「異界へ行く話」カテゴリーアーカイブ

太陽を射る

たいようをいる

台湾の昔話

月がどのようにして生まれたのか、そのなぞを解き明かす物語です。
たいへんな任務は、親の代では終わらず、子によって成し遂げられます。
時間と忍耐と犠牲によって月は生まれました。
みかんの木のエピソードも印象的です。


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ワタリガラスが星と月と太陽を盗んだ話

わたりがらすがほしとつきとたいようをぬすんだはなし

アラスカの昔話

アラスカのトリンギット族に伝わる話です。
ワタリガラスは、神さまでもあり、トリックスターでした。

太陽や月や星がどうしてできたかという謎に答えを示そうとする神話はたくさんあります。まっくらな夜の世界ではっきりと見えるのに、どうしても触れない、手が届かない存在に想像力がかき立てられたのでしょうか。


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ごろごろ川の鍛冶屋

ごろごろがわのかじや

オーストリアの昔話

ATU330「鍛冶屋と悪魔」
鍛冶屋が悪魔を出しぬく話です。
鍛冶屋も悪魔も日本ではあまり身近ではありませんが、ストーリーはとっても面白くて笑えます。ちょっとこわくて、ちょっとはらはらしてしかもめっちゃ笑える。ギャングエイジがよろこぶ話です。

この悪魔は、死神に置き変わることがあります。
悪魔や死神を出しぬく主人公は、トリックスターでもあります。こちら⇒トリックスター

今後、類話をいくつか紹介していこうと思いますが、いま公開しているのは「みじめおばさん」です。こちら⇒みじめおばさん


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のこりの目玉

のこりのめだま

イスラエルの昔話

貧しくてどうしようもなくなった男が助けを求めるのが、神さまではなくて、悪魔というのが意外です。そして、その恐ろしいはずの悪魔が、ひとりの子どもに追い払われます。ここでも、逆転のおもしろさがあります。
子どもの生きるパワーにスカッとする話です。


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山のこびと

やまのこびと

スイスの昔話

早春のアルプスの風景が見えるような冒頭です。
ところが、のどかな美しさの向こうに、恐ろしい所がかくれていたんですね。ふたりの娘が、そこへ行ってテストさせられます。

昔話のパターンにのっとって、先に出かけた娘は失敗。あとででかけた娘は、成功して、姉を助け、大金持ちになります。

こびとに試されるテストは、見てはいけない部屋のテストです。このモティーフはよく使われます。日本の昔話「みるなのくら」⇒こちらもそうですね。

こびとに「とんがり帽子のギアン・ピッチェン」と、名前がついているのは、もとは伝説だったということなのでしょうか。

ATU311「妹による救出」
世界じゅうに類話があるようです。


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おおかみサラマル

チリの昔話

心臓が体の中にないので、だれにも殺されることがないという敵役が、昔話には出て来ます。
では、ほんとうにやっつけられないかというと、自分の心臓がどこにあるのかという秘密を、つい話してしまって、身を滅ぼします。たいていは、妻に、話すのです。
この話の主人公は男性ですが、女性が心臓のありかを聞き出すシーンが見せ場です。

形としては、動物の恩返しの部分が前半、敵をやっつける部分が後半ですが、サラマルをやっつけるには、前半の動物の恩返しの部分が不可欠です。
それで、長い話になりますが、次にどうなるのかと展開に目が離せないので、時間を感じさせません。


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カトリンがくるみをパチリと割った話

かとりんがくるみをぱちりとわったはなし

イギリスの昔話

ATU306「踊ってすり切れた靴」
グリム童話に類話があります(KHM133)が、あの話と同じ話型です。
「踊ってすり切れた靴」では、地下の不思議な世界で踊りまくるのはお姫さまたちですが、「カトリンが~」では王子さまです。
王子さまを妖精の手から救い出すのが主人公の少女カトリンです。「踊ってすり切れた靴」では旅の兵隊がお姫さまたちを救い出します。救い出すのはどちらの話でも、たまたまやって来た旅人ですね。
リュティによると、昔話の主人公は、本質的なものと出会うために旅に出るのですが、この話ではふしぎな世界にとらわれている人を救い出します。そしてそのことで自分自身が幸せになります。


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りこうなエレーナ姫

りこうなえれーなひめ

ロシアの昔話

悪魔は必ずしも主人公に悪さをするばかりではありません。
この話では、悪魔は、助けてくれたお礼に、なんでも兵隊のいうとおりにします。

悪魔に美しい娘が三人いるというのも意外で面白いですね。

ところで、ハトになった娘たちに知恵をさずけるというエレーナ姫は、いったい何者なのでしょう。

ATU306「踊ってすり切れた靴」の類話です。


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靴をはきつぶすお姫さまたち

くつをはきつぶすおひめさまたち

ハンガリーの昔話

ATU306「踊ってすり切れた靴」
ヨーロッパを中心に伝わっている話のようです。グリム童話にもあります。KHM33。
グリム童話では、援助者としてひとりのおばあさんが登場します。おばあさんは、挑戦者の兵隊に、「ぶどう酒を飲んではダメ」「寝たふりをせよ」というふたつの言葉による贈り物とすがたが見えなくなるマントをくれます。
けれども、今回紹介したハンガリーの話では、おばあさんは出て来ません。眠くなるのは、眠り薬のせいではなく、どこからともなく吹いてくる風(超自然の力)です。若者が眠気に打ち勝つのは、末のお姫さまの恋心のおかげです。あとは自分自身の力で幸せを勝ちとります。

地下の世界の銅の森、銀の森、金の森、そして黒いお城。不思議な世界です。


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パシュクンジ

ジョージアの昔話

ATU301「三人のさらわれた姫」

この話には、超自然の敵が出て来ます。魔人のデフ。地上のデフと、地下のデフがいます。末っ子とデフとの戦いが、アニメチックでとても盛り上がります。
パシュクンジは、超自然の援助者です。末っ子を上の世界に連れ帰ってくれますが、とちゅうで肉を食べさせなければなりません。肉がなくなって、末っ子が自分の体の一部をあたえるというモティーフがおもしろいです。

この昔話は、世界じゅうでもっともよく知られた話のひとつだそうです。
長い話ですが、ぜひ子どもたちに聞かせたいです。高学年向き。


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