ひとくちぶんにはひとくちぶん
アラビアの昔話
アラビア半島は、『アラビアンナイト』でおなじみですね。壮大なファンタジーの伝わる地域です。
アラビアンナイトだけでなく、さまざまな昔話が語られて文献に残って来たそうです。これは、その中の一冊からの再話です。
物乞いが恩返しをするんだけれど、この物乞いはただの人間ではありません。
ふしぎななかにも心があたたかくなる話です。
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ひとくちぶんにはひとくちぶん
アラビア半島は、『アラビアンナイト』でおなじみですね。壮大なファンタジーの伝わる地域です。
アラビアンナイトだけでなく、さまざまな昔話が語られて文献に残って来たそうです。これは、その中の一冊からの再話です。
物乞いが恩返しをするんだけれど、この物乞いはただの人間ではありません。
ふしぎななかにも心があたたかくなる話です。
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きんのさかずき
ジョージア(グルジア)共和国で採録された話。
ATU467「すばらしい花(宝石)の探索」。
この話型の類話はあまり多くはないようです。
長い話ですね。
でも、呪物や彼岸者が次々に出て来て、魔法が満載で、飽きさせません。
そして、ストーリーを貫いているのは、ふたりの盗賊との友情です。
期限までに帰らなければ人質が処刑されるというのは、太宰治『走れメロス』を思い出させます。じつは、太宰は、古代ギリシャの伝承とシラーの詩をもとにメロスを書きました。つまり、この友情ストーリーは、さかのぼれば紀元前4世紀ごろからあって、その流れは今に続いているということです。
友情や誠実さというものは、常に人の心を打つもののようです。
ぜひ、高学年の子どもたちに語ってください。
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あるじがそうならどうぐもそう
「主がそうなら道具もそう」というのは、パキスタンのことわざのようです。
人の行為は、時代や国の政治情勢や環境に強い影響を受けるということです。
日本にも同じ意味のことわざはあるでしょうか?寡聞にして知りません。
王の夢判断という課題が3回くりかえされます。
お百姓は蛇の助言によってほうびをもらいますが、へびに対する思いが3回とも異なっていて、ハラハラさせられます。
「あんたのしたことは、あんたのせいじゃない」というへびの言葉に、ホッとすると同時に、社会に対してよく目を見開いておかねばという教訓を感じました。
高学年から大人向きの話です。
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しゅじんとめしつかい
力や立場の弱い者が、知恵を使って強い者に勝つ話です。
このテーマは、昔話にはよくあります。おそらく、このような話を語りついだ人びとは、社会的弱者だったのでしょう。そして、社会的弱者は、世間の人口の大多数だったと思います。だから、支持されて語りつがれたのでしょうね。
主人が腹を立てては言い訳をする姿が痛快です。
昔話はファンタジー(架空の話)ですが、必ずしも魔法が出て来るとは限りません。この「主人と召使い」のようなどこにでもありそうな(でも常識ではあり得ない)話もあるのです。
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ATU425C「美女と野獣」。典型的な「美女と野獣」の昔話です。
ATU425というのは、「いなくなった夫捜し」という話型名のグループです。でも、この「美女と野獣」は、夫をさがすというモティーフはありません。
「美女と野獣」については、マックス・リュティ『昔話の解釈』から、井戸端会議に報告しているので読んでください。こちら⇒
夫が野獣や大蛇など、異類であることから、異類婚姻譚と考えられますが、日本の「猿婿」「蛇婿」とは、ずいぶん異なりますね。
日本の場合、夫は、あくまでも猿やへびであって、自然界のほんものの動物です。呪いをかけられた人間ではなく、最後は殺される運命です。日本のけもの婿の話で、ハッピーエンドなのは、「たにし息子」くらいでしょうか。
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話型名「運のいいハンス」
グリム童話の「幸せハンス」の類話です。
「幸せハンス」についてのマックス・リュティの興味深い解釈を、ブログ井戸端会議に紹介しています。こちら⇒
主人公が、つぎつぎに値打ちのないものと交換する話としては、ブータンの「ヘレーじいさん」があります。こちら⇒
これらはどれも笑い話ですが、どこがおもしろくて笑えるのかというと、思わず値打ちのないものと交換してしまうところ、そのたびに満足するところ、その愚かさでしょう。愚かさを笑うのは、優越感からと、自分にもそんな部分があるとの共感からとですね。
笑い話ならば、オチがあるはずです。オチつまり物語の結末が、類話によってずいぶん違います。語り手のの思いや、民族性によるのでしょう。興味深いです。これも井戸端会議で確かめてください。こちら⇒
