「笑い話」カテゴリーアーカイブ

ちょっとでかけるよ

デンマークの昔話

ATU591「泥棒鍋」の類話です。「壺」は「鍋」であることが多いようです。北欧中心に伝わっていて、あまり世界的な広がりはありません。
 
主人公は、少年の場合もありますが、貧しいです。貧しい主人公が、魔法の鍋によって金持ちになるストーリーは、庶民の願望でもあるのでしょうね。

原話の出典の解説に、「無邪気でユーモラスなたいへん子どもによろこばれる話」とあります。ただ、「牧師」という存在が現代日本の子どもたちになじみがないのが難点です。大人は、牧師がお金を貯めることの罪、その罰として地獄へ連れ去られる、それがおもしろいのですが、子どもには多分分からないでしょう。では、どう語ればいいのでしょうか。

まず主人公が、牛を、羊、がちょうと、つぎつぎと価値のないものと取りかえてしまいます。最後に一番値打ちのないように見える壺を手に入れます。「あ~あ、ばかだなあ」と思わせるように語らないといけませんね。
 
そのあと、主人公は、どん底からはい上がっていきます。初めはおかゆ。それがバターになりお金になります。聞き手は嬉しいですね。そして期待します。すると、牧師さんもお金を数えています。聞き手が先取りして喜ぶように語ります。壺がまた出かけていくので、こんどは何を手に入れるかと聞き手は期待します。小麦粉はお金と比べれば大きな値打ちはないのですが、壺が桝に化けます。ここまで同じくりかえしに慣れていた聞き手にとって、これは驚きです。想像の可能性がぐっと広がります。それがオチへとつながるのです。
 
くりかえしを軽快にリズムよく語ることで、幼い子どもも楽しめるのではないかと思います。ストーリー自体が印象に残るので、大きくなって人生経験を積んでから思い出して、牧師と地獄のユーモアに気付いてくれるのではないでしょうか。

下のボタンからテキストをダウンロードできます。

語りを聞けます。

めんどりちゃん

イギリスの昔話

ジェイコブスの昔話は日本でもたくさん紹介されているし、ストーリーテリングのテキストになっています。この話は「Henny-Penny」という題で、めんどりのペニーという意味だけれど、ペニーというのが最小のお金の単位。それで、めんどりちゃんと訳してみました。
 
累積譚→こちらで、原話はもっとくりかえしが多いのですが、英語では歌うようなリズムがあるのに比べて、日本語にするとくどくなってしまうので、ちょっと省略しています。
 
しちめんちょうとがちょうとあひるが食べられてしまうので、ショックでないようにカラッと語ります。主人公は助かったのでめでたしめでたし。
幼い子ども向けです。

テキストは『語りの森昔話集4おもちホイコラショ』に掲載しています。こちら⇒書籍案内

語りを聞けます。

とらとほしがき

朝鮮半島の昔話

朝鮮半島では有名な話です。日本ではパク・ジェヒョンの絵本(光村教育図書)がよく読まれています。

『国際昔話話型カタログ』によると、ATU177「泥棒とトラ」という話型です。インドの説話集『パンチャ・タントラ』(西暦二百年ごろ成立)に記録があるので、古い話ですね。でも、ヨーロッパにはなく、アジア特有の話のようです。

とらが、その言葉を知らないために恐がるのは、ここでは「ほしがき」ですが、ほかに、「飴」「たそがれ」などがあるそうです。日本では「雨もり」です。

日本の昔話「古屋のもり」は全国に伝わっているし、みなさんもご存知だと思います。古くは江戸時代の『奇談一生』(1768年刊)に「猿面赤無尾(猿のつら赤く尾なし)」として、類話が出ています。漢文なので、現代語にして語れるように再話しました。《日本の昔話》にあります。

音声は3年生のライブです。

テキストは『語りの森昔話集2ねむりねっこ』に掲載しています。こちら⇒書籍案内

3年生のライブが聞けます。

ろばの数

ろばのかず

カビールの昔話

アフリカ、カビールの笑い話です。

エチオピアの「アディ・ニハァスの英雄」(『山の上の火』岩波書店刊、所集)は、村人みんなが数の数えちがいに気づきません。

自分の近くのものは見えないものです。このような人間のまぬけさかげんを描く「愚か話」はどこにでもあります。日本にも、愚か村の話や愚か聟、愚か嫁のたぐいの話は、数限りなく残っています。
これは、他人を笑うというより、自分にも同じようなことがある、それを笑うための話ではないかと感じますが、どうでしょう。

テキストは『語りの森昔話集1おんちょろちょろ』に掲載しています。こちら⇒書籍案内

語りを聞けます。

かきねの戸

かきねのと

ドイツの昔話

わたしの再話のなかでも大ヒット作!絶対に外さない(笑)。 音声は3年生のライブです。

兄妹がかきねの戸を外して出かけるところで、聞き手の子どもたちはこの話が笑い話だとわかります。4歳児でもわかる。ところが、森で迷子になるあたりから緊張しはじめます。恐いのです。それが私には意外でした。あくまでもちょっとした笑い話として語っているからです。木の下に泥棒がやってくるあたりから緊張は高まって、息をつめて聞きます。だからこそ、「 おしっこ 」 「 うんこ 」 で緊張が緩和して、ドカッと笑うんですね。桂枝雀さんの落語の理論とおなじです。

それから、兄妹がどろぼうたちの置いていったお金をみんな持って帰るところ、「 悪~っ 」 て言った子どもたちがいたのです。これも意外でした。な んて正義感が強いんだろうと思いました。そう、たとえどろぼうがおいていったものでも持って帰ったらどろぼうになるのです。ところが、それを知ったお母さんが大喜びしたっていうところで、子どもたち、笑ったんです。このユーモア感覚、すごいと思いません?

