「なるほど話」カテゴリーアーカイブ

ふたりの騾馬ひき

ふたりのらばひき

イタリアの昔話

ATU613「ふたりの旅人」

紀元2世紀ごろに成立したとされるインドの説話集『パンチャタントラ』に類話がのっているそうです。古い話ですね。中国の仏教文学やヒンズー教の説話集、中世の『千一夜物語』などなど、本の中にたくさん記録されていますが、口伝えの話も、ヨーロッパからアジア、アフリカまで広く語られているようです。

ここで紹介した話は、神さまを信じる者と悪魔を信じる者とがふたりで旅をします。類話では、正直者と不正直者だったり、欲張りとそうでない者だったりしますが、ふたりの生き方は、極端に対照的です。

目を取られた者が秘密を聞く相手は、悪魔、妖精、動物です。かれらはその秘密を人に聞かれると、腹を立ててその人を殺してしまいます。だから、人間に敵対しているようですが、主人公にとってはそのおかげで救われるのですから、援助者としての役割を担っています。


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神の顔

かみのかお

イスラエルの昔話

ATU922「羊飼いが聖職者の代わりに王の質問に答える」
社会的地位の高い人物が一定期間に答えなければ死刑にするといって、3つの難問を出すというお話。
おそらくユダヤ起源で、9世紀に資料があるそうです。なんと古い話ですねえ。

ほんとうに知恵があるのは百姓で、そのことを大臣の娘は知っていたこと、床にチョークで人型を描くこと、が、気に入って語りたいと思いました。

《外国の昔話》におなじ話型の「ラ・レアールの修道院長」⇒こちらを紹介していますので、参考にしてください。


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木こりの宝

きこりのたから

パンジャブ地方の昔話

ATU910F 話型名「仲たがいしている息子たちと小枝の束」

イソップ寓話にも「三本の棒」として伝えられています。父親が三人の息子に棒を一本ずつ渡して折らせると簡単に折れます。でも、三本重ねると折れません。
三人がいっしょになると、ひとりひとりでいるよりずっと強くなるという教訓です。力を合わせよということですね。

日本では、毛利元就の「三本の矢」が有名です。


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人に悪いことをしなければ、自分にもされない

ひとにわるいことをしなければ、じぶんもされない

イスラエルの昔話

ふつう、同じことわざを日に二回も聞いたからといって、それを確かめるために命を懸けるでしょうか。
設定はとんでもないのですが、「人に悪いことをしなければ、自分もされることはない」と信じることができれば、生きやすくなるような気がします。
この主人公は、勇気ある人だといえるでしょう。

ちょっと変わった話なので、紹介しました。


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手に職がなければ

てにしょくがなければ

コーカサスの昔話

ATU949「若い紳士がかご細工を習う」

娘が、身分や富貴を求めることなく、堅実な考えを貫こうとする賢さに拍手したくなりました。そして、そんな彼女を愛する皇帝が、彼女のことばにすなおに従って、おかげで命が助かるという成り行きに、いい話やなあとうれしくなって、思わずここに紹介してしまいました。

多くの民族で、女性の社会的地位は伝統的に低かったと思います。そのなかで、女性が知恵を使って、また品性の良さで、男性をしのぐ話がけっこう伝わっています。現代女性として、そんな話も語り継ぎたいと思います。


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知恵を売った少年

ちえをうったしょうねん

インドの昔話

ATU910C「事を始める前に慎重に考えよ」
買った教えや授けられた教訓にまつわる話は、世界じゅうにあるようです。

「知恵を売った少年」では、商人の息子に2つ、おうさまにひとつ知恵を売ります。
商人の息子にうったひとつ目と、王さまに売った知恵は、状況の一致がおもしろいです。

高学年から大人のおはなし会で、長いおはなしのあとにどうぞ。


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ゆでたまご

イランの昔話

ATU821B「ゆで卵から生まれたはずの鶏たち」
類話は、中近東をはじめヨーロッパにも広がっています。

まるで、一休さんや彦一のとんち話にそっくりです。
このようなとんちをテーマにした話は世界じゅうにたくさんあります。

短い話ですが、面白さが分かって「 あ、なるほど」と感心するのは、高学年以上でしょう。


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ライオンとねずみ

マケドニアの昔話

相手を見くびってはいけない。謙虚でいたいものです。

ATU75「弱者の助け」という話型で、世界中に広がっているようです。イソップ寓話にもあって、そちらのほうが有名ですね。

動物の話は幼い子にもよく理解できます。


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娘とミルク

むすめとみるく

イソップ物語

イソップは古代ギリシャの人です。だから、とても古い話なのですが、今でも新鮮な響きがあります。
日本のことわざでは、「捕らぬ狸の皮算用」というところでしょうか。
ストーリーは小さい子どもでも分かりますが、娘の行為の愚かさかげんが分かるのは、四年生以上だと思います。おまけの話にどうぞ。

イソップについては、昔話雑学をご覧ください。こちら⇒


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かぜをひいたうさぎ

ミャンマーの昔話

ミャンマーは多民族国家です。
古くから、さまざまな民族が移動してきて、そのたびに戦いがありました。
かつて第2次大戦のおりには、日本軍も占領していました。『ビルマの竪琴』は有名ですね。
現在は、クーデターにより、軍事政権になっています。
為政者がころころ変わる中で、個人はどのように生き延びればいいのでしょう。
「かぜをひいたうさぎ」では、くまのように正直でも、さるのようにごまをすっても、生きられません。
うそをついて逃げるうさぎの生き方もアリだということでしょう。


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