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楽師と幽霊

がくしとゆうれい

クロアチアの昔話

ATU470「死人の恩返し」
導入部で、されこうべが、結婚式のまんじゅうを食べさせてくれたお礼だといって、主人公を異界へつれていきます。
助けられたカメが竜宮城へつれていってくれる「浦島太郎」と同じですね。
そして、異界ではたった三日しかたっていないのに、帰ってきたら百年以上たっています。異界とこの世では時間の流れが違うのです。
日本の昔話「春の野道で」⇒こちらでは、おじいさんがされこうべにお酒を飲ませますが、異界へ行くことはありません。同じモティーフを使っていても、雰囲気もテーマもずいぶん異なりますね。

あちらの世界で幽霊を訪ねてくる三人の男のモティーフが印象的です。
人生ってそういうものかなあと考えさせられます。


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七人のオーベルニュ人

ななにんのおーべるにゅじん

フランスの昔話

フランスの中央にオーベルニュ地方という山岳地帯があります。イギリスのゴタムなどと同じく愚か村と呼ばれています。この地方の人たちは何かにつけ笑いの種にされていたそうです。

この「七人のオーベルニュ人」は、ATU1250「人間の鎖」という話型に分類されます。
西暦1世紀にインドと中国で語られていた記録があるそうです。ヨーロッパでは14世紀の記録があるそうです。古今東西、笑いのツボは同じということですね。

ゴタム村の話は⇒こちら。日本の愚か村話については昔話雑学に載せています。⇒こちら
フランスのもうひとつの愚か村話は⇒こちら


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知恵を売った少年

ちえをうったしょうねん

インドの昔話

ATU910C「事を始める前に慎重に考えよ」
買った教えや授けられた教訓にまつわる話は、世界じゅうにあるようです。

「知恵を売った少年」では、商人の息子に2つ、おうさまにひとつ知恵を売ります。
商人の息子にうったひとつ目と、王さまに売った知恵は、状況の一致がおもしろいです。

高学年から大人のおはなし会で、長いおはなしのあとにどうぞ。


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ガラスの山のお姫さま

がらすのやまのおひめさま

ノルウェーの昔話

三人兄弟の末っ子が、主人公。
ふたりの兄さんにばかにされながら、課題を解決して幸せをつかむ。昔話らしく、主人公のみが、恩寵を得ているのです。

つるつる滑る氷のようなガラスの山、そのてっぺんに座るお姫さま、お姫さまの膝には、金のりんご。くっきりと印象的なイメージで語られていきます。

ATU530「ガラス山の姫」
世界中に類話はありますが、ヨーロッパ中心に語られていたようです。


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プチジャンとかえる

フランスの昔話

ATU402「動物花嫁」

このかえる、とってもチャーミングですね。

類話は世界にたくさんあります。読み比べると面白いです。
重厚なグリム童話KHM63「三枚の鳥の羽」と、豪華なロシアの「蛙の王女」⇒こちらに比べて、フランスの「プチ・ジャンとかえる」は明るく楽しい物語です。あちこちに笑いのツボが隠されています。

長いですが、中学年くらいから聞けるでしょう。


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死者の国へ行った男

ししゃのくにへいったおとこ

ニカラグアの昔話

インディアンに伝わるふしぎな昔話。

あの世は湖の向こうにあります。日本では三途の川を渡りますが、同じように水がかかわっています。

この世に帰ってきたら長い年月がたっていたというのは「浦島太郎」と同じです。「ペドロのふしぎな話」⇒こちらや「さかべっとうの浄土」⇒こちらはその逆で時間がたっていません。
どちらにせよ、あちらの世界とこちらの世界は時間の流れ方が異なるのです。
そういえば、「ペドロのふしぎな話」も「さかべっとうの浄土」も水が境界に介在します。

高学年向き。


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ゆでたまご

イランの昔話

ATU821B「ゆで卵から生まれたはずの鶏たち」
類話は、中近東をはじめヨーロッパにも広がっています。

まるで、一休さんや彦一のとんち話にそっくりです。
このようなとんちをテーマにした話は世界じゅうにたくさんあります。

短い話ですが、面白さが分かって「 あ、なるほど」と感心するのは、高学年以上でしょう。


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ライオンとねずみ

マケドニアの昔話

相手を見くびってはいけない。謙虚でいたいものです。

ATU75「弱者の助け」という話型で、世界中に広がっているようです。イソップ寓話にもあって、そちらのほうが有名ですね。

動物の話は幼い子にもよく理解できます。


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ふたりの友

ふたりのとも

エチオピアの昔話

友情について描かれた昔話。

きちんと三回の繰り返しがあって、すっきりと分かりやすい形になっています。
貸したお金がふしぎに友達のところに戻ってきますが、これは状況の一致といえます。まほうではないけれど、奇跡を感じさせます。

エチオピアの東の海岸地方のダナキル族の伝承だそうです。


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緑ずきん

みどりずきん

イランの昔話

冒頭、猟師の娘は、父親がとらえてきた馬と結婚します。
ああ、異類婚姻譚だなと気づきますが、この馬が、じつは《翼のある天使》だというところから、いっきに壮大なファンタジーの世界に入っていきます。
魔神の母親やおばが娘に難題を出し、亡き者にしようと追いかけてきます。呪的逃走のモティーフが、はらはらさせてくれます。
主人公の娘がさまざまな試練を乗り越えることで、夫緑ずきんはすくわれ、ふたりは幸せになります。

結末の「この上もなくぜいたくに、この上もなく楽しく暮らしました。」は、現実を生きる語り手聞き手たちにとっての願望であり、夢でもあるのでしょう。
この結末句、気にいっています。


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