「笑い話」カテゴリーアーカイブ

愚か村の人たち

おろかむらのひとたち

フランスの昔話

世界じゅうにある愚か村話のひとつです。
愚か村話については《昔話雑学》をみてください。こちら⇒

この話の前半は、ATU1450「賢いエルゼ」という話型で、グリム童話にもあります。

後半は、ATU1384「夫が妻と同じくらいの愚か者を3人探す」という長い名前の話型(笑)。
夫が妻の愚かさに激怒して、家を出て行きます。「おまえみたいに愚かな者が3人いたら、もどって来るが、もし見つからなかったら、帰って来ない」と宣言して。そして、すぐに3人見つけるという話。
まあ、世の中ってそんな物なのかもしれませんね。
この後半は、枠物語になっています。こちら⇒
ここで3つの愚か話が語られます。そして、3つとも、どこにでもあるモティーフです。

ふと思ったのですが、落語がそうであるように、同じ話でも人は飽きずに笑うのですね。聞くたびに思い当たることがあって新鮮なんでしょうね。


下のボタンからテキストをダウンロードできます。

語りが聞けます。

⇒おかしな話一覧へ

りこうなうさぎと勇敢なやぎ

りこうなうさぎとゆうかんなやぎ

ブラジルの昔話

うさぎとやぎのチームプレーがうまいですね。
りこうなうさぎに対して、やぎは、おくびょうな部分もあるし、りこうな部分もあるし、のんきな部分も持っています。うさぎがトリックスターだとすると、やぎは、凡人、ふつうの私たちのような性格ですね。でも、友情のおかげで、「勇敢なやぎ」に成長します。

ブラジルの昔話には、先住民族が伝えた話と、ヨーロッパから侵略してきた白人たちの持ってきた話と、奴隷としてアフリカから連れてこられた黒人たちが持ってきた話があります。
「りこうなうさぎと勇敢なやぎ」は、どれだと思いますか?
ブラジルにはいないライオンが登場していますね。そう、黒人が伝えた話です。


下のボタンからテキストをダウンロードできます。

語りが聞けます。

⇒動物たちの話一覧へ

かますのいいつけ

ロシアの昔話

三人兄弟の末っ子が主人公。この話の末っ子は、愚かなだけでなくて、怠け者です。
ATU675「怠け者の少年」
怠け者で愚かな少年が、魚、かえる、へびなどを逃がしてやって、そのお礼に、願いが何でもかなう力を授けてもらう話。

「かますのいいつけ わたしの望み」という唱え言葉が印象的です。

ヨーロッパの昔話の定番通り、命の危険に遭遇しますが、お姫さまと結婚してめでたしめでたしで終わります。
主人公の性格と周りの(力のある)大人たちの反応が、ユーモラスです。

子どもは、どうにもならないほど怠ける時期がありますが、いつかは「絵にも描けないような美しい」人格を手に入れるものです。
昔話は、子どもを励ますだけでなく、大人に子育ての極意を教えてもくれます。


下のボタンからテキストをダウンロードできます。

語りを聞けます。



⇒まほうの話一覧へ

おおかみと犬

おおかみといぬ

ウクライナの昔話

ATU101「老犬が子ども(羊)の救出者になる」とATU100「オオカミが歌って捕まる」が組み合わさっています。

ATU101では、おおかみが、犬を助けた見返りにお百姓の羊を盗む手助けをしてくれといいますが、犬は断り、おおかみの友情を失って終わります。
けれども、ウクライナのこの話では、犬は、羊の代わりに宴会のごちそうをおおかみに提供して、ATU100につながります。おかげで二匹の友情は続きますが、結局、まぬけなおおかみが自滅します。犬が歌うなと止めるのに、おおかみは歌ってさんざんなぐられるのです。うまく二つの話型をつなげていますね。
この話は、イソップ寓話にもあります。

福音館書店から絵本が出ています。
『セルコ』内田莉莎子文/ワレンチン・ゴルディチューク絵
ラストがちょっと違うんですけどね。

グリム童話のKHM「老犬ズルタン」は、家畜と野獣の違いがはっきりしています。ズルタンの番犬としての立ち位置が、対人間のきびしさを感じさせます。


下のボタンからテキストをダウンロードできます。

語りを聞けます。


⇒ 動物たちの話一覧へ

おしりの金めっき

おしりのきんめっき

スイスの昔話

昔話の主人公には、けなげで誠実な子どももいるし、この話のようないたずらっ子もいます。
それは、この世の中の人間模様そのものです。
また同時に、ひとりの人間の中にあるさまざまな面を投影しているともいえると思います。
昔話を語るとき、一面だけの人間像だけ選ぶのは、もったいないと思います。
笑い話の中に秘められた少年の生きるたくましさに拍手を送りたいです。

