ふたりのとも
エチオピアの昔話
友情について描かれた昔話。
きちんと三回の繰り返しがあって、すっきりと分かりやすい形になっています。
貸したお金がふしぎに友達のところに戻ってきますが、これは状況の一致といえます。まほうではないけれど、奇跡を感じさせます。
エチオピアの東の海岸地方のダナキル族の伝承だそうです。
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ふたりのとも
友情について描かれた昔話。
きちんと三回の繰り返しがあって、すっきりと分かりやすい形になっています。
貸したお金がふしぎに友達のところに戻ってきますが、これは状況の一致といえます。まほうではないけれど、奇跡を感じさせます。
エチオピアの東の海岸地方のダナキル族の伝承だそうです。
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むらのおばあさん
インドの北西部にあるグジャラート州に伝わるはなし。
グジャラート州は、マハトマ・ガンジーの生地です。
さまざまな民族の往来する地域なので、宗教も複雑ですが、この話は、いい意味での宗教的な色合いが強く感じられます。と同時に、為政者はどうあるべきかを訴えています。
高学年のおまけの話にどうぞ。
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うんめいをだしぬくはなし
誕生のときに神さまが運命を授ける話は、日本にもあります。
「七つの年の水の寿命」こちら⇒
「おおかみのまつ毛」こちら⇒
「ねずみの聞き耳ずきん」こちら⇒
定められた運は、実現する場合と、何らかの事情で実現しない場合とがあるようです。実現しない理由は、その人の努力であったり、知恵であったり、全くの偶然であったりします。
人は、いつの時代にどこで生まれるかを、自分で決めることができません。
それを不条理といいます。その不条理に気づきながらも幸せを求めて生きていくしかない。そのときに、運命だとあきらめるのか、運命にあらがって生きるのか、永遠の課題として生きているのでしょう。それが、昔話として語られるとき、さまざまな結末を持つことになるのだと思います。
「運命を出し抜く話」は、非情な運命は実現しますが、実現しつつ幸せをもたらすのです。
主人公の愛と知恵に感動します。
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知恵が足りないと思われていても、音楽に秀でていて世の中の人を幸せにする主人公。
子どもの自然な欲求と才能を育てる大切さを思います。
まぶたに塗ると悪魔の正体が見えるというモティーフは、イギリスの昔話「妖精の塗りぐすり」にあります。
日本では狼のまゆ毛、韓国ではとらのまつ毛も同じように人間の正体を見抜くふしぎな力を持っています。
ムズィカが、おおかみにおそわれたときは、あきらめて死を受け入れようとしたのに、地獄では、悪魔たちを焼くような音楽を鳴らしてやろうと立ち向かいます。
自分の力を自覚して行動する青年に成長しています。
音楽が「悪い人の心をナイフもなしにひきさく」力を持つということばに感動しました。
ストーリーも複雑ではないし 、難解な語彙もありません。
小学生から大人まで、それぞれの年齢で感じることの多いお話です。
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せいじつ
バルカル・カラチャエフは、ロシアの中でも南西にある小さな共和国です。
家に住む《幸せ》は、日本で言えば福の神のようなものでしょうか。または、東北地方の座敷童子のようなものかもしれません。
真っ白な雪の中に続くほのかな足跡。
明るいモノトーンの景色を背景にして、この一家の人間らしい暖かさがすばらしい。
ふだんあまりものをいわないおとなしい末っ子の妻の願いも素敵だけれど、それを聞いてすぐに反省して賛成する年寄りや家族たちもすてきです。
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イリヤ・ムーロメツのみっつのたび
分かれ道に道しるべがあって、選んだ道で運命が決まるというモティーフがあります。日本の「やまなしもぎ」も、三本の分かれ道に笹が立っていて「行けっちゃがさがさ」「行くなっちゃがさがさ」と鳴っているという場面がありますね。
昔話は、「言葉の出来事による繰り返し」という語法があって、言われたことは出来事で繰り返されます。だから、「右へ行けば殺される」と書いてあれば、その道を選ぶと必ず殺されるのです。
ところが、この話の主人公イリヤは、運命に挑戦するかのように道を進んで行きます。しかも、もどって来て、道しるべを書きかえてしまう。
読んでいて、語法を逆手にとる(笑)痛快さと、自分の道は自分で切り開く勇敢さに、気持ちが晴ればれしました。
これはロシアの話ですが、舞台となっているのは現ロシアではなく、ソビエトよりさらに前の古いロシアです。
その頃のロシアの都はキエフでした。キエフは今はウクライナの首都です。
ロシアもウクライナもひとつの文化圏として、勇士イリヤの話に心躍らせていたんですね。国境って、いったい何でしょう。
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ひとくちぶんにはひとくちぶん
アラビア半島は、『アラビアンナイト』でおなじみですね。壮大なファンタジーの伝わる地域です。
アラビアンナイトだけでなく、さまざまな昔話が語られて文献に残って来たそうです。これは、その中の一冊からの再話です。
物乞いが恩返しをするんだけれど、この物乞いはただの人間ではありません。
ふしぎななかにも心があたたかくなる話です。
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きんのさかずき
ジョージア(グルジア)共和国で採録された話。
ATU467「すばらしい花(宝石)の探索」。
この話型の類話はあまり多くはないようです。
長い話ですね。
でも、呪物や彼岸者が次々に出て来て、魔法が満載で、飽きさせません。
そして、ストーリーを貫いているのは、ふたりの盗賊との友情です。
期限までに帰らなければ人質が処刑されるというのは、太宰治『走れメロス』を思い出させます。じつは、太宰は、古代ギリシャの伝承とシラーの詩をもとにメロスを書きました。つまり、この友情ストーリーは、さかのぼれば紀元前4世紀ごろからあって、その流れは今に続いているということです。
友情や誠実さというものは、常に人の心を打つもののようです。
ぜひ、高学年の子どもたちに語ってください。
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あるじがそうならどうぐもそう
「主がそうなら道具もそう」というのは、パキスタンのことわざのようです。
人の行為は、時代や国の政治情勢や環境に強い影響を受けるということです。
日本にも同じ意味のことわざはあるでしょうか?寡聞にして知りません。
王の夢判断という課題が3回くりかえされます。
お百姓は蛇の助言によってほうびをもらいますが、へびに対する思いが3回とも異なっていて、ハラハラさせられます。
「あんたのしたことは、あんたのせいじゃない」というへびの言葉に、ホッとすると同時に、社会に対してよく目を見開いておかねばという教訓を感じました。
高学年から大人向きの話です。
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