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ありとこおろぎ

インドネシアの昔話

類話は世界じゅうにあります。次々にものを頼みに行くだけの話なんだけれど、その動機は話によっていろいろです。
例えばイギリスのジェイコブズの 「 おばあさんと豚 」 とはずいぶん違います。「 ありとこおろぎ 」 では、友だちを助けるためです。しかもハッピーエンド。原話を読んだとき、思わず笑みがこぼれました。こんな話が語りたかったんだって思いました。でも語ってみると大変でした。早口ことばの練習みたいなもんでした。音声は5年生のライブですが、とちゅうから、一区切りずつに 「 ん 」 「 ん 」 「 ん 」 ってかけ声が入っているの、聞こえますか ( 笑 ) ?
2年生では、こおろぎが雌牛に 「 ……川に落っこちたありを助けるんだ! 」 と言い切ったとき、拍手が起きました ( 笑 ) 。 本当はこちらの音声を聞い ていただきたかったのですが、残念ながらICレコーダーのスイッチを入れ忘れていました。聞き手といっしょに弾けて楽しむおはなしだと思います。


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5年生のライブが聞けます。



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ジャックが幸運を見つけに行くはなし

ジャックがこううんをみつけにいくはなし

イギリスの昔話

イギリスのジェイコブズの集めたおはなし。
ストーリーはグリムの 「 ブレーメンの音楽隊 」 と同じです。でも、ジェイコブズのほうは、ストーリー展開を楽しむだけでなく、むしろくり返しの面白さに重点があるように思います。だから、繰り返しのリズムを楽しみつつ、場面が分かるように語るのが、ちょっと難しい。
「 脱穀 」 って、耳で聞いてわかるかな? 「 麦を打つ 」 にしようかな、と迷いました。でもそれでは正確じゃないしね。「 殻竿 」 。大人でもたいていはわかりませんね……。「 さお 」 からイメージできるかな、と思い切りました。
リズミカルに語ることで、少々知らない言葉があっても楽しめると思います。子どもが尋ねたら、あとで説明するといいですね。


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語りを聞けます。




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猟師の息子

りょうしのむすこ

マルタの昔話

昔話にはよくタブーが出てきますね。七年間口をきいてはいけないとか、13番目の部屋だけはあけてはならないとか。そして、タブーは必ず破られます。昔話では、タブーは破られるためにある。
この話でも、王さまが決して言ってはいけないといった言葉を、お姫さまが口にしたために、花婿が去ります。そこからストーリーが動きだす。
聞き手もそのことが分かっているので、どうやってタブーが破られるのか、タブー違反の後、どうやって幸せな結末にたどり着くのかに興味を集中させます。


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この世の光

このよのひかり

スペインの昔話

地中海、スペインのバレアス諸島に伝わる昔話。
とても不思議で、深く心を打つ話です。
「 聖なる書物 」 って何なのか、知りたくて、ぽんやジミーと国立民族学博物館まで行きました。結果は…「 ブログ 井戸端会議 ー 2015.7.21 聖なる書物って、聖書? 」 を読んでみてください。

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なまずとひきがえる

ベトナムの昔話

   おたまじゃくしはかえるの子~
   なまずの孫ではないわいな~
   それがなにより証拠には~
   やがて手が出る足が出る~

俗謡そのまんまのお話です。なぜそのまんまなのでしょう?どこかから伝わったのでしょうか?それとも、人みな発想は同じだからでしょうか? 
ベトナムと日本、地理的にも歴史的にも近いですよね……

なまずとひきがえるのけんかに、ごたいそうにも裁判官がでてきます。裁判官って、日本の昔話ではあまり聞きませんが、外国の話にはけっこう出てきます。日本では、お殿様でしょうか。ストーリーは幼い子でもわかるのに、語るとき、裁判官をどう説明しようかと考えているところです。
むしろ、高学年のおまけの話にいいかもしれません。



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みじめおばさん

ドイツの昔話

『 グリム兄弟の知らなかったおはなし 』 が原話です。弘法伝説のように、聖者が旅人として訪れる話は、ヨーロッパにもあります。グリム童話の 「 貧乏人と金持ち 」 もそうですね。「 みじめおばさん 」 もそのひとつです。

