「心が温かくなる話」カテゴリーアーカイブ

豆の皮

まめのかわ

イスラエルの昔話

たとえ話です。
人間、自分が一番つらいと思っていても、もっと苦しんでいる人がいるものです。
苦しみやつらさは相対的なもの。比較する必要はないのですが、少し周りを見回して視野を広げると、隣人の苦しみが見えてきます。そして、自分を客観的に眺めることができます。
生きることについて、昔話は、こういうたとえ話で教えてくれてるんですね。


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六つの真理

むっつのしんり

ドイツの昔話

貧しくて極限状況になった主人公が、悪魔との契約で窮地から脱出するのですが、契約の期限が来て、今度は悪魔からどうやって逃げるかという問題にぶつかります。このような話は、たくさん残っています。
キリスト教の色合いの強い話なのですが、宗教と関係なくても人間生きていればそのようなことにぶつかります。人生を何とか切り開いていくにはどんな態度でいればよいのか、教えてくれるようです。

ATU812


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まだらの雌牛よ、フルフル

まだらのめうしよ、ふるふる

モンゴルの昔話

田んぼのお米を食べる鳥をつかまえたのですが、命を助けてやると、恩返しにまだらの雌牛をくれます。
この鳥は、主人公のおじいさんを助けてくれる援助者ですね。
鳥は、雌牛といっしょに言葉の贈り物もします。「まだらの雌牛よ、フルフルといってはいけませんよ」
ところが、おじいさんは、さっそくこの言葉を唱えます。そしてそのおかげで富を手に入れるのです。
昔話では、禁令は破られるという構造を持っていますが、あまりにもストレートなので、思わず笑ってしまいます。

ATU563「テーブルとロバとこん棒」。
よく知られているノルウェーの昔話「北風に会いに行った少年」と同じ話型ですが、主人公のおじいさんが、したたかなのに、のんびりした空気感があっておもしろいです。


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パンの皮

ぱんのかわ

クロアチアの昔話

若い悪魔が、貧しい人から、わずかなパンの皮を盗んで得意になっていたら、家に帰るとおじいさんから叱られます。
悪いことをするのが悪魔の仕事ですから、若い悪魔のやったことは、悪いこととは言えないというのでしょう。
では、何が本当に悪いことなのかと好奇心がわいてきますが、それはさておき、パンの皮とは極端に豪華なものをお返しにくれます。しかもまじめに一生懸命働いて。
おかしくて、ほっと心が温まるお話です。

ところで、悪魔の家って、どんな家なんでしょうね。
地獄のことかと思いましたが、ちょっとイメージが違うようです。

ATU810A「悪魔が罪ほろぼしをする」。
ちょっと珍しい話で、北欧から東欧にかけて語られているようです。


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東風夜雨

とうふうやう

中国の昔話

中国版の貧乏神と福の神の話です。
この神さまたちは、おかみさんから逃げましたが、金神さまは逃げそこなってしまいます。
パワフルなおかみさん、女はこうでなくっちゃ。
ご亭主は影が薄いですが、正直で誠実なのは、おかみさんと同じです。
ラスト、ほっとして思わず微笑んでしまいます。

原話では、福の神は「増福神」、貧乏神は「掠福神」、金神は「財神」となっています。財神は福をあたえる神で、増福神との区別がつきにくいですが、この話が語られた中国の江蘇省灌雲の石仏寺には財神殿という建物があります。
民間信仰の神さまなのでしょう。神さまがお寺に祀られているのも興味深いです。


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神の顔

かみのかお

イスラエルの昔話

ATU922「羊飼いが聖職者の代わりに王の質問に答える」
社会的地位の高い人物が一定期間に答えなければ死刑にするといって、3つの難問を出すというお話。
おそらくユダヤ起源で、9世紀に資料があるそうです。なんと古い話ですねえ。

ほんとうに知恵があるのは百姓で、そのことを大臣の娘は知っていたこと、床にチョークで人型を描くこと、が、気に入って語りたいと思いました。

《外国の昔話》におなじ話型の「ラ・レアールの修道院長」⇒こちらを紹介していますので、参考にしてください。


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王さまとどろぼう

おうさまとどろぼう

リトアニアの昔話

どこかで聞いたことのある話ですね。

ATU981「隠されたお爺さんの知恵が王国を救う」

「うばすて山」とそっくりです。
「うばすて山」の話は純粋に日本の話だと思っていたら、リトアニアにもありました。「うばすて山」は、とっても日本的ですし、「王さまとどろぼう」はとってもヨーロッパらしい。どちらが先ということはないのでしょうか。
人々の想いって、どこも同じ。興味深いです。


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神さまのお返し

かみさまのおかえし

オーストリアの昔話

ふたつの話が組み合わさっています。
前半は日本の「仙人の教え」やグリム童話の「三本の金髪を持った悪魔」の後半と同じ。
後半は日本の「話十両」と同じ。

どこにでもいる普通の人間が幸せになる話は、ほっとします。

高学年向きのおはなしですね。


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幸運の種まき

こううんのたねまき

イスラエルの昔話

この話には、悪人がひとりも出て来ません。それでも、運命は人々をほんろうします。
徳のある村長の行動と、それに誠実に答えようとする主人公の生きざまに、感銘を受けました。

原話の解説に、つぎのようにありました。
「運命的聖者伝。宿命についての信仰と血の復讐あるいは相応の賠償金の習慣は近東では極めて一般的のことだそうです。」

大人向けの話ですが、若い人に聞いてほしいと思いました。


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ふたりの友

ふたりのとも

エチオピアの昔話

友情について描かれた昔話。

きちんと三回の繰り返しがあって、すっきりと分かりやすい形になっています。
貸したお金がふしぎに友達のところに戻ってきますが、これは状況の一致といえます。まほうではないけれど、奇跡を感じさせます。

エチオピアの東の海岸地方のダナキル族の伝承だそうです。


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