「男の子の成長の話」カテゴリーアーカイブ

金の杯

きんのさかずき

ジョージアの昔話

ジョージア(グルジア)共和国で採録された話。

ATU467「すばらしい花(宝石)の探索」。
この話型の類話はあまり多くはないようです。

長い話ですね。
でも、呪物や彼岸者が次々に出て来て、魔法が満載で、飽きさせません。

そして、ストーリーを貫いているのは、ふたりの盗賊との友情です。
期限までに帰らなければ人質が処刑されるというのは、太宰治『走れメロス』を思い出させます。じつは、太宰は、古代ギリシャの伝承とシラーの詩をもとにメロスを書きました。つまり、この友情ストーリーは、さかのぼれば紀元前4世紀ごろからあって、その流れは今に続いているということです。
友情や誠実さというものは、常に人の心を打つもののようです。

ぜひ、高学年の子どもたちに語ってください。


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ヨーナスの馬

ヨーナスのうま

リトアニアの昔話

主人公ヨーナスを乗せて走る馬は、鳥のように、風のように、星のように走ります。
この馬は、馬小屋で一番みすぼらしい馬です。
極端な端っこの存在にもっとも価値があるのが、昔話です。
ヨーナス自身も十二人兄弟の末っ子でまぬけなヨーナスと呼ばれています。その彼が、お城のまほうをとき、お姫さまを救うのです。

ナイトキャップ取りかえのモティーフあり、呪的逃走ありでスリル満点の話です。

最後の「わたしも、お城の宴会に行って~口には入らなかったのさ。」はヨーロッパの昔話によくでてくるる結末句(こちら⇒昔話雑学)です。


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魚がくれた子ども

さかながくれたこども

チリの昔話

ATU303「双子または血を分けた兄弟」

グリム童話KHM60「ふたりの兄弟」の類話です。
「ふたりの兄弟」についてはこちら⇒も見てください。

おじいさんがとって来たものいう魚の進言に従うと、おばあさんが双子を生みます。それだけで、この兄弟には特別の力があることが分かりますね。

生命の標識のモティーフ、貞節を表す抜身の剣のモティーフ、命の水のモティーフと、つぎつぎに展開していきます。
グリムのほうは長すぎて語れませんが、これは語れます。原話を見つけたときは、ほんと、うれしかったです。

2年生くらいから聞けるとおもいます。


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かめ女房

かめにょうぼう

ギリシアの昔話

漁師の若者が亀を連れて帰ると、留守の間に家のそうじや炊事がばっちりてきている。かくれて見ていたら、亀の中から美しい娘が出て来た。
このシチュエーション、亀を魚や狐に取りかえても、成り立ちますね。しかも、日本でもヨーロッパでもよくあるシチュエーションです。
妻が異類の、異類婚姻譚です。

ただし、日本の異類女房のように結末は離別ではありません。むしろ、後半は絵姿女房にそっくりです。
王さまが、妻を手に入れようとして無理難題を出します。けれども、妻は亀の化身で、海の女神である母と弟の豆ちゃんが力を貸して解決してくれます。
この豆ちゃん、かわいいでしょう?かわいくて、子どもに聞かせたくて再話しました。
全体に地中海の明るさを感じます。


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海でも陸でも走る船

うみでもりくでもはしるふね

ノルウェーの昔話

ATU513B「水陸両用船」

王さまが、海でも陸でも走るふしぎな船を造ったものに、姫と結婚させるというおふれを出します。3人兄弟が挑戦しますが、末っ子が成功する話。よくあるパターンですが、どうやって成功するのか、その成り行きにわくわくします。

魔法の船については、空を飛ぶ船や、絵にかいた船が動きだすという話もあります。
古くは、紀元前250年ごろのギリシアのロドス島の詩人アポロニウスが書いた英雄叙事詩「アルゴナウティカ」に出て来るそうです。

主人公は、とちゅうで出会った男たちを船に乗せて行きます。男たちは、並外れた能力をもっています。その男たちに主人公は助けられます。
グリム童話の「六人男世界をのし歩く」を思い出しますね。話型的にはとっても近いです。


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注:語りは上記のテキストと表現が異なる部分があります。
これから語られる方は、テキストのほうが語りやすいと思います。

