「笑い話」カテゴリーアーカイブ

ねこのしっぽ

ポルトガルの昔話

この話の主人公は猫。この猫は、心優しいように見えて、自己中心的ですね。子どもの特性を備えています。だから、人に物をやっては惜しくなってとり返しに行ったり、もっといいものを盗んだりする猫に、子どもは、心の奥でこっそり共感します。道徳的にはよくないと分かっているから、こっそりとです。

でも、猫の表情は明るく、話全体が日の光を浴びているように思えます。結末では、猫自身が努力をして才能を磨き幸せになります。

このような、子ども自身の欠点をそのまま認めてくれる話を、信頼する大人から聞くことは、とても大切だと思います。幼児から低学年向きに再話しましたが、大きい子のサブの話としても使えると思います。

話型は、いま調べ中。該当するのは3話型。

ATU1415「運のいいハンス」・・グリムの「幸せハンス」

ATU1655「有利な交換」・・日本の「わらしべ長者」

ATU2034C「貸すことと返してもらうこと:損をしていく(よくなる)交換・・連鎖譚です。

どちらにしても、どこかで聞いたことがあるような話ですね。

テキストは『語りの森昔話集4おもちホイコラショ』に掲載しています。こちら⇒書籍案内

語りを聞けます

導師、川をわたる

どうし、かわをわたる

インドの昔話

導師というのは、仏教やヒンドゥー教で、人びとを教え導く人のこと。
 
この話は、南インドでは、導師パラマルタと彼の弟子たちについての陽気な連作のひとつだということです。この本を編集したラーマーヌジャンさんが、子どもの頃聞いた話だそうですが、7世紀にはすでに語られていたという文献があるとのことです。
 
ATU1287。話型名は「愚か者たちが自分たちの人数を数えることができない」です。自分を数に入れずに人数を数える笑い話ですね。このサイトで紹介している「ろばの数」もそうです。こちらはカビールの昔話です。
 この話型は、ヨーロッパ、アジアに広がっていますが、今回再話した導師パラマルタの話は、さかのぼれる限りで一番古いものだということです。

高学年以上のおまけの話におすすめです。
 
日本の愚か村話については、《昔話雑学》をみてください。

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語りを聞けます

ゴタム村のかしこい人たち チーズ

ゴタムむらのかしこいひとたち チーズ

イギリスの昔話

愚か村話です。昔話雑学では、日本の愚か村話について書きました。こちら→ が、じつは、愚か村の人たちの話は、日本だけでなく世界じゅうにあるのです。ヨーロッパでの有名な例として、イギリスのゴタム村の話をご紹介しました。
ここに出てくるチーズは、私たちがスーパーで見かけるようなものとは違います。一かかえもあるような大きくて丸いチーズです。
愚か村は、実在の村や町です。そこの人たちが本当に笑い話のネタになるようなことばかりをしているはずはないのですが、どうしてこんな話が語られているのでしょうか。

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語りを聞けます

フライラのひょうたん

ナイジェリアの昔話

つぎからつぎへと食べていく連鎖譚です。原題は「大食いひょうたん」。
 
『おはなしのろうそく』には、次つぎと食べていく大食らいのねこのはなし「ついでにぺろり」が載っています。あのねこは、恐くないのですが、このひょうたんは、なんだか恐いですね。
 
軽く、ほら話、笑い話として語りたいです。幼児から低学年向きに再話しましたが、中学年のおまけの話にも使えると思います。
 
「ねずみの頭を捨てちゃいな」は、結末句です。これも恐いような、楽しいような(笑)

テキストは『語りの森昔話集4おもちホイコラショ』に掲載しています。こちら⇒書籍案内

語りを聞けます

こぶたのリコション

フランスの昔話

ATU124。「家を吹き飛ばす」という話型名です。わたしたちはこの話型の話としては「三匹のコブタ」がなじみ深いですね。世界じゅうに伝わっていますが、口承としてはアジアには少ないようです。

子どもたちは、「三匹のコブタ」の面白バージョンと感じるようです。低学年までの幼い子向けの話だと思うし、またそのようにも再話しました。けれども、まずは「三匹のコブタ」を聞かせたいと思います。

音声は、2、3年生です。学童保育の子どもたちで、元気いっぱいに聞いています。わたしの語りもどんどんスピードが出ています。聞き手が乗ってくると、語りも早くなります。でも、間違えてはいけませんね(笑)

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語りを聞けます

おんどりときつね

イタリアの昔話

ATU122「嘘の言い訳で獲物が逃げることができ、動物は獲物を失う」という話型です。この話型は、多くのヴァリエーションがあります。
 
たとえば、きつねががちょうをねらっていると、がちょうたちが、死ぬ前にお祈りをさせてくれといって、つぎからつぎへとお祈りをしていつまでも終わらないという「きつねとがちょうたち」。これはグリム童話です。
 
トロルに出くわしたヤギが、後からもっと大きなやぎが来るといって逃げる「三匹のやぎのがらがらどん」も同じ話型です。
 
「私が太るまで待って」とか、「食べる前に私を洗って」とか、「口を洗ってから食べて」とか、「自分で飛びこむから、口を大きく開けて待っていて」など、弱い動物が生き延びるために、知恵を使って言い訳します。短い話ばかりですが、含蓄がありますね。
 