そのお金で一生楽に暮らしましたっていうと、「 ああよかった~ 」 と大満足します。昔話の主人公の幸せ = 富の獲得と身の安全で、めでたしめでたし。ほんのおまけの話として再話したのに、子どもたちのおかげで実のあるしっかりした、上質な笑いを引き出す話になりました。

テキストは『語りの森昔話集1おんちょろちょろ』に掲載しています。こちら⇒書籍案内

3年生のライブが聞けます。

半分のにわとり

はんぶんのにわとり

ロートリンゲン(フランス)の昔話

音声は小学2年生。

ロートリンゲンは、フランスのドイツ国境近くの地域です。フランス語ではロレーヌ地方。

にわとりが半分になっても生きているのが不思議なのですが、昔話には半分の人間の話もあるし、子どもたちは、え~っ!と驚きながらも、おもしろそうにストーリーについてきます。

にわとりのからだは、きちんと二つに分かれて血も流れない、横から見たら図形的には丸ごと一羽と変わりはない。《昔話の語法》のページ「図形的に語る」の項を見てください。平面性があらわれているところです。

にわとりが出かけるのは、貸したお金を返してもらうためです。「外的刺激」によって旅立つのです。とちゅうで、鳥、オオカミ、池と道づれになり、からだの中にいれて、自分の力にします。

鳥、オオカミ、池の特性にぴったり合った難題がふっかけられ、みごとクリアします。状況の一致ですね。

用がなくなったら、鳥もオオカミも池も元に戻ります。援助者は必要なときに必要な場面でのみあらわれるのです。友達になっておつき合いを続けることはないのです。

主人公は本質的なものと出会うために旅に出なければならない、のです。

テキストは『語りの森昔話集1おんちょろちょろ』に掲載しています。こちら⇒書籍案内

2年生のライブが聞けます。

三びきのくま

イギリスの昔話

音声は1年生のライブ。
よく知られているのは、女の子が主人公のロシアの昔話ですね。イギリスのこの話はおばあさんがくまの家にやってきます。だから子どもたちは主人公と一体になることはなくちょっと離れて見ています。むしろくまたち、とくに一番小さいくまに心を寄せているようです。それで、勝手に他人の家に入り込んで食べたり寝たりするおばあさんを、ちゃんと批判することができます。
二階の窓からとび出したおばあさんがどうなったか、想像して楽しそうに話してくれますよ。

三回の繰り返しのリズムが心地いいので、四歳の一学期から聞けます。

テキストは『語りの森昔話集4おもちホイコラショ』に掲載しています。こちら⇒書籍案内

1年生のライブが聞けます。

うそつきくらべ

タイの昔話

美しいおひめさまをめぐって、若者と大臣たちが争います。
謎解きに引き込まれているうちに、お、かしこいなあ!
もちろんハッピー エンド、若者の勝ち。結婚式で、めでたし、めでたし。
なんと知恵のある若者なんでしょう!
4年生以上で語ろうかなあと再話しました。聞きなれた子どもたちなら3年生くらいでも楽しめるかもしれません。

テキストは『語りの森昔話集1おんちょろちょろ』に掲載しています。こちら⇒書籍案内

語りを聞けます。

六ぴきのうさぎ

モンゴルの昔話

とにかく音声を聞いてください!
こんなに子どもたちが喜ぶとは思いませんでした。それで、わたし、かなり動揺しながら語っています ( 笑 )  
聞き手は1年生。
臆病なうさぎの話はよく知られていて、わたしも幼児期に絵本で読んでもらっていました。でも、あまり面白いとは思わなかったのです。今回、子どもに語って、分かりました!このはなしは、語ってこそ面白い、語ってなんぼの昔話だったんですね ( 笑 )
昔話の語法にのっとって、繰り返しは同じ言葉を使って再話しました。それが楽しいリズムになりました。

テキストは『語りの森昔話集1おんちょろちょろ』に掲載しています。こちら⇒書籍案内

1年生のライブが聞けます。

犬を書いて飲む

いぬをかいてのむ

朝鮮半島の昔話

「 だんだんのみ 」 とか 「 かえるをのんだととさん 」 で知られている話の類話です。「 だんだんのみ 」 は鬼が豆をまかれて退散しますね。節分の話のよう に思い込んでいました。だから、「 犬を書いて飲む 」 の原話を見つけたときは、おお、びっくり!

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語りを聞けます。