「異界へ行く話」カテゴリーアーカイブ

ヤーノシュと天までとどく木

ヤーノシュとてんまでとどくき

ハンガリーの昔話

ぶた飼いの少年が王国をつぐ話。
極端に高く危険な来を登り、異界に行き、竜をやっつけてお姫さまと結婚するという典型的な男の子の成長話です。

竜(または鬼・巨人)の心臓が、体の中にないというモティーフは、意外性があって好まれるようです。ひとつの話型にもなっています。

天までとどく木は、ハンガリーの昔話の代表的なモティーフです。
シャーマニズムの信仰世界がもとになっているそうです。現在もハンガリー社会に伝承されていて、日常会話や広告文にまで多用されているとのこと。シャーマンの太鼓に多く描かれていて、農民の道具類にも見られます。

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ペドロのふしぎな話

ぺどろのふしぎなはなし

ベネズエラの昔話

不思議な雰囲気を持つ話です。
まず盗賊を追いかけている男がいったい何者なのかという疑問が、暗闇の中に浮かび上がります。

川を越えると、そこは知らない土地。
水が異界との境界になっている話はよくあります。
「かしこいモリー」の髪の毛一本橋。橋だから、川をわたるんですね。
「浦島太郎」の、海の向こうにある異郷の地。
グリム童話の「踊ってぼろぼろになった靴」では、地下に湖があって、それを越えてお城に着きます。
などなど。
三途の川もそうですね。

ペドロはあちらの世界で結婚し、孫も生まれ、年老いて、やっと故郷に帰ってきます。すると、ふるさとの家では、たったひと晩しかたっていないのです。
「浦島太郎」の逆バージョンです。たった3日だと思っていたのが300年たっていたというのが浦島太郎ですね。
時間の経過の点では、《日本の昔話》で紹介した「さかべっとうの浄土」こちら⇒と同じですね。でも、「さかべっとうの浄土」の主人公は、異界から帰ってきたとき、出て行った時と同じ年齢です。ところが、ペドロは異界での年数分だけ年を取って帰ってきます。

異界についての人間の想像力を面白いなあと感じます。


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井戸の底の贈り物

いどのそこのおくりもの

フランスの昔話

ATU480「親切な少女と不親切な少女」
グリム童話「ホレばあさん」やスロバキアの「十二の月の贈り物」の類話です。

井戸の底にいる女も娘たちも、彼岸者です。
主人公には贈り物をくれますが、不親切なもうひとりの娘はひどい目にあいます。

原話の解説によると、かつて娘たちは秋の収穫が終わると、娘宿という場に集まって夜なべ仕事をしながら、さまざまな話を語りあったそうです。
その娘宿の風習が、この話の背後に見えるようです。


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かも女房

かもにょうぼう

アラスカの昔話

アラスカの異類婚姻譚です。

妻が異類である場合、日本の昔話では、妻は去り、二度ともどって来ることはありません。「つる女房」「かえる女房」「こい女房」などなど。

ヨーロッパの昔話では、夫は妻を探しに行き、見つけ出します。「蛙の王女」「七羽のはと」などなど。

アイスランドの「あざらし」は日本の話とよく似ています。

アラスカの場合は・・・読んで(聞いて)みてくださいね。

異類婚の話、とっても興味があります。


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牛の子イワン

うしのこイワン

ロシアの昔話

イワンやババ・ヤガーや怪物のセリフがとってもロシアっぽいですね。
長いけれど、飽きさせない魅力のある話です。

前半がATU300A「橋の上の戦い」、後半が513A「6人が世界じゅうを旅する」という構成になっています。

ATU300というのは「竜退治の男」の話のグループで、昔話カタログのなかでは、魔法昔話の最初にあげられている話型です。超自然の敵がテーマです。
そしてその「A」となっているのは、大筋は「竜退治の男」なんだけど、少し違うグループだからです。何が違うかというと、A「橋の上の戦い」は、主人公が動物息子だというところです。
このロシアの「牛の子イワン」は題名のとおり、牛の息子です。超人的な力を持っていますが、見た目は人間と変わらないのがおもしろいところ。生まれた時から結末まで人間の姿です。

後半のATU513というのは「並外れた旅の道連れ」の話のグループです。
その「A」は、グリム童話「六人男世界をのし歩く」で知られています。
「B」は「水陸両用の船」という話型名です。ノルウェーの類話をそのうちUPしますね。


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白くま王ワレモン

しろくまおうワレモン

ノルウェーの昔話

ATU425A「動物婿」。
魔法昔話の「夫」の項「いなくなった夫捜し」の話型に分類されています。
この話型は、いろんなエピソードと結びついて、長い物語になります。
ただ、「妻による探索と贈り物」「買った夜」のモティーフは必ず入っています。

