フランスの昔話
病気の父親の眼を治すために、三姉妹の末っ子が、からすと結婚します。
この冒頭のモティーフは、「猿婿」や「蛇婿」など日本の異類婚姻譚とそっくりですね。異なるのは、異類(からす)がじつは魔法にかけられた王子さまで、からすと結婚した娘が幸せになるところです。
嫉妬した姉さんたちの策略で、末娘は王子さまを失います。王子を探して旅に出ますが、ここが話の中心になっています。
ATU425「いなくなった夫探し」
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こううんのたねまき
この話には、悪人がひとりも出て来ません。それでも、運命は人々をほんろうします。
徳のある村長の行動と、それに誠実に答えようとする主人公の生きざまに、感銘を受けました。
原話の解説に、つぎのようにありました。
「運命的聖者伝。宿命についての信仰と血の復讐あるいは相応の賠償金の習慣は近東では極めて一般的のことだそうです。」
大人向けの話ですが、若い人に聞いてほしいと思いました。
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ATU1405「怠惰な紡ぎ女」+902「怠惰な女が治療される」
おかみさんもおかみさんなら、旦那さんも旦那さんですね。
でも、ふたりとも、何の邪心も持っていません。おかみさんが極端な怠け者だということをのぞけば、人情の温かい夫婦です。
そのおかみさんも、最後は心を入れ替えて働き者になって、みんなから尊敬されて、めでたしめでたしです。。
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ひゃくるーぶりでかえるもの
原題は「買われた妻」です。
人間を「買う」なんて、なんてことでしょうと思いますが、古今東西、現実にあることです。ただし、昔話なので、人身売買という社会的なモティーフを使っているだけで、テーマはそこにはありません。
ここで描かれるのは、妻の援助により成功する若者、失った妻を探す若者の物語です。勇気と希望の物語です。
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てにしょくがなければ
ATU949「若い紳士がかご細工を習う」
娘が、身分や富貴を求めることなく、堅実な考えを貫こうとする賢さに拍手したくなりました。そして、そんな彼女を愛する皇帝が、彼女のことばにすなおに従って、おかげで命が助かるという成り行きに、いい話やなあとうれしくなって、思わずここに紹介してしまいました。
多くの民族で、女性の社会的地位は伝統的に低かったと思います。そのなかで、女性が知恵を使って、また品性の良さで、男性をしのぐ話がけっこう伝わっています。現代女性として、そんな話も語り継ぎたいと思います。
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秘密がどんどん広がっていくのは、心配しながらもおかしくて笑えますね。
最後のどんでん返しは、ちょっとびっくりしますが。
この話は、13世紀にすでに類話が記録されているそうです。
ATU886「秘密を守れなかった少女」
いまのところ、ヨーロッパにしか類話が見つかっていないようです。
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おうさまだってぜんぶはしんじられない
ATU852「嘘つき比べ」
王さまやお姫さまに「それはうそだ」といわせたら、ほうびとしてお姫さまと結婚できるという話です。
同じような話は世界じゅうにあります。
大真面目に語るほら話がおもしろいですし、王さまがいちいち肯定する表情を想像するのも楽しいですね。
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たいようのむすめ
壮大なファンタジーです。
冒頭、三人兄弟が畑を耕しますが、末っ子だけは収穫がありません。
昔話の主人公は、こんなふうに端っ子の存在です。端っこの存在が、さまざまな苦難を経て幸せを手に入れます。
この話の主人公は、太陽の娘と暮らし始めたとき、働くのが嫌で怠けてばかりいますが、妻が助けて楽な生活を送ります。主人公は必ずしも勤勉でなくてもよいのです。昔話はいろんな人生を描いているからです。
現実にはひとりの人間の中に怠け心もあれば、ある時期、怠け者になったりします。それを肯定しているのが、昔話です。
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