かも女房

かもにょうぼう

アラスカの昔話

アラスカの異類婚姻譚です。

妻が異類である場合、日本の昔話では、妻は去り、二度ともどって来ることはありません。「つる女房」「かえる女房」「こい女房」などなど。

ヨーロッパの昔話では、夫は妻を探しに行き、見つけ出します。「蛙の王女」「七羽のはと」などなど。

アイスランドの「あざらし」は日本の話とよく似ています。

アラスカの場合は・・・読んで(聞いて)みてくださいね。

異類婚の話、とっても興味があります。


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牛の子イワン

うしのこイワン

ロシアの昔話

イワンやババ・ヤガーや怪物のセリフがとってもロシアっぽいですね。
長いけれど、飽きさせない魅力のある話です。

前半がATU300A「橋の上の戦い」、後半が513A「6人が世界じゅうを旅する」という構成になっています。

ATU300というのは「竜退治の男」の話のグループで、昔話カタログのなかでは、魔法昔話の最初にあげられている話型です。超自然の敵がテーマです。
そしてその「A」となっているのは、大筋は「竜退治の男」なんだけど、少し違うグループだからです。何が違うかというと、A「橋の上の戦い」は、主人公が動物息子だというところです。
このロシアの「牛の子イワン」は題名のとおり、牛の息子です。超人的な力を持っていますが、見た目は人間と変わらないのがおもしろいところ。生まれた時から結末まで人間の姿です。

後半のATU513というのは「並外れた旅の道連れ」の話のグループです。
その「A」は、グリム童話「六人男世界をのし歩く」で知られています。
「B」は「水陸両用の船」という話型名です。ノルウェーの類話をそのうちUPしますね。


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ばらの花とけもの

ばらのはなとけもの

オーストリアの昔話

ATU425C「美女と野獣」典型的な「美女と野獣」の昔話です。
ATU425というのは、「いなくなった夫捜し」という話型名のグループです。でも、この「美女と野獣」は、夫をさがすというモティーフはありません。

「美女と野獣」については、マックス・リュティ『昔話の解釈』から、井戸端会議に報告しているので読んでください。こちら⇒

夫が野獣や大蛇など、異類であることから、異類婚姻譚と考えられますが、日本の「猿婿」「蛇婿」とは、ずいぶん異なりますね。
日本の場合、夫は、あくまでも猿やへびであって、自然界のほんものの動物です。呪いをかけられた人間ではなく、最後は殺される運命です。日本のけもの婿の話で、ハッピーエンドなのは、「たにし息子」くらいでしょうか。


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語りを聞けます

長ぐつをはいたねこ

フランスの昔話

とっても有名な人気のある物語です。絵本も何種類も出版されているし、アニメ作品もあります。
語りのテキストとしては東京子ども図書館の「おはなしのろうそく5」にも入っています。

ペローの作品を読んでいると、散文の物語でも、かなり言葉数が多いと感じます。それが耳でストーリーを追いかけるじゃまになっている。文字で読むにはいいのですけれど。
そこで、昔話の語法に則って聞いて楽しいように再話しました。
低学年から楽しめると思います。

ペロー童話集については、《昔話雑学》をご覧ください。


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三つのオレンジ

イタリアの昔話

ATU408「3つのオレンジ」。ヨーロッパに広く分布しており、特に南欧系民族に多いそうです。
日本の「瓜子姫」も関係があるのではないかといわれています、瓜の中から生まれることや、あまんじゃくが偽の花嫁になることなどです。

冒頭、王子が指をナイフで傷つけてしまい、血のように赤くてミルクのように白い娘を求めるところ、まるで白雪姫の母親のようですね。同じモティーフなんだけれど、人物やテーマが異なると、雰囲気がまるで変わります。おもしろいですね。
ノルウェーの「旅の仲間」の冒頭でも、主人公が血のように赤くてミルクのように白い娘の夢を見て、心を奪われます。こちら⇒ 
美しさの基準は民族により、また時代によって異なるのですね。

悪役の魔女は、類話によっては黒人やムーア人であることが多いのですが、現代の私たちには差別的で語れません。けれども、このトスカーナの類話では単に「魔女」となっていたので、語れると思って再話しました。
結末で魔女は火あぶりにされます。原話では処刑の様子や魔女の醜さがリアルに表現されていたのですが、「描写しない」という昔話の語法にのっとって言葉を選びました。

ところで、ここではオレンジですが、この果物は、りんご、くるみ、ざぼん、ざくろ、レモンなどの類話があります。

一番古い類話は、17世紀ナポリの『ペンタメローネ』で、オレンジではなく、シトロンとなっています。王子の妻が変身させられるのは、つばめではなくて鳩です。

長めですがストーリーが単純なので、小学3年生くらいから聞けると思います。

テキストは『語りの森昔話集5ももたろう』に掲載しています。⇒書籍案内

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