「動物の話」カテゴリーアーカイブ

かめとぞうのかけくらべ

アフリカ コンデ族の昔話

二匹の動物が競走をする話は、さまざまなバージョンで世界じゅうにあります。

@うさぎとかめが足の速さを競い合って、うさぎが時間に余裕があると思って寝ているあいだにかめが追い抜く「野ウサギとカメの競走」―ATU275A。イソップ寓話にありますね。もしもしカメよ~🎵っていうあれです。
@ザリガニがキツネのしっぽにつかまって勝つ「キツネとザリガニの競走」―ATU275B。これは、駆けっこのバージョンと跳びっくらのバージョンがあります。おはなしひろばに日本の類話で「たにしとたぬき」を紹介しています。(こちら⇒)『語りの森昔話集2ねむりねっこ』に載せています。
@ハリネズミが、親族に、競走区間のむこうの端で待つように頼む、または数匹の親族を競走区間に沿って配置する。野ウサギは端から端まで走りついには疲れはててしまう「野ウサギとハリネズミの競走」ATUC。
登場する動物は、他にも、かに、かえる、だに、かたつむり、カメレオン、ジャッカルなどがいます。伝承地で身近に見かける動物なんでしょうね。

ここではかめとぞうが競争しますが、前半は、跳躍を競い合い、後半は足の速さを競い合います。妻や親戚に頼んで勝つので、ATU275Cです。

この類話は、グリム童話にもあります。KHM187「うさぎとはりねずみ」。第5版から童話集に入っています。グリム自身の註に、「この昔話の相当な古さは疑うべくもない」とあります。そして、この話には教訓がついていて、「教訓1、人を馬鹿にしてはいけない。教訓2、自分と似たものを結婚相手に選ぶこと」。

ブログ井戸端会議にマックスリュティによる興味深い解説があるので、参考にしてください。(こちら⇒


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語りが聞けます。

三匹のやぎ

ノルウェーの昔話

マーシャ・ブラウンの絵本『三びきのやぎのがらがらどん』でおなじみのノルウェーの昔話です。瀬田貞二の名訳もあって、絵本で楽しめばいいのかもしれませんが、もともとは、語り伝えられてきた昔話です。耳で聞いて楽しみたいと思って、再話しました。

ATU122E「太ったヤギを待つ」という話型です。ATU122というのは、「嘘の言い訳で獲物が逃げることができ、動物は獲物を失う」という話が集められていて、A~Zまでさまざまなバリエーションがあります。動物昔話で、弱肉強食の世界で、弱いものが知恵を使って強い者から逃れる話です。
 
前回紹介したイタリアの「おんどりときつね」も見てください。

この「三匹のやぎ」は、北欧を中心に語られていたようで、世界的にはあまり残っていません。そして、いかにも北欧らしいトロルは、他の国、例えばドイツでは、オオカミになっています。

単純な話ですが、三回のくりかえしのリズム、やぎの大きさのクレッシェンド、最後に恐ろしいトロルをやっつけるという爽快さ、魅力的な話です。


テキストは『語りの森昔話集4おもちホイコラショ』に掲載しています。こちら⇒書籍案内

こぶたのリコション

フランスの昔話

ATU124。「家を吹き飛ばす」という話型名です。わたしたちはこの話型の話としては「三匹のコブタ」がなじみ深いですね。世界じゅうに伝わっていますが、口承としてはアジアには少ないようです。

子どもたちは、「三匹のコブタ」の面白バージョンと感じるようです。低学年までの幼い子向けの話だと思うし、またそのようにも再話しました。けれども、まずは「三匹のコブタ」を聞かせたいと思います。

音声は、2、3年生です。学童保育の子どもたちで、元気いっぱいに聞いています。わたしの語りもどんどんスピードが出ています。聞き手が乗ってくると、語りも早くなります。でも、間違えてはいけませんね(笑)

テキストは『語りの森昔話集4おもちホイコラショ』に掲載しています。こちら⇒書籍案内

おんどりときつね

イタリアの昔話

ATU122「嘘の言い訳で獲物が逃げることができ、動物は獲物を失う」という話型です。この話型は、多くのヴァリエーションがあります。
 
たとえば、きつねががちょうをねらっていると、がちょうたちが、死ぬ前にお祈りをさせてくれといって、つぎからつぎへとお祈りをしていつまでも終わらないという「きつねとがちょうたち」。これはグリム童話です。
 
トロルに出くわしたヤギが、後からもっと大きなやぎが来るといって逃げる「三匹のやぎのがらがらどん」も同じ話型です。
 
「私が太るまで待って」とか、「食べる前に私を洗って」とか、「口を洗ってから食べて」とか、「自分で飛びこむから、口を大きく開けて待っていて」など、弱い動物が生き延びるために、知恵を使って言い訳します。短い話ばかりですが、含蓄がありますね。
 
「カッタンネオー」というのは、どこの地名かは分からないそうです。語り手が自分の知っている地名を入れて語ってもいいそうです。

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かにの親子

イソップ寓話

これは昔話ではありません。イソップ寓話と呼ばれるものです。寓話とは、平たく言えば、たとえ話の事です。人の行いを正したりさとしたりするために作られたものです。昔話は、作者がいるわけではありませんが、この話はイソップが作ったものです。イソップは、紀元前6世紀の人だといわれています。だからとっても古い話です。でも、少しも古臭く感じないのは、人間ってあんまり進歩していないからなのでしょうか?

