「心が温かくなる話」カテゴリーアーカイブ

まだらの雌牛よ、フルフル

まだらのめうしよ、ふるふる

モンゴルの昔話

田んぼのお米を食べる鳥をつかまえたのですが、命を助けてやると、恩返しにまだらの雌牛をくれます。
この鳥は、主人公のおじいさんを助けてくれる援助者ですね。
鳥は、雌牛といっしょに言葉の贈り物もします。「まだらの雌牛よ、フルフルといってはいけませんよ」
ところが、おじいさんは、さっそくこの言葉を唱えます。そしてそのおかげで富を手に入れるのです。
昔話では、禁令は破られるという構造を持っていますが、あまりにもストレートなので、思わず笑ってしまいます。

ATU563「テーブルとロバとこん棒」。
よく知られているノルウェーの昔話「北風に会いに行った少年」と同じ話型ですが、主人公のおじいさんが、したたかなのに、のんびりした空気感があっておもしろいです。


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パンの皮

ぱんのかわ

クロアチアの昔話

若い悪魔が、貧しい人から、わずかなパンの皮を盗んで得意になっていたら、家に帰るとおじいさんから叱られます。
悪いことをするのが悪魔の仕事ですから、若い悪魔のやったことは、悪いこととは言えないというのでしょう。
では、何が本当に悪いことなのかと好奇心がわいてきますが、それはさておき、パンの皮とは極端に豪華なものをお返しにくれます。しかもまじめに一生懸命働いて。
おかしくて、ほっと心が温まるお話です。

ところで、悪魔の家って、どんな家なんでしょうね。
地獄のことかと思いましたが、ちょっとイメージが違うようです。

ATU810A「悪魔が罪ほろぼしをする」。
ちょっと珍しい話で、北欧から東欧にかけて語られているようです。


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東風夜雨

とうふうやう

中国の昔話

中国版の貧乏神と福の神の話です。
この神さまたちは、おかみさんから逃げましたが、金神さまは逃げそこなってしまいます。
パワフルなおかみさん、女はこうでなくっちゃ。
ご亭主は影が薄いですが、正直で誠実なのは、おかみさんと同じです。
ラスト、ほっとして思わず微笑んでしまいます。

原話では、福の神は「増福神」、貧乏神は「掠福神」、金神は「財神」となっています。財神は福をあたえる神で、増福神との区別がつきにくいですが、この話が語られた中国の江蘇省灌雲の石仏寺には財神殿という建物があります。
民間信仰の神さまなのでしょう。神さまがお寺に祀られているのも興味深いです。


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神の顔

かみのかお

イスラエルの昔話

ATU922「羊飼いが聖職者の代わりに王の質問に答える」
社会的地位の高い人物が一定期間に答えなければ死刑にするといって、3つの難問を出すというお話。
おそらくユダヤ起源で、9世紀に資料があるそうです。なんと古い話ですねえ。

ほんとうに知恵があるのは百姓で、そのことを大臣の娘は知っていたこと、床にチョークで人型を描くこと、が、気に入って語りたいと思いました。

《外国の昔話》におなじ話型の「ラ・レアールの修道院長」⇒こちらを紹介していますので、参考にしてください。


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王さまとどろぼう

おうさまとどろぼう

リトアニアの昔話

どこかで聞いたことのある話ですね。

ATU981「隠されたお爺さんの知恵が王国を救う」

「うばすて山」とそっくりです。
「うばすて山」の話は純粋に日本の話だと思っていたら、リトアニアにもありました。「うばすて山」は、とっても日本的ですし、「王さまとどろぼう」はとってもヨーロッパらしい。どちらが先ということはないのでしょうか。
人々の想いって、どこも同じ。興味深いです。


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神さまのお返し

かみさまのおかえし

オーストリアの昔話

ふたつの話が組み合わさっています。
前半は日本の「仙人の教え」やグリム童話の「三本の金髪を持った悪魔」の後半と同じ。
後半は日本の「話十両」と同じ。

どこにでもいる普通の人間が幸せになる話は、ほっとします。

高学年向きのおはなしですね。


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幸運の種まき

こううんのたねまき

イスラエルの昔話

この話には、悪人がひとりも出て来ません。それでも、運命は人々をほんろうします。
徳のある村長の行動と、それに誠実に答えようとする主人公の生きざまに、感銘を受けました。

原話の解説に、つぎのようにありました。
「運命的聖者伝。宿命についての信仰と血の復讐あるいは相応の賠償金の習慣は近東では極めて一般的のことだそうです。」

大人向けの話ですが、若い人に聞いてほしいと思いました。


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ふたりの友

ふたりのとも

エチオピアの昔話

友情について描かれた昔話。

きちんと三回の繰り返しがあって、すっきりと分かりやすい形になっています。
貸したお金がふしぎに友達のところに戻ってきますが、これは状況の一致といえます。まほうではないけれど、奇跡を感じさせます。

エチオピアの東の海岸地方のダナキル族の伝承だそうです。


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コックのペレ

スウェーデンの昔話

ATU505「恩に報いる死者」
「死人の恩返し」の話です。この話型の典型的なものが、ノルウェーの「旅の仲間」です。⇒こちら

「恩に報いる死者」の導入部は、紀元前2世紀に、聖書外典の「トビト記」に記録されているから、とっても古い話だと分かります。
そんなに古くから今に伝えられてきた昔話には、深いメッセージがあります。
マックスリュティは、それを、「救済」だと説明しています。⇒こちら
この話型がわたしたちの心を打つのは、それなりの理由があるのです。


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村のおばあさん

むらのおばあさん

インドの昔話

インドの北西部にあるグジャラート州に伝わるはなし。
グジャラート州は、マハトマ・ガンジーの生地です。
さまざまな民族の往来する地域なので、宗教も複雑ですが、この話は、いい意味での宗教的な色合いが強く感じられます。と同時に、為政者はどうあるべきかを訴えています。

高学年のおまけの話にどうぞ。


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