「カッタンネオー」というのは、どこの地名かは分からないそうです。語り手が自分の知っている地名を入れて語ってもいいそうです。

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ラ・レアールの修道院長

ラ・レアールのしゅうどういんちょう

スペインの昔話

この話は、ATU922に分類され、話型名は「羊飼いが聖職者の代わりに王の質問に答える」。ヨーロッパを中心に世界じゅうで語られているということです。

ところで、マヨルカ島は、地中海に浮かぶ大きな美しい島です。スペインに属します。
 
この話の、のんびりした、陽光を感じさせる明るさが好きでみなさんに紹介したいと思いました。
 
おそろしいほど太っている修道院長と、サトウキビよりもほっそりした王さまという極端な対比がおもしろいです。王さまは、修道院長に解けない謎を出しますが、その理由が、修道院長に頭痛を経験させてやろうというもの。これものんきな話です。主人公の料理人も、修道院長の四分の一の細さです。みごとに難問に答えますが、王さまは笑って約束のほうびをあたえます。
 
登場人物に悪者はいないし、料理人に対して、王さまも修道院長も高圧的でなく、対等の人間として扱っています。また、昔話によくある、問いに答えられなければ死刑にするとかいうような、命にかかわる事件でもありません。
 
さて、この話型の中で出される難問には、ほかに、こんなものがあります。

「この木には何枚の葉があるか?」こたえ「~~~枚あります。信じないのなら自分で数えてください」

「空に星はいくつあるか」こたえ「砂浜の砂の数と同じです。あなたが砂の数を数えられれば、星の数も分かります」
 
古今東西、老若男女、なぞなぞが好きなようですね。難問については、《昔話雑学》にほんの少し説明をしているので、参考にしてください。


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語りが聞けます

三つの五月のもも

みっつのごがつのもも

フランスの昔話

ATU610「病気を治す果物」とATU570「穴ウサギ番」と、ふたつの話型がくっついたものです。
「病気を治す果物」の後半の難題婿の部分が、「穴ウサギ番」に置き換わっています。どちらの話型もヨーロッパに多く、アメリカ大陸やアフリカにもわずかに分布しています。
昔話のパーツが、くっついたり離れたりしながら、語られてきたんだなと興味深いです。

原話は『フランスの昔話』A・ミリアン/P・ドラリュ著/新倉朗子訳/大修館書店刊、です。
 
訳者の新倉先生は、この話について、「フランスのゴーロワーズリーといわれる陽気な笑いのお話」だと教えてくださいました。たしかに、子どもたちは大笑いして聞いてくれます。《ステップアップ》でも取り上げていますので、読んでみてくださいね。こちら→
音声は4年生です。

テキストは『語りの森昔話集2ねむりねっこ』に掲載しています。こちら⇒書籍案内

語りが聞けます

ちょっとでかけるよ

デンマークの昔話

ATU591「泥棒鍋」の類話です。「壺」は「鍋」であることが多いようです。北欧中心に伝わっていて、あまり世界的な広がりはありません。
 
主人公は、少年の場合もありますが、貧しいです。貧しい主人公が、魔法の鍋によって金持ちになるストーリーは、庶民の願望でもあるのでしょうね。

原話の出典の解説に、「無邪気でユーモラスなたいへん子どもによろこばれる話」とあります。ただ、「牧師」という存在が現代日本の子どもたちになじみがないのが難点です。大人は、牧師がお金を貯めることの罪、その罰として地獄へ連れ去られる、それがおもしろいのですが、子どもには多分分からないでしょう。では、どう語ればいいのでしょうか。

まず主人公が、牛を、羊、がちょうと、つぎつぎと価値のないものと取りかえてしまいます。最後に一番値打ちのないように見える壺を手に入れます。「あ~あ、ばかだなあ」と思わせるように語らないといけませんね。
 
そのあと、主人公は、どん底からはい上がっていきます。初めはおかゆ。それがバターになりお金になります。聞き手は嬉しいですね。そして期待します。すると、牧師さんもお金を数えています。聞き手が先取りして喜ぶように語ります。壺がまた出かけていくので、こんどは何を手に入れるかと聞き手は期待します。小麦粉はお金と比べれば大きな値打ちはないのですが、壺が桝に化けます。ここまで同じくりかえしに慣れていた聞き手にとって、これは驚きです。想像の可能性がぐっと広がります。それがオチへとつながるのです。
 
くりかえしを軽快にリズムよく語ることで、幼い子どもも楽しめるのではないかと思います。ストーリー自体が印象に残るので、大きくなって人生経験を積んでから思い出して、牧師と地獄のユーモアに気付いてくれるのではないでしょうか。

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語りを聞けます。

めんどりちゃん

イギリスの昔話

ジェイコブスの昔話は日本でもたくさん紹介されているし、ストーリーテリングのテキストになっています。この話は「Henny-Penny」という題で、めんどりのペニーという意味だけれど、ペニーというのが最小のお金の単位。それで、めんどりちゃんと訳してみました。
 
累積譚→こちらで、原話はもっとくりかえしが多いのですが、英語では歌うようなリズムがあるのに比べて、日本語にするとくどくなってしまうので、ちょっと省略しています。
 
しちめんちょうとがちょうとあひるが食べられてしまうので、ショックでないようにカラッと語ります。主人公は助かったのでめでたしめでたし。
幼い子ども向けです。

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