かねふきみょうじん
広島の昔話
中国の「岩じいさん」を思い出させるおはなしです。日本にもあったんだと嬉しくて再話しました。
明神様の夢のお告げで、貧しい男の子が、狛犬から小判をもらいます。
昭和9年発行の資料です。会話文の語尾を少しだけ土地言葉にしました。「とーかっちり」は結末句です。結末句については、≪昔話雑学≫こちら⇒を見てくださいね。
テキストは、『語りの森昔話集5ももたろう』に掲載しています。こちら⇒書籍案内
話型名は「絵姿女房」。日本各地に残っている昔話です。前半はどれもよく似ているのですが、後半が2種類に分かれます。
ひとつは、物売り型。若者が物売りに変装して、妻をさらった殿さまのところへ行き、妻をとり返します。物売りの売り声に妻が笑うので、殿さまは物売りと着物を取り替えます。殿さまは屋敷を追いだされ、若者が殿さまになって、めでたしめでたし。風刺的ですね。柿売り、桃売り、ほうろく売りなどのパターンがあります。
もうひとつが、この難題型です。妻が才色兼備。妻の機知で若者は救われます。ここにのせた新潟の話は、最後、殿さまが「まいった!」という感じであきらめるのが好きで再話しました。
世界的にはATU465「美しい妻のために、迫害された男」という話型です。世界じゅうに分布していますが、妻の絵姿で王さまが横恋慕するというモティーフのないものもたくさんあるようです。
下のボタンからテキストをダウンロードできます。
優しいおばあさんと欲ばりでいじわるなおばあさんの話。隣の爺譚 です。この形式の話は、「はなさかじい」「こぶとりじい」「へこきじい」などなど、子どもたちにはとってもなじみがあります。
音声は一年生のライブですが、「さて、おばあさんの家のとなりに」といっただけで、子どもたちが顔を見合わせたり、笑ったりしているのが分かると思います。「やっぱりね」とうなずきながら、欲ばりばあさんにどんな罰が当たるのか予想して楽しんでいます。前半はちょっとドキドキしながらストーリー展開を楽しみ、後半は余裕をもって予想しながら楽しむ。この型の話のいいところだと思います。
昔話は同じ場面は同じ言葉で語ります。繰り返しのリズムは、語る者にとっても楽しいのですが、子どもたちも嬉しいようです。からだを揺らしたり、いっしょに口に出したりして楽しみます。
欲ばりはダメだよという道徳的なメッセージを、子どもたちは楽しんで受けとります。押し付けではなく。もともと子どもには強い正義感があります。昔話には、それを引き出す力があるんだなあと思います。
おはなしが終わって、ろうそくを消すとき、みなお願い事をひとつします。この日、わたしが、「ひとつだけよ」っていったら、「欲張ったらあかん」と笑っていました。そして、「つぎは欲ばりじいさんの話をして」ってリクエストされました(笑)
下のボタンからテキストをダウンロードできます。
「うばすてやま」とも。『子どもと家庭のための奈良の民話1』に載せたものを共通語で再話しなおしました。
この話型の話は全国に伝わっています。年寄りを山に捨てたという昔の風習がもとになっているそうです。
いくつかのヴァリエーションがあって、ここに載せた「おばすて山」は、枝折り型とよばれます。
『子どもと家庭のための奈良の民話1』には、この話型の「蟻通し明神」も載せています。
「蟻通し明神」は、東吉野村の蟻通神社の由来として語り伝えられている伝説です。お殿様が年寄りを山に捨てろという命令を出します。ところが、隣の国から難題がふっかけられ、答えられなければ攻め入ると脅されます。そのとき正解を出したのが、捨てられずにかくまわれていたおじいさんでした。それからは、年寄りを山に捨てなくなったというお話。難題型と呼ばれます。
他にこんなのがあります。父親が幼いわが子といっしょに、老父をもっこで担いで山に捨てに行きます。老父を置いて帰ろうとすると、子どもが、もっこを持って帰ろうとします。こんど父親を捨てにくるときに要るからと。ドキッとしますね。もっこ型です。まったく同じ話が朝鮮半島にあります。「親すて山」として「外国の昔話」に載せました。
それから、老婆致富型。妻にそそのかされた夫が老母を山に捨て、小屋に火をかけます。老母は逃げ、鬼の子から小槌をもらいます。小槌を振って、老母は女殿様になります。それを知った嫁が夫にあんなふうになりたいといい、小屋で焼け死ぬというお話。これも、ものすごいですね。
柳田国男によると、ここに載せた枝折り型が最も古いそうです。
下のボタンからテキストをダウンロードできます。