は、「イビュコスの鶴」が由来となっていると書かれています。
イビュコスは、紀元前6世紀のイタリア出身の吟遊詩人。強盗に殺されるのですが、死のまぎわに、目撃していた鶴に復讐を託します。強盗たちは、劇場の人込みのなかで、飛んでくる鶴を見て、「イビュコスの鶴だ。復讐に気を付けろ」とさけびます。そのせいで、強盗たちは罪が明るみに出て、つかまえられてしまいます。
ATU960「太陽がすべてを明るみに出す」
類話は世界中に広がっています。
日本では、「むみょうの橋」(話型名「こんな晩」)⇒こちらや「いうなの地蔵」(話型名「いうなの地蔵」)⇒こちらがあります。
なお、グリム童話115番では「ユダヤ人」となっているところを「商人」、「名付け親」を「親」に変えて再話しました。グリムの時代のドイツの人たちの語感が、わたしには理解できないからです。テーマ優先で語を置きかえました。時代背景に理解のあるかたは、元の語に戻して語ってください。
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