「心が温かくなる話」カテゴリーアーカイブ

神の顔

かみのかお

イスラエルの昔話

ATU922「羊飼いが聖職者の代わりに王の質問に答える」
社会的地位の高い人物が一定期間に答えなければ死刑にするといって、3つの難問を出すというお話。
おそらくユダヤ起源で、9世紀に資料があるそうです。なんと古い話ですねえ。

ほんとうに知恵があるのは百姓で、そのことを大臣の娘は知っていたこと、床にチョークで人型を描くこと、が、気に入って語りたいと思いました。

《外国の昔話》におなじ話型の「ラ・レアールの修道院長」⇒こちらを紹介していますので、参考にしてください。


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王さまとどろぼう

おうさまとどろぼう

リトアニアの昔話

どこかで聞いたことのある話ですね。

ATU981「隠されたお爺さんの知恵が王国を救う」

「うばすて山」とそっくりです。
「うばすて山」の話は純粋に日本の話だと思っていたら、リトアニアにもありました。「うばすて山」は、とっても日本的ですし、「王さまとどろぼう」はとってもヨーロッパらしい。どちらが先ということはないのでしょうか。
人々の想いって、どこも同じ。興味深いです。


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神さまのお返し

かみさまのおかえし

オーストリアの昔話

ふたつの話が組み合わさっています。
前半は日本の「仙人の教え」やグリム童話の「三本の金髪を持った悪魔」の後半と同じ。
後半は日本の「話十両」と同じ。

どこにでもいる普通の人間が幸せになる話は、ほっとします。

高学年向きのおはなしですね。


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幸運の種まき

こううんのたねまき

イスラエルの昔話

この話には、悪人がひとりも出て来ません。それでも、運命は人々をほんろうします。
徳のある村長の行動と、それに誠実に答えようとする主人公の生きざまに、感銘を受けました。

原話の解説に、つぎのようにありました。
「運命的聖者伝。宿命についての信仰と血の復讐あるいは相応の賠償金の習慣は近東では極めて一般的のことだそうです。」

大人向けの話ですが、若い人に聞いてほしいと思いました。


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ふたりの友

ふたりのとも

エチオピアの昔話

友情について描かれた昔話。

きちんと三回の繰り返しがあって、すっきりと分かりやすい形になっています。
貸したお金がふしぎに友達のところに戻ってきますが、これは状況の一致といえます。まほうではないけれど、奇跡を感じさせます。

エチオピアの東の海岸地方のダナキル族の伝承だそうです。


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コックのペレ

スウェーデンの昔話

ATU505「恩に報いる死者」
「死人の恩返し」の話です。この話型の典型的なものが、ノルウェーの「旅の仲間」です。⇒こちら

「恩に報いる死者」の導入部は、紀元前2世紀に、聖書外典の「トビト記」に記録されているから、とっても古い話だと分かります。
そんなに古くから今に伝えられてきた昔話には、深いメッセージがあります。
マックスリュティは、それを、「救済」だと説明しています。⇒こちら
この話型がわたしたちの心を打つのは、それなりの理由があるのです。


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村のおばあさん

むらのおばあさん

インドの昔話

インドの北西部にあるグジャラート州に伝わるはなし。
グジャラート州は、マハトマ・ガンジーの生地です。
さまざまな民族の往来する地域なので、宗教も複雑ですが、この話は、いい意味での宗教的な色合いが強く感じられます。と同時に、為政者はどうあるべきかを訴えています。

高学年のおまけの話にどうぞ。


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運命を出し抜く話

うんめいをだしぬくはなし

インドの昔話

誕生のときに神さまが運命を授ける話は、日本にもあります。
「七つの年の水の寿命」こちら⇒
「おおかみのまつ毛」こちら⇒
「ねずみの聞き耳ずきん」こちら⇒

定められた運は、実現する場合と、何らかの事情で実現しない場合とがあるようです。実現しない理由は、その人の努力であったり、知恵であったり、全くの偶然であったりします。

人は、いつの時代にどこで生まれるかを、自分で決めることができません。
それを不条理といいます。その不条理に気づきながらも幸せを求めて生きていくしかない。そのときに、運命だとあきらめるのか、運命にあらがって生きるのか、永遠の課題として生きているのでしょう。それが、昔話として語られるとき、さまざまな結末を持つことになるのだと思います。

「運命を出し抜く話」は、非情な運命は実現しますが、実現しつつ幸せをもたらすのです。
主人公の愛と知恵に感動します。


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ムズィカ

ウクライナの昔話

知恵が足りないと思われていても、音楽に秀でていて世の中の人を幸せにする主人公。
子どもの自然な欲求と才能を育てる大切さを思います。

まぶたに塗ると悪魔の正体が見えるというモティーフは、イギリスの昔話「妖精の塗りぐすり」にあります。
日本では狼のまゆ毛、韓国ではとらのまつ毛も同じように人間の正体を見抜くふしぎな力を持っています。

ムズィカが、おおかみにおそわれたときは、あきらめて死を受け入れようとしたのに、地獄では、悪魔たちを焼くような音楽を鳴らしてやろうと立ち向かいます。
自分の力を自覚して行動する青年に成長しています。

音楽が「悪い人の心をナイフもなしにひきさく」力を持つということばに感動しました。

ストーリーも複雑ではないし 、難解な語彙もありません。
小学生から大人まで、それぞれの年齢で感じることの多いお話です。


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誠実

せいじつ

ロシアの昔話

バルカル・カラチャエフは、ロシアの中でも南西にある小さな共和国です。

家に住む《幸せ》は、日本で言えば福の神のようなものでしょうか。または、東北地方の座敷童子のようなものかもしれません。

真っ白な雪の中に続くほのかな足跡。
明るいモノトーンの景色を背景にして、この一家の人間らしい暖かさがすばらしい。
ふだんあまりものをいわないおとなしい末っ子の妻の願いも素敵だけれど、それを聞いてすぐに反省して賛成する年寄りや家族たちもすてきです。


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