イリヤ・ムーロメツの三つの旅

イリヤ・ムーロメツのみっつのたび

ロシアの昔話

分かれ道に道しるべがあって、選んだ道で運命が決まるというモティーフがあります。日本の「やまなしもぎ」も、三本の分かれ道に笹が立っていて「行けっちゃがさがさ」「行くなっちゃがさがさ」と鳴っているという場面がありますね。
昔話は、「言葉の出来事による繰り返し」という語法があって、言われたことは出来事で繰り返されます。だから、「右へ行けば殺される」と書いてあれば、その道を選ぶと必ず殺されるのです。
ところが、この話の主人公イリヤは、運命に挑戦するかのように道を進んで行きます。しかも、もどって来て、道しるべを書きかえてしまう。
読んでいて、語法を逆手にとる(笑)痛快さと、自分の道は自分で切り開く勇敢さに、気持ちが晴ればれしました。

これはロシアの話ですが、舞台となっているのは現ロシアではなく、ソビエトよりさらに前の古いロシアです。
その頃のロシアの都はキエフでした。キエフは今はウクライナの首都です。
ロシアもウクライナもひとつの文化圏として、勇士イリヤの話に心躍らせていたんですね。国境って、いったい何でしょう。


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