イタリアの昔話
ATU408「3つのオレンジ」。ヨーロッパに広く分布しており、特に南欧系民族に多いそうです。
日本の「瓜子姫」も関係があるのではないかといわれています、瓜の中から生まれることや、あまんじゃくが偽の花嫁になることなどです。
冒頭、王子が指をナイフで傷つけてしまい、血のように赤くてミルクのように白い娘を求めるところ、まるで白雪姫の母親のようですね。同じモティーフなんだけれど、人物やテーマが異なると、雰囲気がまるで変わります。おもしろいですね。
ノルウェーの「旅の仲間」の冒頭でも、主人公が血のように赤くてミルクのように白い娘の夢を見て、心を奪われます。こちら⇒
美しさの基準は民族により、また時代によって異なるのですね。
悪役の魔女は、類話によっては黒人やムーア人であることが多いのですが、現代の私たちには差別的で語れません。けれども、このトスカーナの類話では単に「魔女」となっていたので、語れると思って再話しました。
結末で魔女は火あぶりにされます。原話では処刑の様子や魔女の醜さがリアルに表現されていたのですが、「描写しない」という昔話の語法にのっとって言葉を選びました。
ところで、ここではオレンジですが、この果物は、りんご、くるみ、ざぼん、ざくろ、レモンなどの類話があります。
一番古い類話は、17世紀ナポリの『ペンタメローネ』で、オレンジではなく、シトロンとなっています。王子の妻が変身させられるのは、つばめではなくて鳩です。
長めですがストーリーが単純なので、小学3年生くらいから聞けると思います。
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