「男の子の成長の話」カテゴリーアーカイブ

天までとどいた木

ドイツの昔話

長い話です。
三人兄弟の末っ子、まぬけなヘルムが主人公。よくあるモティーフです。
このヘルムが旅をするのですが、まず木を登る途中で七人のお婆さんに次々に会います。天に上ると、そこはひとつの世界で、課題をクリアしてお姫さまと結ばれる。けれど、タブー違反を犯して、さらにはるかかなた暗闇の世界に向けて旅に出ます。そこでさらなる課題が待ちかまえています。
男の子が、まるで階段を上るように成長していく、幼さから脱皮していくことが語られています。


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洪水

こうずい

中国の昔話

船を作って動物たちを救ってやるのは、まるでノアの方舟ですね。
後半はこの動物たちが主人公の少年に恩返しをします。そう、これ も動物の恩返しの話です。
「 黒い髪の人間は助けてはいけない 」 というタブーを犯して、少年はろうやにぶち込まれてしまいます。動物たちと対照的な人間の不誠実。考えさせら れますね。

テキストは『語りの森昔話集1おんちょろちょろ』に掲載しています。こちら⇒書籍案内

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猟師の息子

りょうしのむすこ

マルタの昔話

昔話にはよくタブーが出てきますね。七年間口をきいてはいけないとか、13番目の部屋だけはあけてはならないとか。そして、タブーは必ず破られます。昔話では、タブーは破られるためにある。
この話でも、王さまが決して言ってはいけないといった言葉を、お姫さまが口にしたために、花婿が去ります。そこからストーリーが動きだす。
聞き手もそのことが分かっているので、どうやってタブーが破られるのか、タブー違反の後、どうやって幸せな結末にたどり着くのかに興味を集中させます。


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まほうの鏡

まほうのかがみ

ギリシアの昔話

動物報恩+婿選びの話です。動物たちが、うろこ一枚、羽一枚、毛を一本くれる。とても孤立的で、イメージがクリアですね。頭の中に像がくっきりと浮かぶ。だから後半、聞き手の子どもたちはすぐに、動物たちからの贈り物を燃やせばいいと気がつくのです。
また、魚は深い海の底へ、ワシは天の果てへ、狩人を隠してくれます。極端性は昔話の大事な性質です。イメージがクリアであるだけでなく、想像の世 界が空間的にぐうんと広がっていくのを感じます。子どもたちは、どこに隠すのかなという謎解きの面白さだけでなく、このイメージの広がりに驚嘆します。しかも、最後はおひめさまのいすの下に隠れる。極端に近いところです。そして、この極端な近さのおかげで、狩人はおひめさまから隠れおおせたので す。
三回の繰り返しもあり、昔話の語法の面白さをとっても感じさせてくれるお話ですね。後半、くり返しの一回目は、魚が狩人を隠してくれる。2回目は、ワシが隠してくれる。3回目、きつねを呼び出した狩人は、みずから指示して、きつねにほら穴を掘らせていますね。はじめの2回は受け身だけれど、3回目は自分の知恵でかくれます。そして、その3回目に成功しておひめさまを手に入れる。ここに、若者の成長が語られているなと感じます。この話は、グリム童話の 「 あめふらし 」 と同じ話型ですが、この点で、わたしは 「 まほうの鏡 」 のほうが好きです。音声は、4年生のおはなし会。


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4年生のライブが聞けます。




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