しらないたびびと
モンゴルの昔話
日本の昔話では、貧しいおじいさんに親切にしてあげると、大判小判に変わったりするのですが、この話はそうではありません。だからこそ、ぞっとする話。
夏の怪談話、恐いおはなし大会などにどうぞ。
自分のうしろって気になりますよね(笑)
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日本の昔話では、貧しいおじいさんに親切にしてあげると、大判小判に変わったりするのですが、この話はそうではありません。だからこそ、ぞっとする話。
夏の怪談話、恐いおはなし大会などにどうぞ。
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コルシカ島に伝わる昔話です。
七、三は昔話が好む数(昔話の固定性)ですね。鉄は硬い物、つえは鋭い物で、これも昔話が好む物の性質です(抽象性)。
主人公は三人姉妹の末っ子(孤立性)。
三人の援助者と、呪いを解くための三つの宝。
七足の鉄のくつをはきつぶし、三本の木のつえが(ドアをたたくことで)すりへるまで歩かなくてはならないという、極端に長い旅(極端性)。
援助者は、百年ものあいだ人に会ったことがないという、極端に長い時間。
昔話の語法にぴったりあった、分かりやすい聞きやすい話です。
しかも、イメージの豊かさにほれぼれします。
山のてっぺんにある魔法の城、その大広間、居並ぶ石の像。
大地から浮かび上がるお城。
大地から浮かび上がる水車。
山を登る主人公の周りで、森の木々は歌い、石は動き、動物はしゃべりだす。
想像してみてください。
さらに、この話では音楽が彩を添えます。
呪宝の梨、クルミ、アーモンドは、音楽を奏で歌を歌います。
ラストの一文は、一度使われた贈り物は二度と使われないし、日常的には使われないという、昔話の語法にはずれています。が、この部分、大好きです。
再話しているとき、頭の中で常に音楽が流れていました。それもあって、特に会話文では音楽的なリズムや音に気を使いました。
ATU444。話型名「魔法にかけられた王子が魔法を解かれる」
ヨーロッパに分布する話です。
呪いをかけられた者を乙女の真心が救済するという話は、ヨーロッパ中世に好まれた文学の素材だそうです。それが口承に下りてきたのですね。
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ATU500話型名は、「超自然の援助者の名前」
井戸端会議の、グリム童話「ルンペルシュティルツヒェン」を調べたときに見つけた昔話です。こちら⇒
主人公の設定、彼岸者の間抜けさ、などから、笑い話としてのおもしろさを楽しめると考えて再話しました。
リカベール・リカボンは、自分の名前を告げています。本来なら言ってはならないはずで、間抜けだなと思います。が、主人公は、気楽に考えてしまって、名前を忘れてしまうのです。やっぱり間抜けですね。
怠け者で忘れん坊の主人公に聞き手はいやされるのではないでしょうか。
歌の部分は、歌ってもいいし、ただ唱えるだけでもいいと思います。
1700年前後のお伽噺(ペローの姪レリチェ・ド・ヴヴィランドン)の物語(昔話をもとにした創作)に「リクダン・リクダン」というのがあって、この話には、歌に楽譜がついています。
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原題は、「正夢」
夢で見たことが本当になるという意味ですね。
ATU725
話型名は「将来の君主を予言する」
これが主軸になっていますが、イワンが森の中で三人のおじいさんから魔法のじゅうたんなどの宝を取り上げるモティーフは、ATU926D「裁判官が論争の対象物を横取りする」と合体していることがわかります。
魔法のじゅうたんといえばアラビアンナイトを思い浮かべるし、隠れ帽子は彦一を思い出すし、いだてん靴は千里車やマイル靴を思い出します。世界共通の魔法満載ですね。
イワンが最後に魔法のアイテムをすべておじいさんに返却するのが、珍しく、とっても気持ちがよいです。
うるわしのエレーナ姫の課題のきらびやかなこと。靴も鳥も金やダイヤモンドや宝石で飾り立てられています。海の老人(おそらく海神)のあごひげは金、髪の毛は銀です。おまけに金の盃。
このきんきらは、ロシアの昔話の特徴のようです。
この話型は、日本の昔話にもあります。「夢見童子(夢見小僧)」です。
初夢を話さなかったからといって、親が息子を船に乗せて流してしまいます。船は鬼ヶ島につき、息子は鬼から生き針と死に針と千里棒を手に入れます。最後は、夢が実現してハッピーエンドです。
夢の話をしないがために罰せられるという設定は、落語の「天狗裁き」も同じですね。
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いかにもロシアらしい雰囲気の話です。
「話に聞いたこともなければ、絵でも見たことがない」「昔ばなしには聞くけれど、とても想像できないほど」「心配しないでおやすみなさい。朝になればよい知恵も浮かぶでしょう」「短かったか長かったか、どれほど歩いたか」などは、ロシアの昔話によく出てくる常套句です。
転がる糸玉、ミルクの川にキセーリの岸、にわとりの足の上にたつ家、ペーチカ、お風呂、どれもロシアの昔話におなじみの風景です。
ババ・ヤガーと不死身のコシチェイも、ロシアらしい登場人物。
けれども、ストーリーは、ロシア特有ではありませんね。
前半はグリムの「三枚の鳥の羽」にそっくりです。後半の動物の恩返しは、世界じゅうにあります。命が卵の中にあるモティーフもよく知られています。
ATU402「動物花嫁」とATU400「いなくなった妻を捜す夫」が結合しています。
よく似た話でも、民族が違うと、こんなふうに変わるのですね。
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かぜにのったヤン・フェッテグラーフ
真っ暗な道を歩いて行くと、ふしぎなおばあさんに会います。
ものしりグレーテ。
魔女でしょうか?
