「男の子の成長の話」カテゴリーアーカイブ

あかつき、夕べ、夜ふけ

あかつき、ゆうべ、よふけ

ロシアの昔話

ATU301「3人のさらわれた姫」
類話は世界じゅうにありますが、とくにヨーロッパでは人気のある昔話です。

美しいおひめさまたちが、地下に棲む蛇や竜などの怪物にさらわれます。
お姫さまたちを救いに3人の兄弟が出かけて行きます。例のごとく、成功するのは末っ子です。

末っ子がお姫さまを助け出して井戸から引き上げてもらうとき、ふたりの兄さんが裏切る話がよくありますが、この「あかつき、夕べ、夜ふけ」では、そうではありません。3人兄弟は、救い出した3人のお姫さまと結婚して幸せになります。

長い話ですが、満足感があります。


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「あかつき、夕べ、夜ふけ」前半
「あかつき、夕べ、夜ふけ」後半


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白くま

しろくま

スウェーデンの昔話

冒頭で、3人の娘たちの予言が出て来ます。この娘たちは彼岸の存在で、のちに下の王子(主人公)の旅を助けます。
娘たちの贈り物は3匹の犬です。この犬も彼岸の存在かと思いきや、最後に変身します。
白くまは、主人公の敵役です。

中学年以上向き。


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火打ち道具と兵隊

ひうちどうぐとへいたい

オーストリアの昔話

ATU562「青い火の中の精霊」
火打石をこするとあらわれるのは、巨人とか小人、鉄の男などの精霊が多いそうですが、この話では、目玉の大きな三匹の犬です。
グリム童話にも類話があります。「青いランプ」。文学作品では、アンデルセンの「火打ち箱」があります。
『千一夜物語』の「アラジンと魔法のランプ」は、ストーリーは異なりますが、ランプをこすると援助者としての魔人があらわれるという、印象的なモティーフは同じですね。


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紙のおうちのヤンネマン

かみのおうちのやんねまん

オランダの昔話

親指ほどの大きさで、トランプでできた紙のおうちにすんでいる男の子。
そんなに小さいはずなのに、魔女はふくろに入れて背負っていきます。
紙のおうちも、とっても小さいはずなのに、台所もあって、魔女は流し口からねこのように細くならないと入って来られません。
う~ん。小さいのはヤンネマンと紙のおうちだけで、あとは、普通の人間サイズなんですね。そこに矛盾が生じないのが、ファンタジーのおもしろさです。

ATU327「子どもと鬼」という話型です。
「ヘンゼルとグレーテル」⇒こちら、「ジャックと豆の木」⇒こちら、などが同じ話型。語りの森では、ほかに、「ヨーナスの馬」⇒こちら、「イヴァスと魔女」⇒こちらがあります。

1~3年生が喜びそうです。


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ハンスの巨人退治

はんすのきょじんたいじ

デンマークの昔話

長い話です。でも、息つく暇もなくストーリーが展開していきます。

話型名「三人のさらわれた姫」。
ヨーロッパで大人気の昔話だそうです。

この話型は、ほかの話型とつながって広がっていきます。それで、いろんなバージョンが生まれます。

三人兄弟の末っ子が、馬鹿にされながらも、成功しますね。よくあるパターンです。自分が弱い立場で能力にも自信のない子どもが聞いたら、とっても勇気が出ると思います。昔話は、そんな子どもにとっても心やさしいです。

長いですが、内容的には、4年生くらいから聞けると思います。


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パシュクンジ

ジョージアの昔話

ATU301「三人のさらわれた姫」

この話には、超自然の敵が出て来ます。魔人のデフ。地上のデフと、地下のデフがいます。末っ子とデフとの戦いが、アニメチックでとても盛り上がります。
パシュクンジは、超自然の援助者です。末っ子を上の世界に連れ帰ってくれますが、とちゅうで肉を食べさせなければなりません。肉がなくなって、末っ子が自分の体の一部をあたえるというモティーフがおもしろいです。

この昔話は、世界じゅうでもっともよく知られた話のひとつだそうです。
長い話ですが、ぜひ子どもたちに聞かせたいです。高学年向き。


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聖アントニウスの物語

せいあんとにうすのものがたり

ベネズエラの昔話

聖アントニウスは、キリスト教の聖者で、3世紀ごろの人といわれています。
特に動物の守護聖人だそうです。
今回紹介した昔話は、彼が聖者となる前の物語です。

冒頭、赤ん坊のアントニウスがなぜ木の枝にいたのか、説明はありません。けれども、「鷹にさらわれた子ども」の良弁僧正のように、のちに聖人となる人が木の上にいたという話はよくあるようです。

魔女のキャラクターもおもしろいですが、魔女にたぶらかされる太陽もおもしろいです。そして、アントニウスの助手のぶた、あいきょうがありますね。

最後の2文は結末句です。ゆかいですね。これはいつでも使えそうです。


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三つの金のりんご

みっつのきんのりんご

スイスの昔話

ATU314「黄金の若者」

主人公は九人兄弟の一番上です。一番上も末っ子と同じく端っこの存在です。昔話では、端っこの存在が主人公になります。孤立性の表れですね。

見てはいけない部屋や、呪的逃走など、人気のあるモティーフがおりこまれていて、ワクワクする物語になっています。

バイヤルトという馬が主人公の援助者です。
三本のたてがみと呪文によって主人公を助けます。

長いので高学年向きですが、四年生でも楽しめると思います。


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魚のなる木

さかなのなるき

パラオの昔話

貧しい女の人が、巨大なタコの木の根元にたまごがあるのを見つけます。
たまごから親指よりも小さな男の子が生まれます。
その子はあっという間に大きくかしこく育ちます。
まるで、一寸法師のようです。

このような「小さ子の誕生」のモティーフを持った話は、世界じゅうにあります。⇒こちら

男の子が海にもぐって島に穴を開けたり、大漁をもたらしたりするのは、いかにも南の島の話だなあと思います。
すきとおった青い海と空の光景が見えるようです。


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百ルーブリで買えるもの

ひゃくるーぶりでかえるもの

ロシアの昔ばなし

原題は「買われた妻」です。
人間を「買う」なんて、なんてことでしょうと思いますが、古今東西、現実にあることです。ただし、昔話なので、人身売買という社会的なモティーフを使っているだけで、テーマはそこにはありません。
ここで描かれるのは、妻の援助により成功する若者、失った妻を探す若者の物語です。勇気と希望の物語です。


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