重荷を下ろして楽になったハンス、嬉しい心のうちを歌いながら帰って行くヘレーじいさん。どちらも、なるほどと考えさせられますが、パティルは、物乞いにわずかだけど全てをあたえることで、全てを手に入れています。
無一文で帰って来たパティルをやさしく迎えるおかみさんは、まるで「かさじぞう」のおばあさんのようです。ふたりが翌日の朝日のもとで見た光景に、思わず涙が出ます。
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小学2年生くらいまでの幼い子むきのおはなしです。
貧乏だけど善良なおじいさんとおばあさん。
木の実が芽を出して天までとどく。木を上って行ったら空に着いた。
空を歩いていると、金のとさかのおんどりがいて、ひき臼があったので持って帰る。ひき臼は、クレープとパイを出してくれる。
どこかで見たことのあるような、ファンタジックなモティーフが、軽快に続きます。
後半は、悪い旦那さんと金のとさかのおんどりの、ひき臼をめぐる闘いです。もちろん、おんどりが勝ちます。
「半分のにわとり」とよく似ていますね。類話です。でも、前後のモティーフが異なると、物語の雰囲気がずいぶん変わります。
このおんどりは、天にいて金のとさかを持つから、彼岸者です。
STU715A「すばらしいオンドリ」
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幼い子向きのおはなし。
子どもには、自分の体への好奇心があります。それで、手遊び、指遊びがたくさん伝承されています。指の名前を覚えるのも楽しみます。
この話は、そんな指を登場人物にした、かわいい冒険物語です。
この指たちはとても小さな存在ですが、力を合わせて大きなくまをやっつけます。いかにも昔話ですね。
また、それぞれの指たちにそれぞれの個性があるのもおもしろいです。
語られたのはルーマニアなので、ヤシの実は珍しいと思います。珍しいから貴重だという見方もあるし、異国情緒もあるんだと思います。
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ATU875「賢い百姓娘」
世界じゅうに類話が広がっています。グリム童話にもあります。KHM94「かしこいお百姓の娘」
導入部の娘と侯爵(王さまなど)出会いにはいくつかのパターンがあります。
1、妻を求めている王が偶然賢い娘に会う。
2、父親が畑で黄金のすり鉢を発見。賢い娘が止めるのも聞かず、父親はすり鉢を王の所に持って行く。王は、すりこ木ももって来いと要求する。
3、農夫と貴族との法廷での争いを解決するために、両者に謎が出される。農夫の娘は正しく答える。
4、王がある家で娘を見つける。王が彼女の親族について尋ねると、娘は機知と賢さに飛んだ答えをする。
「かしこい娘」は3のパターンですね。グリムは2のパターン。
娘は王の出した難題を解くのですが、難題には例えばこんなものがあります。
ア、裸でもなく服も着ないで、馬に乗らずに徒歩でもなく、王の所に行かなければならない。
イ、王のあごひげの値打ちを見積もらなければならない。
ウ、ほんの少しの糸だけで服を編まなければならない。
エ、ゆで卵から雛をかえさなければならない。
オ、七面鳥の肉を切り分け、家族全員に適切な部分を与えなければならない。
などなど。
グリムはアのパターンです。
「かしこい娘」は難題というよりなぞなぞの答えを解くのですね。
この話は、三重の謎になっています。
まず伯爵が出した謎、次に小百姓の子馬の謎、最後が、最愛のものは何かという謎。
この謎を解いて行く過程で娘は伯爵の愛を勝ちとって行くのですね。特に、最後の最愛のものの謎は、ロマンティックで感動的です。
でも、グリムのように重くとらえないで、笑い話のすてきなオチと考えて再話しました。謎を楽しみながら、軽く語ってください。
この話型の話は、カール・オルフのオペラ「賢い女」(1942年)によってとくに有名になったそうです。重くはなくコミカルなオペラです。
ブログ井戸端会議に、マックス・リュティによる解説をあげています。ご覧ください。こちら⇒
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ATU560「魔法の指輪」に分類されます。
冒頭で、若者が犬とねことへびを助け、お礼に何でも願いの叶う魔法の指輪をもらうというのが典型的な形のようです。主人公は「おじいさん」ではなくて「若者」です。授かる宝物は、「玉」ではなくて、「指輪」です。ヨーロッパを中心に世界じゅうで語られてきた古い話型だそうです。
「おじいさん」「玉」「竜宮」となると、いっきに東洋的になるのがおもしろいです。
日本にも全国にたくさんの類話が伝わっていて、へびが宝をくれるもの、さるがくれるもの、竜宮でもらうものがあるようです。
ここで再話したこの話の載っている『朝鮮民譚集』は、朝鮮半島に伝わっていた口伝えの話を集めたもので、1930年に日本で出版されました。
音声は3年生です。
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