「女の子の成長の話」カテゴリーアーカイブ

井戸の底の贈り物

いどのそこのおくりもの

フランスの昔話

ATU480「親切な少女と不親切な少女」
グリム童話「ホレばあさん」やスロバキアの「十二の月の贈り物」の類話です。

井戸の底にいる女も娘たちも、彼岸者です。
主人公には贈り物をくれますが、不親切なもうひとりの娘はひどい目にあいます。

原話の解説によると、かつて娘たちは秋の収穫が終わると、娘宿という場に集まって夜なべ仕事をしながら、さまざまな話を語りあったそうです。
その娘宿の風習が、この話の背後に見えるようです。


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マルーラ

ギリシアの昔話

太陽の神、金のりんご。明るい雰囲気なのは、地中海の話だからでしょうか。

母親との約束で、太陽の神ヘーリオスは十二歳になったマルーラを連れ去ります。このモティーフはよくありますが、誘拐するのは魔女や悪者であることが多いようです。けれども、ヘーリオスは恐ろしい存在ではありません。悲しんでいるマルーラを見て、家に帰らせます。

マルーラを家まで送る動物として、ライオン、きつねは失格で、しかが送ることになります。
木の上のマルーラの姿が水にうつっているのを見て、魔女の娘が自分の姿だと勘違いするモティーフ。魔女の娘は三人です。
帰宅のとき、マルーラに気付くのは、犬、ねこ、おんどりです。
3回のくりかえしが重なって、リズムが生まれていますね。

マルーラが結局は母のもとに帰ることを思えば、この話を喜ぶ年齢は、あまり高くないと思います。


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白くま王ワレモン

しろくまおうワレモン

ノルウェーの昔話

ATU425A「動物婿」。
魔法昔話の「夫」の項「いなくなった夫捜し」の話型に分類されています。
この話型は、いろんなエピソードと結びついて、長い物語になります。
ただ、「妻による探索と贈り物」「買った夜」のモティーフは必ず入っています。

妻による探索。
お姫さまは果てしない森を歩き続けますね。まさにノルウェーの風景です。道中立ち寄った小屋で、女の子から金のはさみ、びん、テーブルかけの、三つの贈り物をもらいます。
類話には、途中で太陽や月、風、星などから贈り物をもらう話もあります。贈り物には、金のつむぎ車や宝石、ドレスなどもあります。

買った夜。
夫と魔女の結婚式の前の三晩、お姫さまは、三つの贈り物で、夫の側で夜を過ごす機会を買います。

このふたつのモティーフは、じつは、子どもの頃から知っていました。
とっても不思議で印象に残ったのです。夫が眠り薬で眠らされているそばで娘が泣く光景は忘れられません。


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世界の果ての井戸

せかいのはてのいど

イギリスの昔話

ATU440
グリム童話のKHM1「かえるの王さま」の類話だとすぐに気が付いたと思います。
スコットランドの話です。

主人公は、お姫さまではなく、継子話です。
「かえるの王さま」では、娘にとっての父親像が重く、倫理観が強く感じられますが、「世界の果ての井戸」は「約束を守れ」といい聞かせるのが継母であって、その言葉は軽く、むしろ娘の行動により強くスポットライトが当てられているような気がします。

井戸端会議のマックスリュティ『昔話の解釈』を読むの「偽の花嫁と本当の花嫁、けもの息子とけもの婿7」も見てくださいね。こちら⇒

テキストは、『語りの森昔話集5ももたろう』に掲載しています。こちら⇒書籍案内

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ばらの花とけもの

ばらのはなとけもの

オーストリアの昔話

ATU425C「美女と野獣」。典型的な「美女と野獣」の昔話です。
ATU425というのは、「いなくなった夫捜し」という話型名のグループです。でも、この「美女と野獣」は、夫をさがすというモティーフはありません。

「美女と野獣」については、マックス・リュティ『昔話の解釈』から、井戸端会議に報告しているので読んでください。こちら⇒

夫が野獣や大蛇など、異類であることから、異類婚姻譚と考えられますが、日本の「猿婿」「蛇婿」とは、ずいぶん異なりますね。
日本の場合、夫は、あくまでも猿やへびであって、自然界のほんものの動物です。呪いをかけられた人間ではなく、最後は殺される運命です。日本のけもの婿の話で、ハッピーエンドなのは、「たにし息子」くらいでしょうか。


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ペトロシネッラ

イタリアの昔話

グリム童話の「ラプンツェル」やイタリアの「プレッツェモリーナ」の類話です。ATU310「塔の中の乙女」。その類話でも、『ペンタメローネ」の「ペトロシネッラ」は、記録された中ではいちばん古い形です。