それにしても、最初にアドヴァイスをしたおじさんは、いったいだれなんでしょうね。


下のボタンからテキストをダウンロードできます。

語りを聞けます。



⇒ おかしな話一覧へ

サン・ベルリコカンの温泉へ

サン・ベルリコカンのおんせんへ

フランスの昔話

風邪をひくと大変なのは、動物たちも同じです(笑)
みんなで、温泉の水を飲みに出かけます。

ATU130「動物たちの夜の宿」
グリム童話「ブレーメンの音楽隊」と同じ話型です。
「ブレーメンの音楽隊」も楽しい話ですが、年を取って飼い主に殺されるのを逃れて新天地ブレーメンに旅立つのと比べて、こちらは温泉旅行と、ずいぶん気楽ですね。それに、ちゃんと温泉の水を飲んで風邪を治して家に帰ります。

低学年でも聞けると思います。
ブレーメンの音楽隊との違いを指摘してくれるかもしれませんね。


下のボタンからテキストをダウンロードできます。

語りを聞けます。


⇒ 動物たちの話一覧へ

動物が話をしていたころ

どうぶつがはなしをしていたころ

フランスの昔話

「動物が話をしていたころ」というのは、この話の発端句(こちら⇒昔話雑学)で、発端句が題名になっています。おもしろいですね。

ATU175「タール人形と穴ウサギ」という話型です。
いたずら者のウサギをつかまえるために、タールをぬり付けた人形を畑に置いておいて、ウサギが人形をなぐったりけ飛ばしたりするたびに、タールのせいで人形にくっ付きます。身動きできなくなってウサギはつかまります。

アメリカのジョエル・チャンドラー・ハリスの『リーマスじいやの物語』で有名です。調べてみるとヨーロッパも含め世界じゅうに類話がありました。「動物が話をしていたころ」はフランスの昔話です。

アメリカの黒人の間で語り継がれてひろがったので、元はアフリカ起源かといわれています。最近の研究では、インドから広がったのだという説もあります、なんにせよ、おもしろい話は世界をめぐりますね。

かしこいかめは、ここでは、トリックスターの役割をしています。


下のボタンからテキストをダウンロードできます。

語りを聞けます。



⇒ 動物たちの話一覧へ

福の神はくさったさくらんぼの中に

ふくのかみはくさったさくらんぼのなかに

マケドニアの昔話

ATU「宝は自分の家にあり」
夢で「ある場所に行けば好い事がある」と聞いて行ってみるが見つからず、そこで出会った人から「夢など信じるな」といわれてその人の夢の話を聞く。その夢のおかげで、宝は自分の家にあることが分かるという話。

この話型は、ヨーロッパでは、橋と関わって語られることが多いです。夢に見て出かけて行く所が、イギリスのロンドン橋やチェコのカレル橋、ドイツのモーゼル橋などなど。
日本の「みそ買い橋」(こちら⇒)は、イギリスの昔話「スウォファムの行商人」からの翻案です。

「福の神はくさったさくらんぼの中に」には、橋は出て来ません。さて橋のあるのと無いのと、どちらのほうが古い形なのでしょう。


下のボタンからテキストをダウンロードできます。

語りを聞けます。




⇒ おかしな話一覧へ

主人と召使い

しゅじんとめしつかい

アルメニアの昔話

力や立場の弱い者が、知恵を使って強い者に勝つ話です。
このテーマは、昔話にはよくあります。おそらく、このような話を語りついだ人びとは、社会的弱者だったのでしょう。そして、社会的弱者は、世間の人口の大多数だったと思います。だから、支持されて語りつがれたのでしょうね。
主人が腹を立てては言い訳をする姿が痛快です。

昔話はファンタジー(架空の話)ですが、必ずしも魔法が出て来るとは限りません。この「主人と召使い」のようなどこにでもありそうな(でも常識ではあり得ない)話もあるのです。


下のボタンからテキストをダウンロードできます。

語りを聞けます。



⇒ 人間たちの話一覧へ

十人兄弟

じゅうにんきょうだい

中国の昔話

特異な力を持つ兄弟たちが、力を合わせて暴君をやっつけるというストーリーで、たいていは、暴君は最後に水に押し流されるという結末を持ちます。
中国では有名な昔話です。漢族だけでなく、少数民族にも広がりを持っています。
絵本『王さまと九人のきょうだい』(君島久子/岩波書店)は、雲南省イ族のはなし。
兄弟は、11人、6人、7人と、さまざまだそうです。
冒頭で、子どもがいない夫婦に念願の子どもができるという部分は、紹介した「十人兄弟」にはありません。始皇帝の圧制で万里の長城から泣き声が聞こえるところから始まり、始皇帝がすっぽんのえじきになって終わる。ストーリーがすっきりして分かり易いと思います。

子どもに語るときは、万里の長城と始皇帝について軽く説明しましょう。

君島久子著『「王さまと九人の兄弟」の世界』(岩波書店)には、歴史的な説明もあって興味深いです。


下のボタンからテキストをダウンロードできます。

語りを聞けます。




⇒ まほうの話一覧へ