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ちぢまれ、ちぢまれ

中国の昔話

笑い話です。
笑い話ですが、欲張ってはだめだよという教訓を伝えようとしています。

欲のない主人公が富を得て、欲張った者が失敗をする話は、日本では、隣の欲ばりじいさんの話が多いです。それと、欲ばりばあさん。「はなさかじいさん」や「したきりすずめ」がゆうめいですね。
でも、なぜか中国や韓国では、兄弟の話になっていることが多いです。

日本の話でも、「金噴き明神」⇒こちらは兄弟の話です。しかも、石人ではありませんが、石の狛犬の口から大判小判が出て来ます。
この中国の「ちぢまれ、ちぢまれ」とよく似ていますよね。大陸から日本に渡った話なんでしょうか???

ところで、このお兄さん、この後どうなるんでしょうねえ。


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ヤネケンとミーケン

オランダの昔話

どこかで聞いたことがあるお話だと思いませんか?
そう、グリム童話です。
グリム童話の69「ヨリンデとヨリンゲル」にそっくりですね。

ATU405。話型名も「ヨリンデとヨリンゲル」です。
グリム童話では、兄妹の話ではなくて恋人同士の話になっていますし、魔法を解く呪物は夢で見た赤い花です。
「ヨリンデとヨリンゲル」を読んだ時には、ロマンチックで、若者向きの話だなあと思ったのですが、この「ヤネケンとミーケン」は、聞き手の年齢は少し下だと思います。短いし、アフリカの大魔術師とか、わくわくする要素が入っていますしね。
ぜひ語ってみてください。


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たまごー七人の妻をもつ巨人

たまごーななにんのつまをもつきょじん

フランスの昔話

ATU302「卵の中に隠された鬼の(悪魔の)心臓」
心臓が体の中にないなんて、とんでもないファンタジーです。類話は世界じゅうにあります。
フランスのこの類話では、心臓が卵の中にあるのではなくて、卵を巨人の胸の上でつぶしたら、巨人が死ぬということになっています。

動物たちが主人公に獲物の分配をたのみ、公平に分配できたら、動物に変身する力をあたえられるというエピソードが興味深いです。


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東風夜雨

とうふうやう

中国の昔話

中国版の貧乏神と福の神の話です。
この神さまたちは、おかみさんから逃げましたが、金神さまは逃げそこなってしまいます。
パワフルなおかみさん、女はこうでなくっちゃ。
ご亭主は影が薄いですが、正直で誠実なのは、おかみさんと同じです。
ラスト、ほっとして思わず微笑んでしまいます。

原話では、福の神は「増福神」、貧乏神は「掠福神」、金神は「財神」となっています。財神は福をあたえる神で、増福神との区別がつきにくいですが、この話が語られた中国の江蘇省灌雲の石仏寺には財神殿という建物があります。
民間信仰の神さまなのでしょう。神さまがお寺に祀られているのも興味深いです。


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三羽の小さなメンドリ

さんわのちいさなめんどり

フランスの昔話

ATU124「家を吹き飛ばす」

イギリスの昔話「三匹の子ブタ」⇒こちらやフランスの「こぶたのリコション」⇒こちらの類話です。
この動物たちの織りなすおはなしは、幼い子どもが喜びます。ストーリーが単純で、ことばがリズミカルだからです。
「だめ、だめ、だめ、あんたはおおかみでしょ。あたしを食べるつもりでしょう」や「タンとふんで、トンとふんで」の繰り返しは音楽的に楽しく語りたいものです。

結末句の「オンドリがないたぞ おしゃべりは おしまいだ」もおもしろいですね。


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三人兄弟

さんにんきょうだい

トルコの昔話

ATU653「技を持った四人兄弟」

修業に出て特技を身につけて帰ってくる兄弟は、4人のこともありますが、このトルコの話のように3人のこともあります。といっても、この3人は、特技ではなくて、ふしぎな宝物を手にいれてくるのですが。

3人(または4人)は、その特技によって、お姫さまを助けます。そして王さまからのほうびとしてお姫さまと結婚することになるのですが、さて兄弟のうちだれがその幸せを手にいれることができるでしょう。
類話によっては、お姫さまの代わりに、お金や国の半分をもらいます。また、お姫さまが夫を決める話もあります。

日本にも類話があります。比較してみてくださいね。
「三人の兄弟」⇒こちら


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妖精ウールヴヒルドル

ようせいウールヴヒルドル

アイスランドの昔話

ATU306「踊ってすり切れた靴」
おなじ話型に、グリム童話KHM133「踊ってすり切れた靴」があります。また、イギリスの「カトリンがくるみをパチリと割った話」⇒こちら、ハンガリーの「靴をはきつぶす王女たち」⇒こちら、ロシアの「りこうなエレーナ姫」も類話です。地下の世界に行って妖精に会う話ですが、さまざまなバージョンがあって面白いです。

この「妖精ウールヴヒルドル」は、地名がはっきり示されていて、ほとんど伝説といっていいと思います。ふしぎな雰囲気を持った話ですね。

クリスマスにどうぞ。


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ふたりの騾馬ひき

ふたりのらばひき

イタリアの昔話

ATU613「ふたりの旅人」

紀元2世紀ごろに成立したとされるインドの説話集『パンチャタントラ』に類話がのっているそうです。古い話ですね。中国の仏教文学やヒンズー教の説話集、中世の『千一夜物語』などなど、本の中にたくさん記録されていますが、口伝えの話も、ヨーロッパからアジア、アフリカまで広く語られているようです。

ここで紹介した話は、神さまを信じる者と悪魔を信じる者とがふたりで旅をします。類話では、正直者と不正直者だったり、欲張りとそうでない者だったりしますが、ふたりの生き方は、極端に対照的です。

目を取られた者が秘密を聞く相手は、悪魔、妖精、動物です。かれらはその秘密を人に聞かれると、腹を立ててその人を殺してしまいます。だから、人間に敵対しているようですが、主人公にとってはそのおかげで救われるのですから、援助者としての役割を担っています。


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カトリンがくるみをパチリと割った話

かとりんがくるみをぱちりとわったはなし

イギリスの昔話

ATU306「踊ってすり切れた靴」
グリム童話に類話があります(KHM133)が、あの話と同じ話型です。
「踊ってすり切れた靴」では、地下の不思議な世界で踊りまくるのはお姫さまたちですが、「カトリンが~」では王子さまです。
王子さまを妖精の手から救い出すのが主人公の少女カトリンです。「踊ってすり切れた靴」では旅の兵隊がお姫さまたちを救い出します。救い出すのはどちらの話でも、たまたまやって来た旅人ですね。
リュティによると、昔話の主人公は、本質的なものと出会うために旅に出るのですが、この話ではふしぎな世界にとらわれている人を救い出します。そしてそのことで自分自身が幸せになります。


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りこうなエレーナ姫

りこうなえれーなひめ

ロシアの昔話

悪魔は必ずしも主人公に悪さをするばかりではありません。
この話では、悪魔は、助けてくれたお礼に、なんでも兵隊のいうとおりにします。

悪魔に美しい娘が三人いるというのも意外で面白いですね。

ところで、ハトになった娘たちに知恵をさずけるというエレーナ姫は、いったい何者なのでしょう。

ATU306「踊ってすり切れた靴」の類話です。


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