妻による探索。
お姫さまは果てしない森を歩き続けますね。まさにノルウェーの風景です。道中立ち寄った小屋で、女の子から金のはさみ、びん、テーブルかけの、三つの贈り物をもらいます。
類話には、途中で太陽や月、風、星などから贈り物をもらう話もあります。贈り物には、金のつむぎ車や宝石、ドレスなどもあります。

買った夜。
夫と魔女の結婚式の前の三晩、お姫さまは、三つの贈り物で、夫の側で夜を過ごす機会を買います。

このふたつのモティーフは、じつは、子どもの頃から知っていました。
とっても不思議で印象に残ったのです。夫が眠り薬で眠らされているそばで娘が泣く光景は忘れられません。


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世界の果ての井戸

せかいのはてのいど

イギリスの昔話

ATU440
グリム童話のKHM1「かえるの王さま」の類話だとすぐに気が付いたと思います。
スコットランドの話です。

主人公は、お姫さまではなく、継子話です。
「かえるの王さま」では、娘にとっての父親像が重く、倫理観が強く感じられますが、「世界の果ての井戸」は「約束を守れ」といい聞かせるのが継母であって、その言葉は軽く、むしろ娘の行動により強くスポットライトが当てられているような気がします。

井戸端会議のマックスリュティ『昔話の解釈』を読むの「偽の花嫁と本当の花嫁、けもの息子とけもの婿7」も見てくださいね。こちら⇒

テキストは、『語りの森昔話集5ももたろう』に掲載しています。こちら⇒書籍案内

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はす

インドの昔話

水中の宝を手に入れるには、水に飛びこむ勇気が要ります。じっと待っているだけではだめなんですね。

浦島太郎の竜宮城に限らず、水の底に宮殿がある昔話や伝説は世界じゅうにあります。この話では女神が住んでいます。浦島太郎では乙姫さまですが、ここの女神はおそらくヒンドゥー教のラクシュミーか、仏教の吉祥天でしょう。

はすは、インド原産で、インドの国花でもあります。
インダス文明のころから、聖なる花とされてきたそうです。

この話が記録されたのは、インドのグジャラート州。
マハトマ・ガンジーの出身地です。

高学年向きに再話しました。


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旅の仲間

たびのなかま

ノルウェーの昔話

ノルウェーのペテル・クリスティン・アスビョルンセン(1812~1885年)は、大学生のころグリム童話を読んで昔話に興味を持ち、友だちのヨルゲン・モーといっしょに、ノルウェーに伝わる伝承を集めました。それは、『ノルウェーの民話』として出版されました。正60話と続50話、あわせて110話です。これは、グリム兄弟にもいい物だと評価されたそうです。

「旅の仲間」は、続編に入っています。これは、ジョージ・ダセントによって英訳されていて、ここから再話しました。

長い話ですが、ストーリーは一直線に進みます。そして、氷の柱に閉じこめられた死体や、一度座ったら離れないいすや、三人の魔女の持つ呪物(剣・金の糸玉・ぼうし)、トロル山に住むトロルなど、つぎつぎと現れるモティーフに、わくわくします。

ここに登場する入江は、氷河の作ったフィヨルドです。フィヨルドの風景を写真などで確かめると、金の橋の光景が目に浮かぶでしょう。

最後に、主人公がわが子を切ろうとする場面、旅の仲間が去ってゆく場面は、感動的です。

ATU507「怪物の花嫁」

テキストは、『語りの森昔話集5ももたろう』に掲載しています。こちら⇒書籍案内

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金のとさかのおんどりとひき臼

きんのとさかのおんどりとひきうす

ロシアの昔話

小学2年生くらいまでの幼い子むきのおはなしです。

貧乏だけど善良なおじいさんとおばあさん。
木の実が芽を出して天までとどく。木を上って行ったら空に着いた。
空を歩いていると、金のとさかのおんどりがいて、ひき臼があったので持って帰る。ひき臼は、クレープとパイを出してくれる。
どこかで見たことのあるような、ファンタジックなモティーフが、軽快に続きます。

後半は、悪い旦那さんと金のとさかのおんどりの、ひき臼をめぐる闘いです。もちろん、おんどりが勝ちます。
「半分のにわとり」とよく似ていますね。類話です。でも、前後のモティーフが異なると、物語の雰囲気がずいぶん変わります。

このおんどりは、天にいて金のとさかを持つから、彼岸者です。

STU715A「すばらしいオンドリ」


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