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聖アントニウスの物語

せいあんとにうすのものがたり

ベネズエラの昔話

聖アントニウスは、キリスト教の聖者で、3世紀ごろの人といわれています。
特に動物の守護聖人だそうです。
今回紹介した昔話は、彼が聖者となる前の物語です。

冒頭、赤ん坊のアントニウスがなぜ木の枝にいたのか、説明はありません。けれども、「鷹にさらわれた子ども」の良弁僧正のように、のちに聖人となる人が木の上にいたという話はよくあるようです。

魔女のキャラクターもおもしろいですが、魔女にたぶらかされる太陽もおもしろいです。そして、アントニウスの助手のぶた、あいきょうがありますね。

最後の2文は結末句です。ゆかいですね。これはいつでも使えそうです。


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神の顔

かみのかお

イスラエルの昔話

ATU922「羊飼いが聖職者の代わりに王の質問に答える」
社会的地位の高い人物が一定期間に答えなければ死刑にするといって、3つの難問を出すというお話。
おそらくユダヤ起源で、9世紀に資料があるそうです。なんと古い話ですねえ。

ほんとうに知恵があるのは百姓で、そのことを大臣の娘は知っていたこと、床にチョークで人型を描くこと、が、気に入って語りたいと思いました。

《外国の昔話》におなじ話型の「ラ・レアールの修道院長」⇒こちらを紹介していますので、参考にしてください。


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ブネネとぐんかんどり

ミクロネシアの昔話

大空にあこがれる少女と、大空を王のように飛ぶぐんかんどり。ミクロネシアのヤップ島に伝わる悲しいおはなしです。
ぐんかんどりは、熱帯の海洋に住む大型の鳥です。ブネネは、不詳。サギの仲間ではないかといわれています。


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王さまとどろぼう

おうさまとどろぼう

リトアニアの昔話

どこかで聞いたことのある話ですね。

ATU981「隠されたお爺さんの知恵が王国を救う」

「うばすて山」とそっくりです。
「うばすて山」の話は純粋に日本の話だと思っていたら、リトアニアにもありました。「うばすて山」は、とっても日本的ですし、「王さまとどろぼう」はとってもヨーロッパらしい。どちらが先ということはないのでしょうか。
人々の想いって、どこも同じ。興味深いです。


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かしこいお手伝いの娘

かしこいおてつだいのむすめ

リトアニアの昔話

グリム童話では94「賢い百姓娘」が類話です。
グリムは真面目な雰囲気ですが、このリトアニアの話は、くすっと笑える要素がたっぷりあります。それにグリムのほうは長いですから、高学年にしか語れません。この話は3年生くらいから聞いてくれるでしょう。

なぞなぞを楽しみながら、感心したり、ほろっとしたりしてください。


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三つの金のりんご

みっつのきんのりんご

スイスの昔話

ATU314「黄金の若者」

主人公は九人兄弟の一番上です。一番上も末っ子と同じく端っこの存在です。昔話では、端っこの存在が主人公になります。孤立性の表れですね。

見てはいけない部屋や、呪的逃走など、人気のあるモティーフがおりこまれていて、ワクワクする物語になっています。

バイヤルトという馬が主人公の援助者です。
三本のたてがみと呪文によって主人公を助けます。

長いので高学年向きですが、四年生でも楽しめると思います。


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魚のなる木

さかなのなるき

パラオの昔話

貧しい女の人が、巨大なタコの木の根元にたまごがあるのを見つけます。
たまごから親指よりも小さな男の子が生まれます。
その子はあっという間に大きくかしこく育ちます。
まるで、一寸法師のようです。

このような「小さ子の誕生」のモティーフを持った話は、世界じゅうにあります。⇒こちら

男の子が海にもぐって島に穴を開けたり、大漁をもたらしたりするのは、いかにも南の島の話だなあと思います。
すきとおった青い海と空の光景が見えるようです。


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りこうな末っ子

りこうなすえっこ

スイスの昔話

ATU921「農夫の息子と王」に分類される昔話です。ヨーロッパを中心に広く語られているようです。

息子の知恵のある答えは、さまざまなヴァリエーションがあります。地域の風土によって変わるのだと思います。
なぞなぞや謎解きは、古今東西、老若男女、好きですよね。

王さまの権威に対して、子どもが知恵を使って親を助ける。王さまがそれを喜んで受け入れているのが気持ちいいです。


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神さまのお返し

かみさまのおかえし

オーストリアの昔話

ふたつの話が組み合わさっています。
前半は日本の「仙人の教え」やグリム童話の「三本の金髪を持った悪魔」の後半と同じ。
後半は日本の「話十両」と同じ。

どこにでもいる普通の人間が幸せになる話は、ほっとします。

高学年向きのおはなしですね。


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木こりの宝

きこりのたから

パンジャブ地方の昔話

ATU910F 話型名「仲たがいしている息子たちと小枝の束」

イソップ寓話にも「三本の棒」として伝えられています。父親が三人の息子に棒を一本ずつ渡して折らせると簡単に折れます。でも、三本重ねると折れません。
三人がいっしょになると、ひとりひとりでいるよりずっと強くなるという教訓です。力を合わせよということですね。

日本では、毛利元就の「三本の矢」が有名です。


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