「男の子の成長の話」カテゴリーアーカイブ

ガラスの山のお姫さま

がらすのやまのおひめさま

ノルウェーの昔話

三人兄弟の末っ子が、主人公。
ふたりの兄さんにばかにされながら、課題を解決して幸せをつかむ。昔話らしく、主人公のみが、恩寵を得ているのです。

つるつる滑る氷のようなガラスの山、そのてっぺんに座るお姫さま、お姫さまの膝には、金のりんご。くっきりと印象的なイメージで語られていきます。

ATU530「ガラス山の姫」
世界中に類話はありますが、ヨーロッパ中心に語られていたようです。


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プチジャンとかえる

フランスの昔話

ATU402「動物花嫁」

このかえる、とってもチャーミングですね。

類話は世界にたくさんあります。読み比べると面白いです。
重厚なグリム童話KHM63「三枚の鳥の羽」と、豪華なロシアの「蛙の王女」⇒こちらに比べて、フランスの「プチ・ジャンとかえる」は明るく楽しい物語です。あちこちに笑いのツボが隠されています。

長いですが、中学年くらいから聞けるでしょう。


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緑ずきん

みどりずきん

イランの昔話

冒頭、猟師の娘は、父親がとらえてきた馬と結婚します。
ああ、異類婚姻譚だなと気づきますが、この馬が、じつは《翼のある天使》だというところから、いっきに壮大なファンタジーの世界に入っていきます。
魔神の母親やおばが娘に難題を出し、亡き者にしようと追いかけてきます。呪的逃走のモティーフが、はらはらさせてくれます。
主人公の娘がさまざまな試練を乗り越えることで、夫緑ずきんはすくわれ、ふたりは幸せになります。

結末の「この上もなくぜいたくに、この上もなく楽しく暮らしました。」は、現実を生きる語り手聞き手たちにとっての願望であり、夢でもあるのでしょう。
この結末句、気にいっています。


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まほうの馬

まほうのうま

ウズベキスタンの昔話

長い話ですが、昔話でよく使われるモティーフが、つぎつぎ出てくるので飽きません。
はらはらさせる呪的逃走のモティーフ、じれったいウリアの手紙のモティーフ、援助者が自分をを殺してくれと頼む感動的なモティーフなどです。

敵役のディフが道化の要素を持っていて、笑えます。
呪的逃走の部分でのおひめさまとディフのやりとりは、もともと音楽的な要素があったと思われます。遊びの歌かもしれません。

ウズベキスタンは、中央アジアにあって、多民族国家。
古代からシルクロードの中継地点でもあった所です。


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金のひげの巨人

きんのひげのきょじん

フランスの昔話

「かしこいモリー」や「ジャックと豆の木」とよく似たスリル満点の楽しい話です。

ATU328「少年が鬼の宝を盗む」

主人公が盗む鬼の宝が、いかにもふしぎな呪物で、想像力をかき立てます。

長い話ですが、スピーディに進むので、退屈することはありません。主人公も、敵役の巨人(たち)も陽気で、楽しく聞くことができます。

中学年から聞けると思います。


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ガムバール

アルメニアの昔話

この話の主人公は、貧しい若者ガムバールです。彼の人生を導くのは、かしこい妻(皇帝の娘)です。
ストーリーはガムバールの行動に沿って進みますが、ほんとうの主人公はかれの妻ではないかという気がします。

物語の真ん中で、ふしぎな井戸が現れます。けれどもそれを中心に物語が進むのではなく、ガムバールと妻の行動に焦点が当てられています。

これらのことから、この話は、とても小説的な雰囲気を持ちます。
それで、彼岸や彼岸の援助者が登場するけれども、まほうの話ではなく、人間たちの話に分類しました。

「たとえ十メーラくれるといっても不正直な仕事は断るんですよ」「愛する者こそが、常に美しく見える」「あなたたちも、自分の幸福は、待たねばなりません。」など、ところどころに、印象的な文言が出て来ます。

結末句もすばらしいです。


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動物たちの恩返し

どうぶつたちのおんがえし

カビール(アルジェリア)の昔話

カビールは、アルジェリア山間部に住むベルベル人の一部族です。
地理的、歴史的にヨーロッパに近いので、ここで紹介した「動物たちの恩返し」などのように、ヨーロッパによく見られる昔話と同系のものが残っています。
とはいえ、登場する動物やアイテムなど、土俗的で農民的な雰囲気が感じられます。

題名のとおり「動物報恩」の話ですが、後半は「難題婿」の求婚者テストのモティーフで構成されています。
どちらのモティーフも、昔話ではおなじみのものですね。

道中で助けてやる動物の属性と、難題解決の手段が、ぴたりと一致しています。
状況の一致です。それが、物語をすっきりさせているし、奇跡を生んでいます。
聞いている子どもたちは、きっと、つぎは何(羽?はり?・・・)を使うかを楽しんで予想するでしょう。

主人公が「悪さばかりして手のつけられない若者」だというのは、愚か王子やのろまな末っ子と同じで極端な存在であり孤立性をあらわします。
人は、子どものとき、自分をこのように感じることはよくあるし、いっぽう、大人は、育てている子どもを見てこのように感じることもよくあります。
そんなはみだしっ子が、さまざまな経験を経て成長する姿が描かれている話です。


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コックのペレ

スウェーデンの昔話

ATU505「恩に報いる死者」
「死人の恩返し」の話です。この話型の典型的なものが、ノルウェーの「旅の仲間」です。⇒こちら

「恩に報いる死者」の導入部は、紀元前2世紀に、聖書外典の「トビト記」に記録されているから、とっても古い話だと分かります。
そんなに古くから今に伝えられてきた昔話には、深いメッセージがあります。
マックスリュティは、それを、「救済」だと説明しています。⇒こちら
この話型がわたしたちの心を打つのは、それなりの理由があるのです。


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ランプのしんつくり

シベリアの昔話

魔法使いは出てこないのですが、すごいファンタジーです。
シベリアの厳しい自然のなかで、エネルギッシュに生き抜いていく主人公が魅力的です。

解説に、この話を語りついだシベリアの先住民ボゲール族には、人間は三つの部分から成り立っているという信仰があると書かれています。肉体と、たましいと、影のたましいです。

そして、人間と他の生きものは、たがいに行き来できるので、がちょうたちや木のかぎやらも三つの部分からできていて、影の魂を持っているのです。

人類が文明化されない古い時代の死生観や自然観が感じられる話です。


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かますのいいつけ

ロシアの昔話

三人兄弟の末っ子が主人公。この話の末っ子は、愚かなだけでなくて、怠け者です。
ATU675「怠け者の少年」
怠け者で愚かな少年が、魚、かえる、へびなどを逃がしてやって、そのお礼に、願いが何でもかなう力を授けてもらう話。

「かますのいいつけ わたしの望み」という唱え言葉が印象的です。

ヨーロッパの昔話の定番通り、命の危険に遭遇しますが、お姫さまと結婚してめでたしめでたしで終わります。
主人公の性格と周りの(力のある)大人たちの反応が、ユーモラスです。

子どもは、どうにもならないほど怠ける時期がありますが、いつかは「絵にも描けないような美しい」人格を手に入れるものです。
昔話は、子どもを励ますだけでなく、大人に子育ての極意を教えてもくれます。


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