「男の子の成長の話」カテゴリーアーカイブ

牛の子イワン

うしのこイワン

ロシアの昔話

イワンやババ・ヤガーや怪物のセリフがとってもロシアっぽいですね。
長いけれど、飽きさせない魅力のある話です。

前半がATU300A「橋の上の戦い」、後半が513A「6人が世界じゅうを旅する」という構成になっています。

ATU300というのは「竜退治の男」の話のグループで、昔話カタログのなかでは、魔法昔話の最初にあげられている話型です。超自然の敵がテーマです。
そしてその「A」となっているのは、大筋は「竜退治の男」なんだけど、少し違うグループだからです。何が違うかというと、A「橋の上の戦い」は、主人公が動物息子だというところです。
このロシアの「牛の子イワン」は題名のとおり、牛の息子です。超人的な力を持っていますが、見た目は人間と変わらないのがおもしろいところ。生まれた時から結末まで人間の姿です。

後半のATU513というのは「並外れた旅の道連れ」の話のグループです。
その「A」は、グリム童話「六人男世界をのし歩く」で知られています。
「B」は「水陸両用の船」という話型名です。ノルウェーの類話をそのうちUPしますね。


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ばらの花とけもの

ばらのはなとけもの

オーストリアの昔話

ATU425C「美女と野獣」典型的な「美女と野獣」の昔話です。
ATU425というのは、「いなくなった夫捜し」という話型名のグループです。でも、この「美女と野獣」は、夫をさがすというモティーフはありません。

「美女と野獣」については、マックス・リュティ『昔話の解釈』から、井戸端会議に報告しているので読んでください。こちら⇒

夫が野獣や大蛇など、異類であることから、異類婚姻譚と考えられますが、日本の「猿婿」「蛇婿」とは、ずいぶん異なりますね。
日本の場合、夫は、あくまでも猿やへびであって、自然界のほんものの動物です。呪いをかけられた人間ではなく、最後は殺される運命です。日本のけもの婿の話で、ハッピーエンドなのは、「たにし息子」くらいでしょうか。


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語りを聞けます

長ぐつをはいたねこ

フランスの昔話

とっても有名な人気のある物語です。絵本も何種類も出版されているし、アニメ作品もあります。
語りのテキストとしては東京子ども図書館の「おはなしのろうそく5」にも入っています。

ペローの作品を読んでいると、散文の物語でも、かなり言葉数が多いと感じます。それが耳でストーリーを追いかけるじゃまになっている。文字で読むにはいいのですけれど。
そこで、昔話の語法に則って聞いて楽しいように再話しました。
低学年から楽しめると思います。

ペロー童話集については、《昔話雑学》をご覧ください。


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語りを聞けます。

三つのオレンジ

イタリアの昔話

ATU408「3つのオレンジ」。ヨーロッパに広く分布しており、特に南欧系民族に多いそうです。
日本の「瓜子姫」も関係があるのではないかといわれています、瓜の中から生まれることや、あまんじゃくが偽の花嫁になることなどです。

冒頭、王子が指をナイフで傷つけてしまい、血のように赤くてミルクのように白い娘を求めるところ、まるで白雪姫の母親のようですね。同じモティーフなんだけれど、人物やテーマが異なると、雰囲気がまるで変わります。おもしろいですね。
ノルウェーの「旅の仲間」の冒頭でも、主人公が血のように赤くてミルクのように白い娘の夢を見て、心を奪われます。こちら⇒ 
美しさの基準は民族により、また時代によって異なるのですね。

悪役の魔女は、類話によっては黒人やムーア人であることが多いのですが、現代の私たちには差別的で語れません。けれども、このトスカーナの類話では単に「魔女」となっていたので、語れると思って再話しました。
結末で魔女は火あぶりにされます。原話では処刑の様子や魔女の醜さがリアルに表現されていたのですが、「描写しない」という昔話の語法にのっとって言葉を選びました。

ところで、ここではオレンジですが、この果物は、りんご、くるみ、ざぼん、ざくろ、レモンなどの類話があります。

一番古い類話は、17世紀ナポリの『ペンタメローネ』で、オレンジではなく、シトロンとなっています。王子の妻が変身させられるのは、つばめではなくて鳩です。

長めですがストーリーが単純なので、小学3年生くらいから聞けると思います。


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旅の仲間

たびのなかま

ノルウェーの昔話

ノルウェーのペテル・クリスティン・アスビョルンセン(1812~1885年)は、大学生のころグリム童話を読んで昔話に興味を持ち、友だちのヨルゲン・モーといっしょに、ノルウェーに伝わる伝承を集めました。それは、『ノルウェーの民話』として出版されました。正60話と続50話、あわせて110話です。これは、グリム兄弟にもいい物だと評価されたそうです。

「旅の仲間」は、続編に入っています。これは、ジョージ・ダセントによって英訳されていて、ここから再話しました。

長い話ですが、ストーリーは一直線に進みます。そして、氷の柱に閉じこめられた死体や、一度座ったら離れないいすや、三人の魔女の持つ呪物(剣・金の糸玉・ぼうし)、トロル山に住むトロルなど、つぎつぎと現れるモティーフに、わくわくします。

