「スリルのある話」カテゴリーアーカイブ

コースチンの息子

こーすちんのむすこ

ウクライナの昔話

三人の息子の竜退治の話。

竜が、空から太陽と月を星を盗み出すという設定からして、とんでもないファンタジーです。
三人息子のうち、やっぱり末っ子が一番活躍します。でも、いざというときには上のふたりもちゃんと駆けつけて戦います。それが気分がいい(笑)
橋の上での竜と馬と息子の掛け合いが、かっこよくて気持ちがいいです。

スラブ民族の竜は、口を開けると上あごが天に届き、下あごが地に付きます。竜の大きさや勢いや恐ろしさをそういうふうに表現します。

切った張ったの戦い場面はありますが、まるでゲームやアニメのように図形的であとくされがありません。

3年生くらいから楽しめると思います。


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金の杯

きんのさかずき

ジョージアの昔話

ジョージア(グルジア)共和国で採録された話。

ATU467「すばらしい花(宝石)の探索」。
この話型の類話はあまり多くはないようです。

長い話ですね。
でも、呪物や彼岸者が次々に出て来て、魔法が満載で、飽きさせません。

そして、ストーリーを貫いているのは、ふたりの盗賊との友情です。
期限までに帰らなければ人質が処刑されるというのは、太宰治『走れメロス』を思い出させます。じつは、太宰は、古代ギリシャの伝承とシラーの詩をもとにメロスを書きました。つまり、この友情ストーリーは、さかのぼれば紀元前4世紀ごろからあって、その流れは今に続いているということです。
友情や誠実さというものは、常に人の心を打つもののようです。

ぜひ、高学年の子どもたちに語ってください。


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マルーラ

ギリシアの昔話

太陽の神、金のりんご。明るい雰囲気なのは、地中海の話だからでしょうか。

母親との約束で、太陽の神ヘーリオスは十二歳になったマルーラを連れ去ります。このモティーフはよくありますが、誘拐するのは魔女や悪者であることが多いようです。けれども、ヘーリオスは恐ろしい存在ではありません。悲しんでいるマルーラを見て、家に帰らせます。

マルーラを家まで送る動物として、ライオン、きつねは失格で、しかが送ることになります。
木の上のマルーラの姿が水にうつっているのを見て、魔女の娘が自分の姿だと勘違いするモティーフ。魔女の娘は三人です。
帰宅のとき、マルーラに気付くのは、犬、ねこ、おんどりです。
3回のくりかえしが重なって、リズムが生まれていますね。

マルーラが結局は母のもとに帰ることを思えば、この話を喜ぶ年齢は、あまり高くないと思います。


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海でも陸でも走る船

うみでもりくでもはしるふね

ノルウェーの昔話

ATU513B「水陸両用船」

王さまが、海でも陸でも走るふしぎな船を造ったものに、姫と結婚させるというおふれを出します。3人兄弟が挑戦しますが、末っ子が成功する話。よくあるパターンですが、どうやって成功するのか、その成り行きにわくわくします。

魔法の船については、空を飛ぶ船や、絵にかいた船が動きだすという話もあります。
古くは、紀元前250年ごろのギリシアのロドス島の詩人アポロニウスが書いた英雄叙事詩「アルゴナウティカ」に出て来るそうです。

主人公は、とちゅうで出会った男たちを船に乗せて行きます。男たちは、並外れた能力をもっています。その男たちに主人公は助けられます。
グリム童話の「六人男世界をのし歩く」を思い出しますね。話型的にはとっても近いです。


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注:語りは上記のテキストと表現が異なる部分があります。
これから語られる方は、テキストのほうが語りやすいと思います。




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ペトロシネッラ

イタリアの昔話

グリム童話の「ラプンツェル」やイタリアの「プレッツェモリーナ」の類話です。ATU310「塔の中の乙女」。その類話でも、『ペンタメローネ」の「ペトロシネッラ」は、記録された中ではいちばん古い形です。

前半のストーリーは、「ラプンツェル」と同じですが、後半は呪的逃走のモティーフですね。三枚のお札と同じです。

「プレッツェモリーナ」のページも併せて読んでください。こちら⇒

出典の『ペンタメローネ』について、ちょっと説明しておきますね。

『ペンタメローネ』

イタリアのジャンバッティスタ・バジーレ(1575~1632)によって集められた説話集(1634~1636年成立)。
枠物語(こちら⇒)で、10人が1日1話語った物語を50話集めてあるので、『五日物語』といわれています。
「長ぐつをはいた猫」「眠れる森の美女」「シンデレラ」なども収められていて、その古い形を知ることができます。
物語の舞台はナポリで、ナポリの風俗や習慣、信仰など、人びとの生活を、ナポリの方言で生き生きと表現されています。
バジーレは、小説家ですが、民俗学の先駆者とも考えられています。