「かにの親子」は日本の昔話にもあるので、昔話通観でさがしたのですが、見つかったのは数話にすぎませんでした。しかも再話する程のしっかりした伝承ではなかったので、もともとのイソップ寓話を再話して紹介することにしました。同じ話がなぜ日本の昔話にあるのか、という疑問があります。きっと、イソップの話がもとになっていると思います。というのも、イソップ寓話は、江戸時代の始めに、『伊曽保物語』として日本語に翻訳されて広まっているからです。

これからの季節、おまけの話にどうぞ。

テキストは『語りの森昔話集4おもちホイコラショ』に掲載しています。こちら⇒書籍案内

語りを聞けます。

太陽が昇るとにわとりが鳴くわけ

オーストラリアの昔話

ちょっと珍しい話を紹介します。話型も分かりません。
オーストラリアやニューギニアの昔話資料を読んでいると、「人間はどのようにして地上に散らばったのか」とか、「最初の火」とか「大地はどうやって作られたか」など、神話的な話がとてもたくさん残っていることが分かります。現代科学に至る前の、人間の自然への探求心がうかがえておもしろいです。

この「太陽が昇るとにわとりが鳴くわけ」の原題は、「太陽の誕生」です。エミューのたまごの中身がどれほど黄色いのか知りませんが、それが燃えるような明るさをもたらしたというのが、いいなあと思って再話しました。天に「よい神さま」がいたというのも、心があたたかくなります。

子どもたちに、にわとりの鳴きまねをしてはいけないと教えていますが、きっと生活の知恵なのでしょう。どんな理由があるのか知りたいです。
アジアやヨーロッパの話だけでなく、世界にはこんな話も伝えられているんだよと、高学年のおまけの話として語りたいです。

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語りを聞けます。

めんどりちゃん

イギリスの昔話

ジェイコブスの昔話は日本でもたくさん紹介されているし、ストーリーテリングのテキストになっています。この話は「Henny-Penny」という題で、めんどりのペニーという意味だけれど、ペニーというのが最小のお金の単位。それで、めんどりちゃんと訳してみました。
 
累積譚→こちらで、原話はもっとくりかえしが多いのですが、英語では歌うようなリズムがあるのに比べて、日本語にするとくどくなってしまうので、ちょっと省略しています。
 
しちめんちょうとがちょうとあひるが食べられてしまうので、ショックでないようにカラッと語ります。主人公は助かったのでめでたしめでたし。
幼い子ども向けです。

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語りを聞けます。

カンチルととら

インドネシアの昔話

この話は、前回紹介した「カンチルとワニ」の後半です。幼い子に語りたかったので、長い話をふたつに分けました。
小さくて弱い存在は、自然界では淘汰されます。人間社会でも同じようなことが言えるでしょう。だから、カンチルが、決定的な強者ワニやとらを手玉にとるこれらの話は、子どもたちには痛快なのだと思います。ただ、ほんとうのワニやとらの恐さを知らない子どもたちは、とらに同情してしまうかもしれません。

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語りを聞けます。

カンチルとワニ

インドネシアの昔話

カンチルというのは、和名をマメジカといって、東南アジアの熱帯雨林に棲む小さな鹿です。うさぎくらいの大きさのとっても弱い動物で、森の中でいつも大型動物に命をねらわれているそうです。その弱い存在のカンチルが、知恵を使って強い動物をやっつける物語が、インドネシアやマレーシアに伝わっています。「マメジカ説話」といって、ほんとうにたくさん残っているそうです。

ATUでは58番「ワニがジャッカルを運ぶ」に分類されています。ワニを数えるのは、カンチルだけではなく、ジャッカルであったり、うさぎであったり、猿であったりします。が、だまされるのはいつもワニです。この類話は世界じゅうに広がっているわけではなくて、アジア、アフリカに限られているようです。

後半、ワニが丸太のふりをしたり枯れ木のふりをしたりするモティーフも面白いですね。昔話ではよく死んだふりをするのですが、このワニはとってもユーモラスです。

音声🎵は4年生に語っています。

テキストは『語りの森昔話集3しんぺいとうざ』に掲載しています。こちら⇒書籍案内

4年生のライブが聞けます。

六ぴきのうさぎ

モンゴルの昔話

とにかく音声を聞いてください!
こんなに子どもたちが喜ぶとは思いませんでした。それで、わたし、かなり動揺しながら語っています ( 笑 )  
聞き手は1年生。
臆病なうさぎの話はよく知られていて、わたしも幼児期に絵本で読んでもらっていました。でも、あまり面白いとは思わなかったのです。今回、子どもに語って、分かりました!このはなしは、語ってこそ面白い、語ってなんぼの昔話だったんですね ( 笑 )
昔話の語法にのっとって、繰り返しは同じ言葉を使って再話しました。それが楽しいリズムになりました。

テキストは『語りの森昔話集1おんちょろちょろ』に掲載しています。こちら⇒書籍案内

1年生のライブが聞けます。