死神が木にくっついて離れなくなるモティーフも、ヨーロッパではよく出てきます。わたし 「 それから、世の中はどうなったと思いますか? 」 子ども 「 わからない 」 「 老人が増える 」 。音声は、図書館でのおはなし会のようすを録音したものです。「 老人が増える 」 ……いまどきですねえ ( 笑 ) 少し前は、子どもたち、「 死ななくなる 」 といいましたね。

ところで、ずうっとしゃべり続けている2歳さんの声、聞こえますか? ( 笑 ) それでも、ほかの子たちの集中は途切れていないでしょう。かつての囲炉裏端での語りのひと時も、こんな感じだったのかなあと思います。



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図書館でのライブが聞けます。




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九尾のきつね

きゅうびのきつね

朝鮮半島の昔話

怖い話です。
音声は、4年生に語っているものです。本気で恐がっているでしょ。しっぽが九つあるきつねは、もともと中国の神話に登場するそうです。日本では、歌舞伎の玉藻の前が九尾のきつねですね。絶世の美女に化けて出てきます。

しっぽが九つなくても、きつねは化けます。そして、人を化かします。『 子どもと家庭の奈良の民話 2 』 には、きつねが化かす話をいくつか入れています。そういえば、いぜん、夫と笠置温泉に行ったとき、帰り道で狐に化かされて、どんどん山の中に入っていったことがあります。


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4年生のライブが聞けます。




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まほうの鏡

まほうのかがみ

ギリシアの昔話

動物報恩+婿選びの話です。動物たちが、うろこ一枚、羽一枚、毛を一本くれる。とても孤立的で、イメージがクリアですね。頭の中に像がくっきりと浮かぶ。だから後半、聞き手の子どもたちはすぐに、動物たちからの贈り物を燃やせばいいと気がつくのです。
また、魚は深い海の底へ、ワシは天の果てへ、狩人を隠してくれます。極端性は昔話の大事な性質です。イメージがクリアであるだけでなく、想像の世 界が空間的にぐうんと広がっていくのを感じます。子どもたちは、どこに隠すのかなという謎解きの面白さだけでなく、このイメージの広がりに驚嘆します。しかも、最後はおひめさまのいすの下に隠れる。極端に近いところです。そして、この極端な近さのおかげで、狩人はおひめさまから隠れおおせたので す。
三回の繰り返しもあり、昔話の語法の面白さをとっても感じさせてくれるお話ですね。後半、くり返しの一回目は、魚が狩人を隠してくれる。2回目は、ワシが隠してくれる。3回目、きつねを呼び出した狩人は、みずから指示して、きつねにほら穴を掘らせていますね。はじめの2回は受け身だけれど、3回目は自分の知恵でかくれます。そして、その3回目に成功しておひめさまを手に入れる。ここに、若者の成長が語られているなと感じます。この話は、グリム童話の 「 あめふらし 」 と同じ話型ですが、この点で、わたしは 「 まほうの鏡 」 のほうが好きです。音声は、4年生のおはなし会。


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4年生のライブが聞けます。




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豆のつる

まめのつる

リトアニアの昔話

こぼれた豆が芽を出して天まで届く。天上の世界にいたのは神さま! 笑い話です。
音声は小学3年生。子どもたちの声、聴いてください。「 ハッピーエンドと違うやん 」 っていってるでしょ。その向こうでおじさんの声が聞こえませんか?これは担任の先生の声。「 世界にはいろんな話があるいうことやなあ 」 っておっしゃってる ( 笑 )
なぜお父さんが一人になってよかったのか、自論を展開してる子もいましたよ。


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3年生のライブが聞けます。




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日と月と星

ひとつきとほし

朝鮮半島の昔話

「 天道さん金のくさり 」 の類話です。これは、上からカボチャのつるが下りてくるのです。
日本の「天道さん金のくさり」ではやまんばが子どもたちを追いかけます。子どもたちは知恵を使って上へ上へと逃げていきます。「三枚のお札」では、前へ前へと逃げますね。

恐い話ですが、子どもは聞いていて鬼ごっこのようなスリルを感じるようです。


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