前半のストーリーは、「ラプンツェル」と同じですが、後半は呪的逃走のモティーフですね。三枚のお札と同じです。

「プレッツェモリーナ」のページも併せて読んでください。こちら⇒

出典の『ペンタメローネ』について、ちょっと説明しておきますね。

『ペンタメローネ』

イタリアのジャンバッティスタ・バジーレ(1575~1632)によって集められた説話集(1634~1636年成立)。
枠物語(こちら⇒)で、10人が1日1話語った物語を50話集めてあるので、『五日物語』といわれています。
「長ぐつをはいた猫」「眠れる森の美女」「シンデレラ」なども収められていて、その古い形を知ることができます。
物語の舞台はナポリで、ナポリの風俗や習慣、信仰など、人びとの生活を、ナポリの方言で生き生きと表現されています。
バジーレは、小説家ですが、民俗学の先駆者とも考えられています。


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勇敢な娘

ゆうかんなむすめ

オランダの昔話

題名の通り、とっても勇敢な娘の話です。
寂しいお城でひとりきりで留守番をするお手伝いの娘。そこへ盗賊団が忍び込もうとします。
娘が、とびらの下から潜り込もうとするどろぼうの首を、斧の一撃で切り落とすところは、ぎょっとします。けれども、血も流れないし、むしろ、どろぼうたちのあたふたぶりがユーモラスです。昔話の平面性が現れているところで、切り紙細工のように描かれます(⇒こちら)。

後半は、ロマンチックな展開かなと思いきや、恐ろしい屋敷に連れ込まれます。
頭に銀のふたの乗っている若者は、盗賊の一味というより、彼岸からの存在のように感じます。
この屋敷からの逃走譚は、日本の昔話「油取り」と同じです。でも、油取りの主人公とは異なり、娘は、あくまでも勇敢です。

スリルがあって、怖くて、笑える話です。
高学年にどうぞ。
ATU956B「家にひとりでいた賢い少女が強盗たちを殺す」


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地のはての井戸

ちのはてのいど

スコットランドの昔話

ATU480「親切な少女と不親切な少女」少女が継母からひどい仕打ちを受け、とてもつらい仕事をしなければならない。少女は彼岸者から幸をもらい、継母は実子にも同じことをさせるんだけど、不親切な実子は、不幸をもらう。というお話。

グリム童話KHM13「森の中の三人のこびと」、KHM24「ホレばあさん」(こちら⇒)、アメリカの昔話「ものをいう卵」(こちら⇒)などが類話です。
いろんな話型のエピソードと結びついているので、バリエーションが豊富です。

「地のはての井戸」には、ホレばあさんにあたる彼岸者は出て来ませんが、馬とウニに出会います。ウニが娘に幸せを与えてくれます。他の類話では、ウニではなくてしゃれこうべだったりします。

低学年から聞けると思います。


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プレッツェモリーナ

イタリアの昔話

イタリア語でプレッツェモロというのは、パセリのこと。だから、プレッツェモリーナは、パセリちゃん。

3年生くらいからがきっと楽しめるだろうと思います。

グリム童話の「ラプンツェル」の類話です。「ラプンツェル」は創作の物語がもとになっていますが、「プレッツェモリーナ」は口承で、イタリアのカルヴィーノが集めた昔話集の中のひとつです。
同じ類話でもずいぶん雰囲気が違います。じつは、グリム「ラプンツェル」以外は、どの類話も、概して明るくちょっと滑稽(こっけい)です。このことについては、マックス・リュティの説明があり、《井戸端会議》でとりあげているので、見てください(こちら⇒

ATU310、話型名「塔の中の乙女」
ヨーロッパを中心にアジア・アフリカに分布しています。
もっとも古い記録は、イタリアのバジーレの集めた昔話集『ペンタメローネ』(1634-36)です。大修館書店から翻訳が出ているので、ぜひ読んでみてください。「ペトロシネッラ」という題名です。
ペトロシネッラは、プレッツェモリーナの古語だそうです。そう、パセリちゃんね。イタリア語の分かる人は、こちらの動画もどうぞ。 (こちら⇒

もともとこの話型は、後半が呪的逃走です。
主人公と王子が、後ろに三つのどんぐりを投げて魔女から逃げます。


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ババ・ヤガー

ロシアの昔話

はい、私たちのサークル名です ( 笑 ) ババ・ヤガーはふしぎな魔力を持っていて、その力で人を助けることもあるし、人を害することもあります。二面性を持っています。日本のやまんばも 同じですね。この話では、ひたすら恐ろしい魔女です。
小屋の中で機織りをしていますね。糸紡ぎをしていることもあります。機織りも糸紡ぎも、本来女神の仕事です。こういうところに、キリスト教以前の神のなごりが見えるのかなあと思ったりします。
それから、日本のやまんば(こちら⇒)は、追いかけるのが好き。「 三枚のお札 」 も 「 馬方やまんば 」 も、めちゃ走りますね。ここのババ・ヤガーも走ります。

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