いえ、キリスト教が入ってくる以前の「賢い女」なのでしょう。糸紡ぎは、女神の仕事だし、この世ができたときからここで糸を紡いでいるのだから。
このおばあさんは、四つの風の母親です。日本の昔話「風の神と子ども」を思い出します。
主人公ヤンは、南風に死ぬことのない国に連れて行ってもらいます。
異界から異界へと移動する、ものすごくスケールの大きい話ですね。それなのに、おばあさんと息子たちの会話は、とっても俗っぽいし、死ぬことのない国のお姫様も王様も、部屋の様子も、日常的です。昔話の面白さですね。
ヤンが故郷に帰るモティーフは、「浦島太郎」と同じです。馬から下りてはいけないと言われたのに、情に負けて馬を下りてしまいます。浦島太郎と同じ、タブーを破って、異界からの贈り物を使えなかった時点で、死が訪れます。
スケールの大きさ、壮大なファンタジーに惹かれて再話しました。最後が主人公の死で終わるので、子どもに語れるかしらと思いましたが、練習しているうちに、もう700年以上も生きたんだから、すごい体験をしたんだから、結局は幸せだったんじゃないかなと思えました。
死神については、興味津々ですが、未調査です(笑)
この話の主人公は猫。この猫は、心優しいように見えて、自己中心的ですね。子どもの特性を備えています。だから、人に物をやっては惜しくなってとり返しに行ったり、もっといいものを盗んだりする猫に、子どもは、心の奥でこっそり共感します。道徳的にはよくないと分かっているから、こっそりとです。
でも、猫の表情は明るく、話全体が日の光を浴びているように思えます。結末では、猫自身が努力をして才能を磨き幸せになります。
このような、子ども自身の欠点をそのまま認めてくれる話を、信頼する大人から聞くことは、とても大切だと思います。幼児から低学年向きに再話しましたが、大きい子のサブの話としても使えると思います。
話型は、いま調べ中。該当するのは3話型。
ATU1415「運のいいハンス」・・グリムの「幸せハンス」
ATU1655「有利な交換」・・日本の「わらしべ長者」
ATU2034C「貸すことと返してもらうこと:損をしていく(よくなる)交換・・連鎖譚です。
どちらにしても、どこかで聞いたことがあるような話ですね。
テキストは『語りの森昔話集4おもちホイコラショ』に掲載しています。こちら⇒書籍案内
導師というのは、仏教やヒンドゥー教で、人びとを教え導く人のこと。
この話は、南インドでは、導師パラマルタと彼の弟子たちについての陽気な連作のひとつだということです。この本を編集したラーマーヌジャンさんが、子どもの頃聞いた話だそうですが、7世紀にはすでに語られていたという文献があるとのことです。
ATU1287。話型名は「愚か者たちが自分たちの人数を数えることができない」です。自分を数に入れずに人数を数える笑い話ですね。このサイトで紹介している「ろばの数」もそうです。こちらはカビールの昔話です。
この話型は、ヨーロッパ、アジアに広がっていますが、今回再話した導師パラマルタの話は、さかのぼれる限りで一番古いものだということです。
高学年以上のおまけの話におすすめです。
日本の愚か村話については、《昔話雑学》をみてください。
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愚か村話です。昔話雑学では、日本の愚か村話について書きました。こちら→ が、じつは、愚か村の人たちの話は、日本だけでなく世界じゅうにあるのです。ヨーロッパでの有名な例として、イギリスのゴタム村の話をご紹介しました。
ここに出てくるチーズは、私たちがスーパーで見かけるようなものとは違います。一かかえもあるような大きくて丸いチーズです。
愚か村は、実在の村や町です。そこの人たちが本当に笑い話のネタになるようなことばかりをしているはずはないのですが、どうしてこんな話が語られているのでしょうか。
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マーシャ・ブラウンの絵本『三びきのやぎのがらがらどん』でおなじみのノルウェーの昔話です。
瀬田貞二の名訳もあって、絵本で楽しめばいいのかもしれませんが、もともとは、語り伝えられてきた昔話です。
耳で聞いて楽しみたいと思って、再話しました。
ATU122E「太ったヤギを待つ」という話型です。
ATU122というのは、「嘘の言い訳で獲物が逃げることができ、動物は獲物を失う」という話が集められていて、A~Zまでさまざまなバリエーションがあります。弱肉強食の世界で、弱いものが知恵を使って強い者から逃れる話です。
前回紹介したイタリアの「おんどりときつね」⇒こちらも見てください。
この「三匹のやぎ」は、北欧を中心に語られていたようで、世界的にはあまり残っていません。そして、いかにも北欧らしいトロルは、他の国、例えばドイツでは、オオカミになっています。
単純な話ですが、三回のくりかえしのリズム、やぎの大きさのクレッシェンド、最後に恐ろしいトロルをやっつけるという爽快さ、魅力的な話です。
テキストは『語りの森昔話集4おもちホイコラショ』に掲載しています。こちら⇒書籍案内