ここに登場する入江は、氷河の作ったフィヨルドです。フィヨルドの風景を写真などで確かめると、金の橋の光景が目に浮かぶでしょう。

最後に、主人公がわが子を切ろうとする場面、旅の仲間が去ってゆく場面は、感動的です。

ATU507「怪物の花嫁」


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さいふと笛とぼうし

さいふとふえとぼうし

フランスの昔話

ATU566「3つの魔法の品と不思議な果物」
この話型では、お金のなくならないさいふ、どこへでも行けるコート(または帽子)、兵隊を出す(または力をさずけてくれる)笛といった魔法の品と、不思議な果物(食べると頭に角が生える、または鼻が伸びる、またはロバに変身する、など)を主人公が手に入れて、それを使って幸せになります。
ただ、フランスのこの「さいふと笛とぼうし」、何が主人公の幸せなのかよくわかりませんね。分からないながらも、なんだかとっても愉快な結末です。

この話型の起源は古く、ヨーロッパ中世の文献にすでに記録されているそうです。
グリム童話のKHM122「キャベツろば」も同じ話型ですね。グリムのほうはちょっと教訓的です。

魔法の品については、《昔話雑学》「呪宝譚」を見てください。こちら⇒


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イワンの夢

イワンのゆめ

ロシアの昔話

原題は、「正夢」
夢で見たことが本当になるという意味ですね。

ATU725
話型名は「将来の君主を予言する」
これが主軸になっていますが、イワンが森の中で三人のおじいさんから魔法のじゅうたんなどの宝を取り上げるモティーフは、ATU926D「裁判官が論争の対象物を横取りする」と合体していることがわかります。

魔法のじゅうたんといえばアラビアンナイトを思い浮かべるし、隠れ帽子は彦一を思い出すし、いだてん靴は千里車やマイル靴を思い出します。世界共通の魔法満載ですね。
イワンが最後に魔法のアイテムをすべておじいさんに返却するのが、珍しく、とっても気持ちがよいです。

うるわしのエレーナ姫の課題のきらびやかなこと。靴も鳥も金やダイヤモンドや宝石で飾り立てられています。海の老人(おそらく海神)のあごひげは金、髪の毛は銀です。おまけに金の盃。
このきんきらは、ロシアの昔話の特徴のようです。

この話型は、日本の昔話にもあります。「夢見童子(夢見小僧)」です。
初夢を話さなかったからといって、親が息子を船に乗せて流してしまいます。船は鬼ヶ島につき、息子は鬼から生き針と死に針と千里棒を手に入れます。最後は、夢が実現してハッピーエンドです。
夢の話をしないがために罰せられるという設定は、落語の「天狗裁き」も同じですね。


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蛙の王女

かえるのおうじょ

ロシアの昔話

いかにもロシアらしい雰囲気の話です。

「話に聞いたこともなければ、絵でも見たことがない」「昔ばなしには聞くけれど、とても想像できないほど」「心配しないでおやすみなさい。朝になればよい知恵も浮かぶでしょう」「短かったか長かったか、どれほど歩いたか」などは、ロシアの昔話によく出てくる常套句です。

転がる糸玉、ミルクの川にキセーリの岸、にわとりの足の上にたつ家、ペーチカ、お風呂、どれもロシアの昔話におなじみの風景です。

ババ・ヤガーと不死身のコシチェイも、ロシアらしい登場人物。

けれども、ストーリーは、ロシア特有ではありませんね。
前半はグリムの「三枚の鳥の羽」にそっくりです。後半の動物の恩返しは、世界じゅうにあります。命が卵の中にあるモティーフもよく知られています。

ATU402「動物花嫁」とATU400「いなくなった妻を捜す夫」が結合しています。
よく似た話でも、民族が違うと、こんなふうに変わるのですね。

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蛙の王女

美しいユーラリ

うつくしいユーラリ

フランスの昔話

冒頭、主人公の若者は、兵役を終えて国に帰るところです。このシチュエーションは、ヨーロッパの昔話でよく見かけます。グリム童話の「くま皮」は、クビになった兵隊ですね。

「美しいユーラリ」は、イギリスの昔話「鳥たちの戦争」の類話です。このホームページでは、「オーバーンメアリー」として紹介してあるので読んでみてください。とてもよく似ているでしょう。「鳥たちの戦争」にある古い宗教的な要素は、「美しいユーラリには見当たりません.それに、短いので、こちらのほうが語りやすいかもしれませんね。

ATU313、話型名は、「呪的逃走」。この話型では、さまざまな導入のエピソードが、「呪的逃走」と「忘れられた婚約者」というふたつの主部に結びついています。

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語りを聞けます

プニアとさめの王さまカイアレアレ

ハワイの昔話

ハワイ島に伝わるおはなしです。
ハワイ島が、アメリカ合衆国の州になったのは、いまから120年余り前のことだそうです。18世紀にキャプテン・クックがハワイにやって来て以来、イギリス、フランス、中国、日本などと関りがあって、もとの独特の文化も変化していったと思われます。

この「プニアとさめの王さまカイアレアレ」が、ハワイのもとの文化をどれほど反映しているのかはわかりませんが、勇気ある少年プニアも、おそろしいさめのカイアレアレも、南洋の明るさを感じさせます。島と海の風景も、南の島を想像させてくれます。

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