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勇敢な娘

ゆうかんなむすめ

オランダの昔話

題名の通り、とっても勇敢な娘の話です。
寂しいお城でひとりきりで留守番をするお手伝いの娘。そこへ盗賊団が忍び込もうとします。
娘が、とびらの下から潜り込もうとするどろぼうの首を、斧の一撃で切り落とすところは、ぎょっとします。けれども、血も流れないし、むしろ、どろぼうたちのあたふたぶりがユーモラスです。昔話の平面性が現れているところで、切り紙細工のように描かれます(⇒こちら)。

後半は、ロマンチックな展開かなと思いきや、恐ろしい屋敷に連れ込まれます。
頭に銀のふたの乗っている若者は、盗賊の一味というより、彼岸からの存在のように感じます。
この屋敷からの逃走譚は、日本の昔話「油取り」と同じです。でも、油取りの主人公とは異なり、娘は、あくまでも勇敢です。

スリルがあって、怖くて、笑える話です。
高学年にどうぞ。
ATU956B「家にひとりでいた賢い少女が強盗たちを殺す」


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ゆびの五人兄弟

ゆびのごにんきょうだい

ルーマニアの昔話

幼い子向きのおはなし。

子どもには、自分の体への好奇心があります。それで、手遊び、指遊びがたくさん伝承されています。指の名前を覚えるのも楽しみます。
この話は、そんな指を登場人物にした、かわいい冒険物語です。
この指たちはとても小さな存在ですが、力を合わせて大きなくまをやっつけます。いかにも昔話ですね。
また、それぞれの指たちにそれぞれの個性があるのもおもしろいです。

語られたのはルーマニアなので、ヤシの実は珍しいと思います。珍しいから貴重だという見方もあるし、異国情緒もあるんだと思います。


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三匹のやぎ

さんびきのやぎ

ノルウェーの昔話

マーシャ・ブラウンの絵本『三びきのやぎのがらがらどん』でおなじみのノルウェーの昔話です。
瀬田貞二の名訳もあって、絵本で楽しめばいいのかもしれませんが、もともとは、語り伝えられてきた昔話です。
耳で聞いて楽しみたいと思って、再話しました。

ATU122E「太ったヤギを待つ」という話型です。
ATU122というのは、「嘘の言い訳で獲物が逃げることができ、動物は獲物を失う」という話が集められていて、A~Zまでさまざまなバリエーションがあります。弱肉強食の世界で、弱いものが知恵を使って強い者から逃れる話です。
 
前回紹介したイタリアの「おんどりときつね」⇒こちらも見てください。

この「三匹のやぎ」は、北欧を中心に語られていたようで、世界的にはあまり残っていません。そして、いかにも北欧らしいトロルは、他の国、例えばドイツでは、オオカミになっています。

単純な話ですが、三回のくりかえしのリズム、やぎの大きさのクレッシェンド、最後に恐ろしいトロルをやっつけるという爽快さ、魅力的な話です。

テキストは『語りの森昔話集4おもちホイコラショ』に掲載しています。こちら⇒書籍案内

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こぶたのリコション

フランスの昔話

ATU124。「家を吹き飛ばす」という話型名です。
わたしたちはこの話型の話としては「三匹のコブタ」がなじみ深いですね。世界じゅうに類話が伝わっていますが、口承としてはアジアには少ないようです。

子どもたちは、「三匹のコブタ」の面白バージョンと感じるようです。
低学年までの幼い子向けの話だと思うし、またそのようにも再話しました。けれども、まずは「三匹のコブタ」を聞かせたいと思います。

音声は、2、3年生です。学童保育の子どもたちで、元気いっぱいに聞いています。わたしの語りもどんどんスピードが出ています。聞き手が乗ってくると、語りも早くなります。でも、言い間違えてはいけませんね(笑)

テキストは『語りの森昔話集4おもちホイコラショ』に掲載しています。こちら⇒書籍案内

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美しいユーラリ

うつくしいユーラリ

フランスの昔話

冒頭、主人公の若者は、兵役を終えて国に帰るところです。このシチュエーションは、ヨーロッパの昔話でよく見かけます。グリム童話の「くま皮」は、クビになった兵隊ですね。

「美しいユーラリ」は、イギリスの昔話「鳥たちの戦争」の類話です。このホームページでは、「オーバーンメアリー」として紹介してあるので読んでみてください。とてもよく似ているでしょう。「鳥たちの戦争」にある古い宗教的な要素は、「美しいユーラリには見当たりません.それに、短いので、こちらのほうが語りやすいかもしれませんね。

ATU313、話型名は、「呪的逃走」。この話型では、さまざまな導入のエピソードが、「呪的逃走」と「忘れられた婚約者」というふたつの主部に結びついています。

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